Kanon another story
〜World is Sky〜

第5話




店を離れ商店街をうろつく。


(さて、と。後はもう、買う物はねぇよな?)
何かなかったかなと辺りを見渡す。
ふと、脇道にそれる人影が見えた。

(……ん?……アレは…)
慌ててその人影を追って脇道に入る。

(見間違え、か?)
脇道に入り、左右を見渡す。
そこに目当ての人を見つけた。

(アイツ…なんでこんなとこに…)
その疑問はとりあえず考えないことにしてその人に近づく。

「何してんだケイ?」
肩を叩きながら呼びかける。

「ふぇ!?」
どうやら相当驚いたようだ。
思わず飛び跳ねるくらいに驚いている。

「お、悪ぃ悪ぃ、まさかそんなに驚くとは思わなかったから、さ」
頬をポリポリとかく。
ちょっと悪いことをしたかもしれない。

「な、な、な、なんで神がこんな所にいるんだよ〜!?」
そんな事言われても困る。オレはお前を追ってきただけなんだから、と思うが口にはせず…

「そう言うケイこそこんなとこで何してんだよ?」
とりあえず聞き返してみた。

「はわわわわわ!?」
よっぽど慌てているのか、バタバタと慌てながら喋る。

「えと〜えと〜、そ、そうだ!し、神こそこんな所で何してるんだよ〜!?」
苦し紛れに言ったことなんだろうが、正直に答えるわけにはいかない。
と、言うか…

(同じことグルグル言ってる気がするんだが…)
ひたすらにそんな気がする……とも言えず…

「オレは不審者を見つけたんで、そいつを追ってきたんだ」
また頬をポリポリとかきながら言う。

「不審者〜?」
顔いっぱいに?を浮かべながら聞いてくる。

「不審者」
ケイを指をさしながら言ってやる。

「う〜〜私のどこが不審者なの〜!?」

「独りで裏路地を理由も無くウロウロしているあたりだ、な」
速攻で答えてやった。

「う〜〜理由ならちゃんとあるよ〜」

「なんだ?中国人のモノマネか?」

「違うよ〜あるよ〜って言っただけだよっ!!別にアルよ〜アルよ〜なんて言ってないよ〜!!」
ムキになって否定するケイを見ておもわず笑ってしまう。

「う〜〜笑った〜」
ちょっと本気で怒ったみたいだ。

「…神…日本語おかしいよ?ちょっとなんだか本気なんだか…」

「…しまった…声にでていたみたいだ…」

「…今のはわざとだよね?」

「…」
時々思うんだが、こいつはオレの心が読めるんだろうか?
それともオレが判り易過ぎるんだろうか?
…とにかく、もう心の会話はしないと心に誓った。

「っで、何をしてたんだ?」
今までの会話の流れを全て切って同じ質問をする。

「…神…会話の流れを読まないのはよくないよ…」
そう言われても困る。コレがオレなんだから。

「お前がさっさと結論を言わないのが悪い」

「う〜〜起承転結の結だけを求めるのは良くないよ〜」

「承転には興味ないからな。ようはキッカケと終わりがわかりゃいいんだ」
そう言うとケイは何やら考え込み…

「…教えてもいいけど…絶対に、誰にも言わない?」

「あぁ」
オレはこう見えても口は堅い。
それに、コイツにそう言われたら頼まれたって教えなどしない。
まぁ、オレはバカみたいにコイツに惚れていたってことだ。

「…お墓を…見てたんだよ…」

「はっ?」
あまりの言葉に思考がついてこず、聞き返してしまう。

「だ〜か〜ら〜お〜は〜か〜を〜見〜て〜た〜の〜」

「あ、いや、そう言われても何がなんだか…」

「誰だって自分が死んだ後どうなるか心配になると思う」
そう言ってオレをじっと見る。

「だから自分で死んだ後を決めたの。この先にある丘に墓を作って、その中に入りたいって思ったんだよ」
ニコニコと笑いながら言ってくる。オレは…

「あっと、えと、そこに作る理由はあんのか?」
どうやら思考回路がいまだにおかしいらしいく場違いなことを聞いてしまう。

「うん、あるよ…あそこなら…この町を見渡せるから…神やみんなと過ごしたこの町を…全部…ぜ〜〜んぶ見渡せるからっ!!」
その場にクルッと回りながら言ってくる。今、自分がココにいることを証明するみたいに…
その言葉を聞いて、オレは少しだけ思考回路が回復した。

「そりゃ無理だ」

「えっ!?」
オレがそう言ったのが以外だったのか、動きをピタッ、と止め聞いてくる。

「どうしてだよ〜?」
そんなこと決まってる。

「オレが死なせない。オレがジジィになってお前がバーさんになっても、オレが死なせない。」
自分でも無茶言ってるとは思うが、言葉は止められなかった。

「だから、お前が墓に入ることなんてない。絶対ない。むしろ入れさせない」
かなり恥ずかしかった。オレはなんでこんなこと言ったんだろ?

…決まってる…コレがオレの、ホントの気持ちだからだ。

「…神…」
なにかを言いたそうに口をモゴモゴとさせる。

「ん?」

「あの、その…ね、すっごく恥ずかしいこと言ってる、よ?」

「…」
そうかもしれない。だけど…コレがホントの気持ちだから…
もしも、お前がいなくなってしまったら、オレは前には進めない。そんな気がする…
でも、そんなこと言ったら余計に恥ずかしくなっちまう。だから…

「今はこういうのが流行ってるんだ」
堂々と胸を張って嘘を言う。

「嘘だよね?」
お前に笑っていてほしいから。

「ホントだって」
今度は視線を外して言う。言ってしまったセリフが恥ずかしかった訳じゃない。
ただ、不覚にも笑顔になってしまった自分の顔を見せたくなかっただけだ。
それに、今はコレで十分だ。ケイがいて、みんながいる。それだけでいい。
これ以上の幸せなんか探したってでてこないぞ?オレは幸せだ。だから…

「そろそろ帰ろうぜ?」
そうだ。これから、この日常がずっと続くんだ。
だから、今は帰ろう。そして、また明日を始めよう。そのための準備をしなくちゃいけない。
だから帰ろう。オレ達の家に。

「うん、そろそろ帰ろうか。お母さんが心配しちゃうしね」
ニッコリと満面の笑みを浮かべる。コレだけでオレは元気がでる。また明日生きようと思える。
だから帰ろう。

「もう暗いしな。急ぐか」
手を繋ぐ。温かい。この温かさがオレを助けてくれる。いつだって助けてくれる。
だから帰ろう。

「あっ…。うん!急ごう!でも…ゆっくり、ね…?」
少し照れながら手を繋ぎ歩き出す。もう、満面の笑みだ。ありがとう、オレなんかに笑ってくれて。でも、また笑ってくれよ?
だから帰ろう。そして、明日またオレに笑ってくれよ?明日じゃなくてもいい。今すぐだっていい。百年後だっていいから…
また、笑ってくれるよな?そうだろ?
だから、帰ろう…





だから…『一緒』に帰ろう…な?









to be continued


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あとがき


この小説を読んでいただきありがとうございました。
あとがきを6度勤めさせていただくのは作者ことアトラシアです。

ア「今回で6回目となりましたこの作品!今回のゲストは最後の幼馴染!折真優易さんです!」

優「…」

ア「むお!反応無し!?」

優「…」

ア「…えと…」

優「…」

ア「あ、あの〜?」

優「…」

ア「紹介してもよろしいでしょうか?」

優「…(コクン)」

ア「え〜とですね、このお方は神の幼馴染です」

優「…(コクン)」

ア「容姿は黒髪のショートで、モミアゲの部分だけが長いんです。目は赤が混じった黒い目をしてますね」

優「…(コクン)」

ア「特徴としましては、モミアゲの部分だけ紅のような色になっているんです」

優「…(コクン)」

ア「えっと…天然?」

優「…(フルフル)」

ア「だ、そうです」

優「…V(ブイ)」

ア「Σ(○w○)」

神「何してんだ?」

ア「むお!何って紹介に決まってるだろ」

神「…通じたか?」

ア「自信ない…」

神「だろな」

優「…V(ぶい)」

神「ほらな」

ア「…(涙)」




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では、次回のお話までほんの少しの休息を…