灼熱が、起きた。

 それを最初に見つけたのは、なのはだった。

 地平に上る、陽炎。

 二隻を包囲していた魔法士の包囲の一部を、その灼熱が引き裂いた。それはまるで、爆発のよう。

 そして、その灼熱に気化した蒸気の中から、ゆっくりと、巨大な影が姿を現した。

「え……?」

 なのはは、そのシルエットに、見覚えがあった。

 いつか救われた、“魔王”と名乗る人物が乗っていた小型の戦艦。

『さて、ご機嫌はいかがだろうか、管理局の方々』

 その船体から、声が響く。

 あの当時は困窮に瀕していて分からなかったが、今のなのはには分かった。

 それは、恭平の声だった。

『残り三十四時間。その時間での最善を提供しに来た』

 その“魔王”の言葉に、誰もが怪訝なものを感じた。

『まずは、我が艦にリンディ・ハラオウン艦長、ジョシュア・フィグノス一等空尉、カーティス・アーレンベルト中将の三名を招待しよう。交渉の場を設ける』

 一方的な提案に、しかし誰も口を挟めない。

『先に言っておこうか』

 今や、“魔王”という存在は、局員にとって、脅威であると同時に、

『交渉の決裂は、すなわち君達の全滅を示す。これに偽りは無い。君達自身もよく理解していると切に願う』

 敵に対抗できる、希望でもあったのだ。





「危険です、艦長!」

 リンディに、クロノが訴えた。

「あんな奴らの目の前にのこのこ出て行くなんて、無謀にも程がある!」
「敵ではないわ、彼らは」

 リンディは冷静に、そう言う。

 だが、クロノは納得できなかった。

 たった一人の母なのだ。

 それを、死の危険すらある場所に見送るなど、そんなことが出来るはずもなかった。

「味方でもないと、それは連中自身が言った事だ!」
「クロノ、聞き分けなさい」
「出来ません!」

 頑なに、クロノはリンディの言葉を拒否する。

「いくなら、僕が行く!」
「貴方には向いてないわ」

 クロノは、まだまだ幼い。

 リンディは艦長として、母として、クロノが交渉に向いた正確ではないと判断する。

「それに向こうの指名を変更するわけにはいかないの」

 その言葉に、クロノが拳を握り締める。

 クロノだって、分かっているのだ。

「彼らの条件を跳ね返すわけにはいかないの」

 今や、恭平達は局員にとっての唯一の命綱。

 ここで彼らの意思に背く事になれば、そして彼らの協力を得られなければ、助かる術はない。

 分かっていて、だが、クロノはその上でも納得できなかった。

 そんなクロノを、心配そうにフェイトとなのはが見つめていた。

 リンディの義理の娘でもあるフェイトもまた、クロノと同じ気持ちではあった。

 だが、それでもフェイトは冷静にリンディの行動を見れてもいる。

 仕方が無い、とは言わない。

 だが、それが必要なのだろう。

 そうやって、フェイトは自分を納得させていた。

「クロノ君、落ち着きたまえ」
「しかし……っ!」

 クロノを、フィグノスが静かに宥める。

「ハラオウン艦長は私が全力で安全を保証する。それでは、駄目だろうか?」

 言われて、ぐっとクロノは言葉に詰った。

 Sランクの魔導師が、自らの母を守ってくれる。それほどに心強いことは無い。

 だが、それでも、思うところがあった。

 Sランクで、恭平達に対抗できるのだろうか、と。

「私も、フィグノス一等空尉と同じ気持ちだ」

 そこで、ブリッジの入り口に、一つの姿が現れた。

「っ、中将!」

 その場の全員が、慌ててその人物に、アーレンベルトに敬礼する。

「止してくれ、堅苦しいのは好かない」

 その態度に苦笑しながら、アーレンベルトがクロノを見た。

「仮にも私もSランク魔導師だ。少しくらいは、力になれるさ」

 もう、クロノに反論できるはずも無かった。

 ランクSの一等空尉と中将にそこまで言われて、それでも尚反論など、誰にも出来ない。

「それに、母上も信じてあげなさい」

 確かに、クロノもリンディの力が並みのものでないことくらいは分かっている。

 それでも、理性と感情は別なのだ。

「分かり、ました……っ」

 苦々しく、クロノが俯く。

 リンディはその息子の様子に一瞬だけ辛そうな表情を浮かべ、しかしすぐに凛とした表情を繕う。


「さて、お話は終りましたか?」


 そして、誰もが驚愕した。

 アーレンベルトの背後、ブリッジの扉が開き、そこから予期せぬ姿が現れたのだ。

「お迎えに上がらせてもらいました、御三方」

 それは、三人の少年。

 先頭に恭平が立ち、そしてその両側に士郎と志貴が立っている。

「まさか、こんなところまで来るとは思わなかったよ」

 一体どうやって艦内に入ってきたのか、などとアーレンベルトは尋ねる事ができなかった。

「そちらの転送技術では我が艦内には入れないでしょうからね」

 遠まわしに恭平は、管理局の技術など自分達には及ばないといっているのだ。

「それにしても、随分と人情に溢れた組織だとお見受けしました」

 ふ、と。

 恭平が薄く笑った。

「心の冷たい人間は手が暖かいそうですが、芯の腐った組織というのは末端で優しいのでしょうかな?」

 その恭平の態度に、元から恭平を知っているなのはとフェイトは戦慄した。

「と、失礼致しました。今は、俗の話など不必要でしたな」

 まるで管理局全体を嘲笑うかのように、恭平の笑みに、その場の誰もが飲み込まれそうになった。

 それは、言うなれば底の知れない深淵。

「しかし、こちらも配慮が足りませんでしたな。なるほど、重要な人物には護衛がつくのは当然の事です」

 本当にこれが子供なのか、とアーレンベルトは疑問を抱いた。

 これは、もっと別な……そう、正に“魔王”のようではないか、と。

「では、AAA+の高町なのはとフェイト・T・ハラオウンを護衛として同行する事を許可しましょう」

 突然名前を呼ばれて、なのはとフェイトがぴくりと反応した。

「ランクまで知っているとは、君は本当に何者なのかね」
「おや、フィグノス一等空尉。その質問の意図が掴めませんな」

 フィグノスに、恭平が首をかしげる。

「“魔王”。それこそが、私です」

 その言葉が、ブリッジ内にいる局員を突き刺した。

 そこに何かの誘惑的な、致命的な魔法でも篭められているかのように、その言葉はその場の人間を侵食した。

 恐ろしいわけではない。

 頼もしいわけではない。

 ただ、染み渡った。

 得体の知れない何かが、自分の何かが入り込んでくる。

 その違和感が、空間を満たす。

「さて、色々と質問、疑問はあるでしょう」

 そんな局員達に、“魔王”は笑いかける。

「我らが艦に案内しましょう」

 その目の前に、光の円が浮かび上がる。

 様々な幾何学を描く、転送ポート。

「そこで、我々が身柄を拘束した八神はやての扱いについても、ゆっくりと」
「拘束、だと?」
「では、どうぞ」

 アーレンベルトの訝しげな視線に、“魔王”は答えない。





「さて、あまり綺麗な所ではないですが、どうぞ」

 暗い部屋。

 長い机の端と端、対面するように、管理局の三人と恭平が座る。

 その後ろには、それぞれなのはとフェイト、士郎と志貴が佇んでいる。

 なのはとフェイトは緊張と混乱の混じった態度で、むしろ見ているほうが可哀想なほどだった。

「護衛がそれでは高が知れる。もう少し、堂々としているといい」
「何も、とって食おうというわけじゃないんだ」

 ふと、志貴と士郎の小さな声が、不自然なほどに透き通って二人の耳元に届いた。

 それは、いつもの、学校で自分達と一緒にいた時の声で、なのはとフェイトは身体から余計な力が抜けるのを感じた。

 一方で、リンディ達はその声色に、驚いたような表情を浮かべた。

「ふ、この二人はどうにもその娘達が気に入ってしまったようでして」

 そこに差された恭平の声に、慌てて三人は表情を引き締めた。

 ここは既に敵陣――というわけではないが、少なくとも安全と言い切れる場所ではない。

 最も、安全でないというのであれば、この状況ではアースラの館内などの方がよっぽどであるだろう。

 少なくとも、ここには魔法士に対抗する術があるのだから。

「それは、ありがたいことです」

 恭平に、リンディが笑いかける。

 その笑みを見て、恭平は感心した。

 笑顔とは、交渉において重要な役割を果たすものの一つだ。それをこんな場面でこうも自然に使ってくるというのは、なかなかに侮れない事である。

「羨ましいですな。私には貴方のような笑顔はつかえそうに無い」

 対して、恭平は鋭く細い笑みを浮かべた。

「ふっ、本当に貴方達は素晴らしい。どうしてそんな地位に満足しているのか、不思議に思ってしまうほどに」

 あるいは、そんな地位に満足しているからこそ素晴らしいのかもしれない。

「世辞は要らんよ」
「世辞ではないのですが、そうですな。では、早速本題に入らせていただきましょう」

 フィグノスが、冷静に恭平を視線で射抜く。

「まず、我々が望む要求は三つ」

 恭平が、指を三本立てて言う。

「一つ、この事件の後、我々の存在を絶対に管理局に報告しない事」

 指が一つ、折られる。

「一つ、八神はやてに、何の処罰も加えないこと」

 それは、はやてとの約束だ。

 なのは達と再び一緒にいられるようにする。

 先ほど、アースラで恭平がはやての身柄を拘束という形で表現したのは、そういうことだ。

 それに口を挟む者はいない。

 ただ、なのはとフェイトが小さく息を呑んだのがわかった。

「そして最後」

 すっ、と。

 恭平が、鋭く三人を見つめた。

「貴方達三人には、管理局員でありながら、今後我らの指揮下に下ってもらいます」

 今度は、息を呑むのはリンディ達の番だった。

「馬鹿な――」

 その提案を一蹴するアーレンベルトに、恭平が続ける。

「一つお尋ねしたい」

 恭平の提示した最後の条件は、正に馬鹿馬鹿しいものだった。

 法の番人が、恭平達のような素性の知れない者の命令に従うなど、考えられない事だ。

 だが、

「貴方がたは知っていますかな?」

 法の番人が、潔白ならば、恭平達の灰色に従うことはあってはならないだろう。

 だが、しかし、

「現在の管理局の腐敗の度合いというものを」

 その法の番人が、腐っていたらどうだろう。

 それならば、もしかしたら、正当性というのは、灰色にあるのではないだろうか。

「それは……」

 アーレンベルトが、言葉に詰る。

「一つ付け加えると、今回の事件……“アッシュ”は何らかの形で管理局に恨みを持っているようです」

 その恭平の言葉が、追い打ちだった。

 アーレンベルト達とて知らないわけではなかった。

 管理局の、その暗い部分に、気付いてはいた。

 そもそも最高評議会からしておかしいのだ。

 どうして、最高評議会は百年以上も、代替わりしないのだろう。

 だが、誰もそれについて調べる事は出来なかった。許されなかった。

「それもあの狂い様……恐らくは、管理局の“被害者”なのでしょう」

 あえての、被害者という表現。

「正直なところ、我々としては自業自得なのだから管理局など、どうでもいいという考えもあるのです」

 思いがけない言葉に、リンディが机の下で堅く拳を固めた。

 それはつまり、協力の意思がないということだろうか。

「ですが、少々我々も複雑でしてね」

 そんなリンディの隠された動揺を機敏に確認しながら、恭平は三人の選択しを奪っていく。

 正当性を掲げ、能力を掲げ、そして管理局と言う人質を掲げ、追い詰めていく。

「我々は、余計な争乱を好みません。ですが、“アッシュ”の行動は我々のその望みに反するものです」

 さも自分達は善者だといわんばかりの口調で恭平は婉曲に言葉を並べる。

「管理局が潰れれば、管理外世界で暮らすにしても、平穏は嫌でも脅かされるでしょう」

 管理局がなくなれば、それによって様々な連中が好き勝手に動けることになる。

 ともなれば、魔導など存在しない管理外世界にだって余波は及ぶだろう。

「だからこそ、我々は“アッシュ”を倒さなければならない」

 まるで、それが恭平達に与えられた使命であるかのように。

 正義の使者などという言葉が最も似合わない恭平が、それらしい台詞を口にする。

「三年間、我々は連中と戦ってきました」

 提示されたその期間に、リンディ達は耳を疑った。

 三年間。

 あんな強力な力を持つ連中と、恭平達は戦ってきたというのだ。

「そして今、ようやっと戦力が充足したのです」

 その戦力の最後の一押しが誰なのか、リンディ達は気付いているのだろうか。

「しかしその戦力を確保し続けるには、管理局を守る必要がでてしまった」

 きっと、薄々は気付いているだろう。

「我々の一番の理想は、“アッシュ”が管理局の腐った部分を抉り、そこで我々が“アッシュ”を倒す、というものです」

 そこで一転、恭平は管理局をあっさりと見捨てると言った。

「その為に被害は問わないつもりだったのですが、それが出来なくなってしまった」

 その残酷なほどに冷静な理想形は、間違ってはいないだろう。

 管理局ほどの大きな間違いを正すのを、何の被害もなしに行うのは不可能に近い。

「ならば、“アッシュ”を倒す意外にも、我々はやるべきことが残る」

 その被害も出せなくなってしまったのだ。

「管理局の浄化。それもまた、我々の仕事になってしまった」

 それはつまり、管理局を襲わせない、且つ管理局を正す。その二役を恭平達が担ってしまったことを示す。

「今回はとりあえず、“アッシュ”を倒すことが目的です」

 後者の役割は、今でなくとも果たせる。

 リンディ達に敵対するような発言の後に、目の前の事象を挙げる。

 それによって恭平は、リンディ達の共感を得て、そこから心を手繰り寄せる。

「ですがその先を見据えると、どうしても局員、それもそれなりの地位の人物の協力が必要になってきます」

 再び、会話は戻る。

「これだけ言えば、お分かりでしょう?」

 聡い三人のことだ。分からないはずが無い。

 恭平は、確信めいたものを感じながら心の中だけに笑みを浮かべた。

「我々に、その役割を果たせというのか」
「貴方達は素晴らしい人格者だ」

 アーレンベルト達を褒め称える。

 嘘は無い。

 事実、彼らは素晴らしい人間だ。

 それは彼らの人間関係が証明しているだろう。

「私は、父の為に大量虐殺を行ったことがあります」

 ふと、恭平はそんなことを口にした。

「士郎は、理想の為に十の内の一を九の為に殺してきました」

 それは、アーレンベルト達を、そしてなのは達を動揺させる。

「志貴は、一人の女性の為に命を幾つも奪いました」

 こんな子供達が、そんあ残酷で、あまりに儚い行為を行ったというのだ。

 それに動揺しない人間が、はたしてどれほどいるだろう。

 恭平は自分達の過去を告げた上で、笑む。

「それらは、我々がどう思おうと、悪です」

 人殺しは罪。

 それは子供でも分かる事だ。

 自分達は悪。

 それを認めて、恭平はリンディ達を見据える。

「我々という悪は、破壊は出来ても、再生は出来ない」

 悪に従う者が、いったいこの世界に何人いるだろう。

 そして、その悪による再生は、絶対に長続きはしない。

「貴方達の協力が必要です」

 その再生を行うために、恭平はリンディ達に協力を求める。

「貴方たちを我々が手に入れる代わりに、我々は貴方達とその部下を守りましょう」

 魅力的な条件だろう。

 三人にとって、部下とは尊いものだ。

 三人にとって、管理局とは尊いものだ。

 それを両方守れるというのならば、それは、魅惑に他ならない。

「強要はしませんよ」
「強要、か」

 アーレンベルトが苦笑する。

 強要はしない。そうだろう。

 恭平は一度だって強要の言葉は口にしていない。

 だが、だからといってアーレンベルト達はこの提案を拒否できるだろうか。

「ふむ」

 フィグノスが、顎に手をあてて小さく頷いた。

「私は、その取引に応じてもいい」
「フィグノス一等空尉!」

 唐突なその言葉に、アーレンベルトが声を荒げた。

「中将……我々は、眼を背けすぎだった」

 そのアーレンベルトを正面から見て、フィグノスは言った。

「自らの正義を掲げるより前に、我々は自らの正義を確かめるべきなのです」

 掲げた正義の色が一体どんなものなのか、今まで、彼らはそれを知らなかった。

 一体どんな意味があったのかを知らなかったのだ。

 それが、人を守るためのものだったのか。

 それが、管理局を守るためのものだったのか。

「私には、力が無い」

 今までフィグノスは、疑問を抱いてもそれを知ることは出来なかった。

「だが、君にはその力はあるのだろう、“魔王”?」
「ええ」

 恭平が、頷く。

 自信に溢れ、堂々と。

「……私の夫は、」

 その様子に、不意にリンディも口を開いた。

「管理局の任務中に死にました」
「存じています。闇の書の事件ですね?」

 事前に恭平は今回の事件に巻き込まれた局員の経歴を全て調べていた。

 その中には、リンディとその夫についての表記もあった。

 それを見て恭平がまず思ったのは、皮肉だった。

 真実を知らないリンディの局への貢献が皮肉だったのだ。

「過去、夜天の書を闇の書へと堕としたものも、また管理局です」
「――っ!」

 その事実に、リンディは、口元に手をあてて漏れそうになる声を必死で押さえ込んだ。

 闇の書の事件に深く関わったなのはとフェイトも、そしてリンディの夫を部下に持っていたフィグノスも、その恭平の言葉に耳を疑った。

「本当……なんですか?」

 管理局員が、一体これまでどれほど闇の書の事件の被害にあってきたろう。

 その全てが管理局上層の尻拭いだというのならば、その死は、一体なんだったのだろうか。

「確かです。最高評議会の下、無差別的な魔導の蒐集を目的に、夜天の書はその存在を捻じ曲げられ、そして暴走しました」

 しかも、その指示を下したのは最高評議会。

 最早、性質の悪い冗談でも済ませられない。

「はやてちゃんは……このことを?」

 思わず、なのはは尋ねていた。

 自分が口を差す場面ではないと分かっていても、それを聞かずにはいられなかった。

「既に知らせた」

 そう応えられて、なのはは一層にはやてのことが心配になった。

 きっと、闇の書で一番、良くも悪くも運命を捻じ曲げられたのははやてだ。

 それが全て管理局のせいだと知ったら、はやては、一体どうするのか。

 なのはには、想像ができなかった。

「それで彼女がどう思うかは、彼女の自由だ」

 そんな思考を呼んだかのような、恭平の発言。

 一旦、場に静寂が落ちた。

 そろそろか。

 これ以上語る必要はあるまい、と。

 恭平は、静かに口を開く。

「さて、ではお聞きしましょう」

 アーレンベルトが、内心で毒づく。

 わざわざ、それを聞くのか。

「貴方がたの魂を、正義の為に“魔王”に捧げていただきたい」

 三人の答えなど、

「……答えなど、分かっているだろう」

 決まっていた。

「ご協力、感謝します」

 正確な言葉など、恭平は求めなかった。

 これだけで、最早この三人が自分の手におちたことを、恭平は実感していた。

「では、こちらからは八神はやてをそちらに返却しましょう」

 と、恭平達の背後の扉が開き、そこから少女の姿が現れた。

「はやてちゃん!」
「はやて!」

 なのはとフェイトが、その姿に表情を明るくした。

 一日も離れていたわけではないのに、どうしてか、酷く久しぶりのような感覚。

 そんななのはとフェイトや、リンディ達に、

「堪忍な、皆」

 はやては小さく、困ったように苦笑した。





あとがき
ふと思ったこと。
もう……クロノの出番ないかもなあ。

こんにちは、緋塚です。
クロノはまだいいです、ヴォルケンズやユーノなんてどうなるんでしょう。

と、まあそれは置いといて。

合流です。
なんだか変な会話入れすぎた気がしないこともありません。
きっと進行に問題はないと信じます。

一番最初のところの灼熱は、アヴァロンのアースブレイドによるものです。

もうこんくらいしか説明できるところ、ありませんかね。

それでは、また次回。





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