アースラ内のデータルームで、クロノとエイミィの二人は共に厳しい表情で


モニターを見つめていた。


そこに映っているのは、先程回収した数字が無数に並んだ複雑なデータであった。


先日の戦闘で得られた『白騎士』のものを再度確認しているのである。


「本当、とんでもないわね彼」


苦々しげなエイミィの呟きは、そのままクロノの考えていることでもあった。


未だかつて、このような生命体は自分達の知る限り存在しなかった。


亜光速にまで達する機動性。戦術、戦略級ともとれる破壊力を誇る兵器を所有。


そして、先程偶然入手できた外殻の欠片から得られた情報は、理論上では核兵器すら


耐え得るほどの強度を誇るという目を疑いたくなるようなものだった。


異常と言える程戦闘能力を高めた生命体。


常識外れもいいところだ。こうまでしなければ生き抜けない程の環境下にあったということなのだろうか。


どのような環境なのかまったく想像がつかない。


もっとも、二人とも一番関心があることはこのデータ自体ではなく『白騎士』自身なのだが。


「データもそうだけど、一番重要なのは彼が人間だということだ」


そう、『白騎士』は少なくとも生態学的には全く人間と同じなのだ。


彼を回収した局員達の話によると、『白騎士』は艦内に収容された直後に緑色の光に包まれた。


その光が消えた後には白い鎧の騎士の姿はなく、クロノと同程度の年齢と思われる少年が倒れていたということだ。


自分達は直接見たわけではなかったが、ブリッジのモニターには特徴の一致する人物が


医療班によって搬送されるところが映っていた。彼がそうだと見て間違いないだろう。


本局でなければ詳しい検査はできないが、医療班から報告された彼の肉体を構成している物質は驚くべきことに


普通の人間と全く同じであった。体の一部に材質不明の結晶状の物質が埋め込まれていた以外は、だが。


「まだ、彼が本当に人間であると断定は出来ないが、データの上では僕達と身体能力はほぼ同じだ」


だとすれば、おそらくあの姿は戦闘形態ということだろうか。


どのような原理によるものかは不明だが、一番近いイメージは魔導師のバリアジャケットを極端に


戦闘用に特化させたものといったものか。適切ではないだろうが、他に表現のしようがない。


「わけがわからないわね、あんなものの中身が人間でしたなんて。それにこれも」


彼女はモニターを操作して、画面を切り替える。出てきたのは、彼の体に付着している物質と同じ色をした


結晶である。彼が倒れているすぐそばに落ちていたとのことだが


当然、こちらについてもわかっていないことが多すぎるくらいある。


「わかっている……というか唯一推測できるのは、これが彼が『白騎士』へと変化する際に関わりがあるらしい


ということだけだな。後のことは彼から聞きだすしかないが、当の本人はどうなんだ?」


「あれからぜんぜん変化なし。ずっと眠ったままよ。全く起きる気配がないって」


「そうか……下手に衝撃を与えるわけにもいかないし、当分は何もできないか」


実のところ、彼を回収してから優に一日が経過しているが一向に目覚めようとしないのだ。


こちらから手出しをすれば何が起こるかわからないため、完全なお手上げ状態である。


「そういえばなのは達は?」


忘れていたといえば失礼に当たるが、完全に失念していた。


『白騎士』から目を離すわけにはいかなかったし、仕方ないといえば仕方ないのだけれど。


「艦長が暫くはどうにも動きようがないからって、家に帰したわ。他の子達も一緒にね」


「そうだな……彼女達がここにいても時間を浪費するだけだ。余計な体力を使うことになる」


彼女達がいたところで、できることはほとんどない。下手に気を使わねばならない分いらぬ疲労をすることになる。


ここで出来る検査も終わった以上、それは自分達にもほぼあてはまるのだが


これが仕事である以上は仕方がない。


これ以上は、本局に着くか彼が目覚めない限り何もできないのだ。











Sorrow Brade 第二話「Tekkaman」












「……に……さ…ほん……ご……」



夢を見ていた。夢の内容は自分の遠い過去の記憶だった。


もう二度と戻らない、平凡だったかもしれないけど本当に幸せだった頃の記憶だった。


その中では、皆眩しい位の笑顔で溢れていた。過去の自分も同じように笑っていた。


今の自分には、あの時のように笑うことは出来ないだろう。


どれだけ望んだとしても、あの時間が再び訪れることはありえない。


そう、あの時に全ては変わってしまったのだ。


ならば、せめて自分の手で――――


それが―――にしてやれる唯一のことなのだから。


映像がぶれてぼやけてきた。どうやら目覚めが近いらしい。


過去に別れを告げると、彼は夢の中で目を閉じて覚醒の刻を待った。
















目を開けると、真っ白な天井が見えた。どうやら、自分は寝かされた状態らしい。


自分の腕には点滴用のチューブがついていた。首だけを回して部屋の中を観察する。


医療用の器具が多数置かれていることから、ここは医務室らしいということはわかった。


とすれば恐らく、気を失う前に通信を送ってきた宇宙船の中なのだろう。


自分以外に部屋に人の気配はないが、状況から考えてここの乗組員は、


どうやら自分の治療を行ってくれていたらしい。


助けてくれたことには感謝するが、自分を一人にしておくこの無防備さには呆れてしまう。


(お人よしもいいところだな。俺が敵だったらどうするつもりだ)


その時、電子的な音が鳴り響くのと同時に扉が開いた。


中に入ってきたのは、自分と同い年か一つ下くらいの黒髪の少年と後ろで長い翠色の髪をまとめている


女性の二人だ。


少年の方は気難しい顔をしているが、女性のほうは穏やかな笑顔を浮かべている。


彼らが自分をどう見ていようと、別にどうでもいいことだったが。


「目が覚めたようね、気分はどうかしら?」


「……悪くはない」


「そう、元気になったみたいでよかったわ。体も酷く傷ついていたし、よほど疲れていたみたいね。


あなた、丸一日眠ったままだったのよ」


やはり、というべきだろうか。


相当肉体に負担がかかっていたらしい。奴等との戦闘で傷を負っていた体で


ろくに休む暇もなく戦闘を重ねた挙句、ボルテッカまで使ってしまったのだ。


むしろその程度で済んで幸いだったというべきか。


そこではたと気づいた。変身が解かれたのなら、あれがなければならない。


「目覚めたばかりで悪いが、君には聞きたいことがある」


「……タルはどこだ」


「何?」


「クリスタルはどこだと聞いている! 俺の傍にあっただろう! あれをどこへやった!?」


「クリスタル…? あの結晶のことか。それなら……」


クリスタルがなければ奴等と戦うことができない。あれが失われれば、自分は


普通の人間と変わらない。ただ殺されるのを待つだけの無力な存在となってしまう。


「クリスタルを返せッ!! あれがなければ俺は……ぐっ!」


在処を吐かせようと少年に飛び掛ろうとしたが、その瞬間胸に激痛が走った。


「落ち着きなさい。まだ無茶に動けば傷が開くわ。直りきっていないのだから大人しくしていないと。


あれはちゃんとこちら側で保管してあるし、何も手を加えたりはしていないわ」


「なら…っ…あれを返してくれ! あれがないと俺は……!」


あれがなければ戦えない。今の自分には奴等を倒すことこそが全てなのだ。


だが、少年は首を横に振る。女性のほうも表情から察するに同じ意見なのだろう。


「何故だ!?」


「悪いが、君と君が交戦していた生命体について詳しい情報が得られるまでは……」


その時少年の言葉をさえぎるかのように、自分と彼の間にモニターのようなものが浮かび上がる。


映っているのは自分より少しばかり年上と思われる女だ。


同時に奴等と同じ体にされた自分にしか感じられない感応波を感じる。


(これ…は……間違いない! しかもこの反応は……あいつか!)


「何だ?」


『クロノ君、それと艦長! 艦前方に時空転移反応! ……え』


「どうした?」


『転移してきたのって……色や細かいところは違うけど……』


驚くのも無理はないだろう。彼女が驚いている理由は簡単、転移してきたのが自分と同じような存在だからだ。


そして奴が現れた以上、対抗できるのは自分しかいない。


「何でもいい、今すぐ俺にクリスタルを渡せ!!」


「だからそれは……」


渡さなければ殺すと言わんばかりの鬼気迫る表情で、彼は二人に迫った。


「この場で奴に皆殺しにされたくなければ早くしろ!!」
















クロノとリンディがブリッジに戻った時には、再び招集のかかったなのは達の姿もあった。


最初に彼と遭遇したときのような驚愕の色は浮かんでいないが、皆顔を強張らせているのは以前と同様だ。


正面のモニターには次元の狭間という異常な空間であるにも関わらず、


二人の異形の騎士が対峙して平然と佇む姿が映し出されていた。


一方は『白騎士』であり、もう片方は濃緑色の鎧のような外殻で


身を包んだ―こちらは兵士といったところだろうか―細部は違うが、大まかな形状は『白騎士』と似ている。


僅かに除く眼の色が最大の違いといえばそう言えるかも知れない。


『白騎士』がエメラルドのような緑であるのに対し、もう一体は血のような紅である。


他に強いて大きな違いを挙げるとすれば、頭部だろう。『白騎士』が左右各部に鋭角な角がせり出しているのに


対して、もう1体の方は何もついていない滑らかな形状となっている。


「彼らの様子はどうだ?」


「彼が飛び出していってからああやって睨みあったままよ」


あれほど勢い良く飛び出して行った割には、矛盾した行動と言える。


何せクリスタルを手にするなり、搭乗口に向かって人にぶつかろうが構わずに走っていったのだ。


静止する者がいれば、その腕を掴んで放り投げもした。


そして変身するなりハッチが開くのも待たずに外へ飛び出したのだから、


彼の行動は奇妙としか言い表せない。


だが、今この時に考えるべきことはそれではない。


「そうか…それで彼が対峙している相手、どう思う?」


クロノの質問の意図は、あの二体の形態があまりにも酷似しているということからくるものだ。


エイミィ自身もそれは最初から思っていたことだし、他のスタッフやリンディも同様だろう。


「多分、同じ種の生命体なんじゃないかな。艦長はどう思います?」


一応、この場の最高責任者である彼女にも意見を聞いてみる。


といっても、大抵は自分と同じ返答がくるだろう。多分、他の全員に聞いてもそれは変わらない。


「私も同じ考えだわ。なのはさん達はどうかしら?」


聞かれると思っていなかったのか、それとも答えを言っていいのか迷っているのか


しばらくその問いに対する答えはなかった。


その中で最初に答えたのは、やはりというべきかシグナムであった。


「私も提督に賛成です。それともう一つ、恐らくあの二人は仲間や味方といった様子ではありません。


少なくとも、友好的な関係ではないでしょう」


「何故そう思う」


自分も薄々わかっていたことだったが、クロノはあえて彼女にその理由を問いただした。


「お前は気づいているだろうが、あの二人からは先ほどから殺気がかなり漏れ出ている。


それも『白騎士』の方は今にも飛び掛らんばかりのな」


頷いて、他の守護騎士達の方を見ると彼らもこちらに頷き返してきた。


「あたしもシグナムと同じだ。いつ爆発したっておかしくねー感じだな、ありゃ」


「我も同じくだ。それに、姿形が似通っているからとて仲間であるという訳ではない。


そうでなければ、人が互いに争うということが起きるはずもないだろう」


「私も皆と同じです」


死線をくぐり抜けた者なら気づいて当然のものだ。


まして数多の戦いを経験したであろう彼らであれば、意識せずとも肌でわかるのだろう。


「なのはさんは?」


名指しで呼ばれても少し迷っているような様子ではあったし、おずおずと


ではあったがなのはは自分の感じていることを素直に口にした。


「えと、シグナムさん達の言う通りあまり仲良くはないと思います。


けど『白騎士』さんは悪い人じゃないと思います。緑色の方の人は怖いですけど」


悪い人じゃない……そのような意見が出るとはクロノとエイミィには予想もできなかった。


なのはは人としての彼の姿を見てはいないし、実際に話をした自分でさえそうは思えなかった。


むしろ、触れるもの全てを傷つけるような抜き身の剣のような印象だった。


どうしてそのようなことがわかるのだろうか。


「本当になんとなくですけど……多分」


勘、ということだろうか。だが、子供の洞察力は、時として大人のそれよりも優れていることがある。


彼女の意見もあながち的外れではないのかもしれない。


その言葉に後押しされたのか、残る二人も口を開く。


「私も『白騎士』の方は大丈夫だと思います」


「私もなのはちゃんやフェイトちゃんに賛成です」


一通り意見が出揃ったところで、リンディは少し考えて


「皆の意見をまとめると、『白騎士』ともう一体はあまり友好的な関係ではなく、


『白騎士』の方は私達の敵となるような可能性は低い。こういうことかしら」


子供達は即座に、守護騎士やスタッフは逡巡しながらも肯定する。


「とりあえず、今問題なのはあの二体がどう出るかということね……」


強大な力を持つ『白騎士』と同等の力を持つであろうもう一体。


その二体がお互いに沈黙を守っている姿は、まるで嵐の前の静けさのように感じられた。


お互い、凄烈なまでの殺気を放ち続けているのがいい証拠だ。


「アースラはこの空域で待機。彼らから目を離さないように。


場合によってはあなた達にも協力してもらうことになるけど…いいかしら?」


一同揃って、頷くことで返事を返す。自分達はそのためにここにいるのだから。


現状ではうかつに自分たちも手は出せない―出せたとしてどこまで通用するかは不明だが―けれど、


かといってこのままずっと手をこまねいているわけにもいかない。


(いざという時には、あれを使うことも考えなければいけないか……)


そうならないことを願いつつ、クロノは自分達が動くべき時を待つことにした。
















どれだけそうして睨みあっていただろうか。実際には五分から十分程度といった


ところだろうが、彼にはその数倍にも感じられた。


自分がこの手で決着をつけなければならない相手の一人に再度巡り会うことができたのだから、


気分が昂ぶっているのかもしれない。


このまま膠着が続くかに思われたが、沈黙を破ったのは向こうからだった。


「クククク…久しぶりだな、裏切り者ブレードよ」


相手の口から発せられたのは今の自分の名前、ブレード。


そう今の自分は人ではなく、テッカマンブレードなのだ。そして眼前にいるのは


同じテッカマンであり、憎むべき敵『ラダム』の尖兵。


「やはり生きていたか、テッカマンダガー!」


「無論だ。そして他のラダムのテッカマンも全てな。所詮不完全であった


奴に、我等を倒すことなどできるものか」


眼前の敵、テッカマンダガーが言い放った言葉はブレードにとってかなりの衝撃を与えるものであった。


不完全なテッカマン……ラダムにとっての不完全なテッカマンとは、自分の知る限り自身を含めて


二人しかいない。彼自身と彼の――――しか。


「何だと!? じゃあ、まさか……!」


奴等が生きてこの世界に来たということは―――は……。


「貴様の考えているとおりだ。我等もろとも道連れにと考えていたようだが……


所詮は欠陥品、無駄死にに終わったというわけだ」


「……」


わかってはいた……はずだった。だが、これではあまりにも―――が報われないではないか。


「我らにかなう存在などありはしないというのに、貴様などを逃がすために我らに逆らうとはな。


人間というものはつくづく理解しがたい生命体だ」


「……黙れ」


ラダムへのものか自らに対してのものか、あるいはその両方にかもしれない。


内から湧き上がる怒りを抑えきれないでいるかのように、体が震え始める。


いつの間にか握り締められた拳には、爪が食い込んで出血しかねないほどの力がこめられているようにも見えた。


しかしダガーはそれを知ってか知らずか、調子に乗ってしゃべり続けていた。


「もっとも、愚かな裏切り者にはふさわしい最後だったがな…ククク」


「黙れェェ!!」



肩にある物質変換装置から槍を作り出すや否や、彼はダガーへと斬りかかった。


それに対して予想済みだったのか、ダガーは焦る様子もなく自らも槍を作り出し


ブレードを迎え撃つ。


刃と刃が幾度となく激しくぶつかり合い、離れ、また交差する。


「俺は貴様らラダムを許しはしない! まずはここで貴様を倒す!」


「不完全なテッカマンの分際でほざくな、ブレード!」


ほぼ同時に彼らの外殻の一部が変形し、全体的にスリムな形態となる。


そしてブレードは緑の、ダガーは紅の光に包まれる。


『クラッシュ・イントルード!!』



彼らは自身が互いに光となって、相手を滅ぼさんとぶつかり合う。


アースラの面々から見て、最初のうちは両者とも互角かと思われた。


しかしややもすると、徐々にではあるがダガーの方が押される形になってきていた。


両者がまた元のように対峙した時には、ダガーから当初感じられた嘲りと余裕が消えていた。


四肢や胴体部分の外殻には、傷つき欠けている部分がかなりある。


「グゥッ……馬鹿な……!」


そして、その顔は仮面ごとそこから覗く眼まで切り裂かれたようになっていた。


対してブレードの方はと言えば、こちらも外殻部分に損傷があったが頭部への傷は殆ど無い。


同等と言えばそうかもしれないが、先ほどの衝突でできたダガーにあってブレードにない顔面への傷。


それはたとえ僅かであっても、ブレードよりも己が実力で劣っているということの表れであった。


それを誰よりも理解していたのはダガー自身であったが、認めるわけにはいかない。


ダガーは憎悪に身を滾らせて、ブレードを睨みつける。


この私がブレードのような不完全体より弱いなどということがあるはずがない!


「そう……貴様のような不完全体に遅れをとるなどと、あってたまるかァアア!!」


ダガーの持つ槍が弓状に変化し、そこから無数の光の矢が放たれる。


「クッ!」


すぐさま回避行動をとるが、まだ肉体が回復しきっていないのか一瞬ではあるが


反応が遅れてしまった。


眼前に迫りくる矢をよけ切れず、その内の一本が左顔面を掠める。


「痛ッ!」


そのまま体勢を崩してしまった。立て直すのには何秒とかからない。


しかしその短い時間は今の自分にとって致命的であり、相手にとっては絶好の好機である。


恐らく数十メートルはあるだろうが、互いにテッカマンである以上


そのような中途半端な距離はないに等しい。


そしてそのようなチャンスを逃がすような甘さは、ラダムにはない。


「死ねぇ! ブレードォォオオ!!」


「クッ!」


体勢を元に戻したときには既に、ダガーの持つ槍が今正に自分を貫こうとしていた。


まだ誰一人としてテッカマンを倒していないというのに。


こんなところで自分は終わってしまうというのか、誰一人―――ないまま……。


せめて相打ちをとがむしゃらに槍を突き出そうとしたその時、ダガーの姿が突如桃色の閃光に飲み込まれた。


その閃光が消えた瞬間に間髪入れず、ダガーに向かって金色の光を放つ多数の槍が高速で飛んでいく。


誰によるものかは知らないが、その隙にダガーから飛び退って距離を取る。


「ぬぅぅ、小賢しい真似を…! 何者だ!?」


期待はしていなかったが、然程効いた様子はない。


ある程度のダメージは通っているようだが、奴の動きを鈍らせるまでには至ってはいないようだ。


無理もない、テッカマンと戦えるのはテッカマンしかいないのだから。


だが一つだけ、おかしいと感じる点があった。


通常兵器によるものであれば核すら防ぐ外殻なのに、今回の攻撃は多少なりともダガー自身に届いている節がある。


よく見れば、自分との戦闘で傷ついた箇所とは別に、新しく外殻が抉れているような部分ができている。


前の世界ではありえなかったことだ。だとすれば、あれは今まで見てきたものとは違う


自分の知らない兵器によるものなのだろうか。


(何なんだ、今のは……? それにどこから攻撃した?)


近距離からのものではない。最初に飛んできた閃光の射線を辿っていく。遠方からこちらを


監視しているのだろう、自分がいた戦艦がその方向にあった。そして、その数十メートル手前に


見えたものに目を疑った。


(な、に………?)


無理もないことだ。自分達のような存在も異常なものではあるが、この場において


それ以上に違和感のある光景がこの目に見えているのだから。


それぞれ白と黒の衣装に身を包み、奇妙な杖のようなものを持った少女達の姿が――。








後書き


二話目にして既に自分が宣言した期限を守れなかったAREXです。どうもすみません

いやもう、我ながらなんという超展開。未熟さを感じつつ話を進ませてもらうためにラダム側の最初の

テッカマン、ダガーの登場+微妙な戦闘がメインが今回のお話です。

ブレードとダガーの戦力比に疑問を持たれる方もいると思いますが、僕自身は最初はこれぐらいだっただろうと

考えています。ラダム側もダガーよりも少し強い程度くらいの認識だったという表現もありましたから。

原作でブレードがあそこまで戦い抜けたのは、当然味方の助力によるものもあったでしょうが

何より彼自身の執念によるものが大きかったのではないかと。

修羅場を潜り抜けて強くなっていったのであり、最初から最弱とはいえダガーを圧倒できる程の力はブレードには

なかったでしょう。一応テッカマン同士ですので。

クラッシュイントルードは作中の通り自分の体を光で包んで強行突破する攻撃ですが、原作ではダガーは

使用した表現はありません。これは本作オリジナル設定ですので悪しからず。

また、彼らの会話の中で出てきたもう一人の不完全なテッカマンのことは……秘密です。

ネタバレになりますのでここでは伏せておきますが、彼にとって大切な存在であったことは確かです。

そして、リリカルマジカルな魔法少女達は殆ど動いてません。彼女達がテッカマンとラダムのことを何も知らない

ということと、ブレードに対して判断がつきかねているということもあって未だ様子見段階ということで。

とりあえず、ほんとのほんとに最後のほうでテッカマン同士の戦いに介入しましたけど。ブレードと彼女達が絡むのは

次回以降ですね。ラダムについて聞かされたとき、果たしてどのような顔をするのやらといった感じです。

最後に、ブレードとダガーに対してなのはの意見については、素直な子供の感じたことは時として

大人の理屈よりも説得力があるということでご容赦願います。

実際、彼女はそういうところはかなり鋭いと思いますし。

稚拙なものではありますが、今後ともお付き合いいただけたら幸いです。

続けていくかどうかはわかりませんが、試験的に次回予告などを



少年の口から語られた衝撃の事実、そして迫る脅威の強大さに震撼する管理局。

「ラダムは全生命体の敵だ。滅ぼさなければ、人類に未来はない」

少女達との邂逅によって揺り起こされる―――の記憶。

(似て……いる……)



次回、SorrowBrade第三話「They are "Radam"」



尚、予告と異なることもありますのでご了承ください。(何

感想や誤字脱字の報告などの報告お待ちしています。それでは、また次回お会いしましょう。






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に下さると嬉しいです。