爆発に巻き上げられた硝子の雨が降り注ぐ。

 その中を、黒い二条の線が描かれる。

 打ち出される剣の矢をあっさりと回避し、それが起こす爆発からすらも一瞬で攻撃範囲内から出る。

 と、その黒い二条に、それに僅かに劣る速度でもう一つ、黒い影が迫った。

 しかし、それもまた、あっさりと回避される。

「舐めてるな」
「まったくだ」

 黒い影――志貴の言葉に、無数の剣を周囲に浮ばせる士郎は全力で同意した。

 まるで二人に合わせるかのように動きを止めている、二条の黒だったもの。

 細身の剣をそれぞれ携えた、二人の女性。

「Oの一番達、か」

 志貴の苦々しい声。

 その二人は、志貴達が知る限りで、敵の中で最も強い存在。

 言葉はないが、決して粗製魔法士ではないという、謎ばかりの二人。

 騎士の魔法士らしいその二人は、粗製にしては有り得ない驚異的なスペックを有していた。

 だが、二人はそのスペックを全力で発揮したことは無い。

 少なくとも、何故か二人と戦闘してきた志貴と士郎がそれを見たことが無かった。

 いや、それは何故か、など疑問に思うまでもない。

 “アッシュ”が、二人にそういう命令を下しているからだ。

「正直、助かるよな」

 士郎が言っているのは、つまりこういうことだ。


 相手が遊んでいてくれて、こちらを殺さないでいてくれて助かる、と。


 現在、Oの一番達は身体強化しか使えっていない。

 恐らくは、元の身体能力の四十五倍程の強化だろう。

 それだけ見ても粗製魔法士と比べれば何倍もの強さだが、しかし、それだけのはずがない。

 それ以外の能力を、この二人が有していないはずが無い。

 士郎と志貴は、そう考えていた。

「自己領域を使われてたら、今頃俺たちは死んでるぞ」

 冗談でも言うかのように志貴は言うが、しかし、そこに嘘は無い。

 自己領域。

 自分の周囲の空間の物質法則を都合よく書き換えてしまう、究極の反則とでも言うべき能力。

 適正騎士だけが使える、恐らく魔法士の数多の能力の中でも、一定条件下を除けば最強と呼べる能力。

 それを二人に使われれば、志貴と士郎に到底勝ち目などない。

 ただし、志貴の場合ならば、あるいは片方くらいならば倒せるかもしれない。

 自己領域はその名前の通り、自分にではなく、自分のいる空間の情報を書き換える能力だ。

 ならば、その能力の発動している領域内に入れば、誰であっても究極の反則の効果を得ることが出来る。

 Oの一番達もそれを分かっているだろうから、対策をとってくるだろう。

 志貴が自己領域内に入る寸前に、その能力を解除し、変わりに身体強化を発動し、最速で切りかかってくるだろう。

 自己領域はコストが高すぎて、他の能力と併用して使えないのだ。

 そして、自己領域から身体強化への能力切り替えまでにかかるコンマよりも前の時間。

 志貴ならば、その瞬間に敵の首を切り落とせる可能性がある。

 だが結局、それでももう一人に殺されてしまう。

 士郎の場合など言うまでも無い。

 志貴ほどのスピードがない士郎には何の抵抗も出来ない。

「全く反論の余地がないところが嫌だな」

 士郎は苦笑して、右手を上げる。

「まあ、アレを使えばなんとかなるかもしれないが」

 志貴が身を低く構え、Oの一番達を睨む。

「「恭平が、許してくれないしな」」

 そして、士郎の腕が振り下ろされ、その周囲の剣が一斉に打ち出されると同時、志貴はその剣の中に混じり、Oの一番達に駆け出した。





 その光景を、恭平の背中ごしに、アヴァロンの上からはやてが見ていた。

 あまりにも、壮絶な光景だった。

「なんや、あれ」
「戦いだ」

 振り向くことなく、恭平ははやての呟きに答え、しかし視線は正面から逸らさない。

 そこには、一人の女性が立っていた。

 下で志貴や士郎と戦っている二人と同じ口元だけが覗く形の仮面をつけた、くすんだ栗色の髪を風に凪がせた女性。

「久しぶりね、鮫島恭平」
「貴様は高みの見物か?」
「ええ、貴方と同じよ」

 恭平の言葉に余裕そのものの態度で女性は頷いた。

「“アッシュ”……久しぶりに問おうか」
「問いは嫌いなのだけれど、まあ貴方のならば聞いてあげるくらい構わないわよ」

 二人は、こんな状況にもかかわらず、平然と言葉を交わす。

 はやてにはそれが信じられなかった。

 こんな殺し合いが行われている場所で、それが無いかのようにしていられるなんて、それは一体どんな神経をしているのか分からない。

「管理局など潰して、何の意味がある?」

 恭平の問いに反応したのは、はやてだった。

 管理局を潰す?

 そんな馬鹿なこと、とは思えなかった。

 いや、それどころか納得している一面すらあった。

 あれほどの戦力を有する者の目的が管理局を潰す事ならば、それは相応ではないか。

 むしろ局の戦力の方が不足している可能性だって捨てきれない。

 AAA以上で構成される今回の大仰な部隊だって、既にその殆どがあっさりと倒されてしまっているのだ。

 それだけでも、管理局の痛手はかなりのものになってしまっている。

「意味など無いわ」
「なっ……!」

 きっぱりと答えた“アッシュ”の答えに、はやては思わず声を漏らしてしまった。

 そんなはやてに一瞬だけ視線をむけて、“アッシュ”は笑う。

「あの腐った連中を屠る。それこそが私の意味だもの」

 そこに、一体どんな理由があるのだろう。

 “アッシュ”の言葉は、明らかな嫌悪感が、憎悪が滲み出ていた。

「復讐は人を強くする、か……」

 恭平が、内心で苦笑する。

 まさかそんな言葉を、今更になって自分が痛感するとは思っていなかったのだ。

「そうよ。復讐は私をここまで強くしてくれた」

 答える“アッシュ”が、はやてに、今度ははっきりと視線を向けた。

「分かるかしら、八神はやて?」

 自分の名前を呼ばれて、はやてはぞっとした。

「よく調べているな、管理局員のことなど」
「当然よ」

 不意に、“アッシュ”の姿が消える。


「だって、高町なのはの友人だもの」


 そして次の瞬間には、“アッシュ”の姿ははやての背後にあった。

 身体を強張らせたはやての腕を恭平が引き寄せる。

「随分と大切にしているのね」
「生憎、大切な戦力候補だ」

 それよりも、と恭平が口を開く。

「高町なのはの友人だから、とはどういう意味だ?」
「さあ……?」

 とぼけて、”アッシュ“は挑発するかのように恭平達に背中を向ける。

「知り合いか?」
「そんな筈がないでしょう?」

 恭平は、そんな“アッシュ”に問うことしか出来ない。

「流石に問いすぎよ。興が削がれる」
「これは失礼」

 軽い殺気を向けられて、恭平が肩をすくめた。

 言葉を交わす意外に、恭平が”アッシュ“と出来ることはない。

 戦闘するなど、そんなことが出来るはずが無かった。

 少なくとも“アッシュ”は、Oの一番達並みか、それともそれ以上の能力を持っていると、恭平は判断しているから。

「貴方のその身の程を弁えた態度、嫌いじゃないわ」

 肩越しに恭平を見下ろして、“アッシュ”は笑む。

「だから殺さずにおいてくれるのか?」
「違うわよ」

 言い切って、“アッシュ”の笑みが消える。

「それだけの理由ならば下僕にでもするわ。先天性の魔法士培養と違って、後天性のIブレイン移植は死の危険すらあるけど、貴方達なら上手く魔法士になってくれるでしょうしね」
「だが、それならば力を得た後で反逆するかもしれないぞ?」
「自我を奪えばいいわ」

 にべもない返答に、はやては怖気を覚えた。

 自我を奪うなんて、言葉でなら簡単だが、しかし実際にはそれはとんでもないことだ。

 つまりその人がその人である証を消す、殺すということだ。

 あるいは、本当に命を奪うという意味の殺すよりも残酷な殺し。

 それをあっさりと断言する“アッシュ”という人間が、はやてには信じられなかった。

「私が貴方達を殺さない理由を教えてあげましょうか?」

 いつの間に移動したのか、恭平の目の前で“アッシュ”が腰を折って視線を合わせていた。

「見てみたいのよ、貴方の本気を」

 その冷たい指先が、恭平の頬をつたった。

「丁重にお断りさせてもらおう。まだその時ではない」

 その手を振り払って、恭平が“アッシュ”に暗い笑みを向ける。

「ええ、そうね。まだその時ではない」

 今度は恭平とはやての背後に移動した“アッシュ”に、はやてだけが慌てたように振り替える。

 そして、はやては見た。

「だからよ」

 その、“アッシュ”の本当の笑みを。

「その時に貴方達に本気で邪魔されれば、支障があるかもしれない」

 邪悪な、歪んだ、笑みだった。

「だから今見たいの。この包囲が解ける前に」

 それは、人が浮かべるものではない。

 はやては、そう感じてしまった。

「ならば今、本気でない内に殺したらどうだ?」
「勿体無いじゃない」

 恭平の言葉に“アッシュ”は平然とそんな事を言う。

「そんな管理局よりもよっぽど綺麗な力を見れないなんて、ね」

 まるで管理局など相手にしていない発言だった。

 管理局を相手にしていながら、しかしそれよりも恭平達を優先するなど、普通ならばありえない。

 だが、それは“アッシュ”には適応されない普通だった。

「ねえ、この子を殺したら、貴方達は本気を出すかしら?」
「――っ」

 不意に出た“アッシュ”の提案に、はやての身体が強張った。

「ふふっ、冗談よ。貴方は、まだ殺さないわ」

 それを冗談で済ませられるものだろうか。

 少なくとも、はやてには無理だった。

「貴方は、高町なのはの目の前で殺してあげる」

 その上、今殺すのが冗談であって、殺すのは冗談ではないらしい。

 そのどこに安堵できる要素があるだろうか。

 はやては冷や汗を流し、立ちすくむしか出来ない。

「あの、管理局の狗になんてなった愚かな高町なのはの目の前で殺して、あの子の絶望を見るの」

 そんなはやての視線の先で、“アッシュ”は心底楽しそうに踊るかのように回る。

「そして、その絶望した高町なのはを嬲り殺す」

 そんな態度でそんなことを口にする“アッシュ”の姿は、さながら稀代の狂人。

 残虐の女王は、歌うように言う。

「楽しみだわ、その瞬間が」

 一体なのはと“アッシュ”の間には何があるのだろうか。

 誰にもそれは分からなかった。

「ああ、そうだ」

 まるで自分が凄い発見をしたかのような声をあげて、“アッシュ”は踊りを止める。

「高町なのはをそんな風に殺せば、貴方達も本気を出すわよね?」

 なんという残酷な発想だろう。

 人殺しに、そんな付加的価値を見出すなんて。

 それでは、なのはは恭平達の本気を出すために殺されるというのだろうか。

 確かに、そんなことをされれば恭平はともかく、士郎や志貴は黙っていないだろう。

 無言が“アッシュ”への答えになった。

「ああ、一層楽しみになったわ」

 そんな“アッシュ”の一方的な理由でなのはが殺されてたまるものか。

 はやては言い返そうとして、だが、出来無かった。

「いいわ、それじゃあ、今回はここでお終い」

 言い返せない自分が、はやてはふがいなくてしょうがなかった。

「あと三十七時間。存分に楽しませてもらうわ」

 二人の目の前で、アッシュの足がアヴァロンの装甲から離れる。

「そうね、あんまり一方的なのもつまらないかわ、私たちもこの世界のどこかに居てあげる」

 その言葉を最後に、“アッシュ”の姿は消えた。

 はやては、唇を噛み締める。

 あれが、元凶。

 あれこそが敵。

 思い浮かぶ死者の面影。

 命を軽く見るあの態度への軽蔑。

 自分を、なのはを殺すと告げたことへの怒り。

 それは、果たして、


 復讐にも似た感情なのかも、しれない。


「はやて、一つだけ、教えようか」

 そんなはやてに、恭平はぽつりと忠告にもにた言葉を口にする。

「復讐は人を強くする」

 もし、復讐を望むのであれば、はやてはきっと強くなれるだろう。

「だが、愛情もまた――いや、それこそが最も人を――――」

 だが復讐で強くなったはやては、きっと何も守れない。

 復讐は、ただ奪う事しか出来ないのだから。

「それだけは、覚えておくといい」

 そして、恭平は自嘲気味に笑う。

「私もまだ、それを完全に理解したわけではないがな」

 過去、その愛情に敗北した“魔王”の言葉を、果たしてはやては、一体どう受け止めるのだろう。





「一応こっちにも挨拶はしておくわ」

 突如として恭平達のもとから移動してきた“アッシュ”に、志貴と士郎は身構えた。

 その身体のいたるところに切り傷を作ってはいるものの、それでも致命傷がないのは、Oの一番達にそのつもりがなかったからだろう。

「人の事を疲れさせるだけ疲れさせて、よく言う」
「予告よ。貴方達には、もうすぐ死んでもらう」

 志貴の皮肉など無視して、“アッシュ”はそれだけ言って、身を翻した。

「では、御機嫌よう」

 そして、”アッシュ“も、Oの一番達も、姿を消した。

 残された志貴と士郎は、少しだけ周囲を警戒して、構えを解く。

「……今のが挨拶ってのは、信じがたいな」

 士郎がぽつりと、苦笑した。





 一方で、管理局の二隻は、危機的状況に陥っていた。

「最大射程から少し外れた位置に、敵が包囲網を形成しています!」

 エイミィの言葉に、リンディは頭痛を覚える。

 モニターに映るのは、地平の彼方に並ぶ、少年少女の姿。

 そのどれもが薄汚れたコートを羽織り、不気味な雰囲気を纏っていた。

 あの全員が、恐らくは以前から戦場に出てきた子供達と同じような能力を有しているだろうことは明白だった。

 二隻の射程外ギリギリに包囲網を形成するといっても、それは距離にしてみれば何キロにも及ぶものになる。

 その距離を数メートル間隔で包囲する人数ともなれば、それは百や二百では足るまい。

 もしその人数が一気に攻め込んでくるとしたら、たかが戦艦二隻につまれた魔法兵器を全開で使用したところで、話にもなら無いだろう。

 そもそも対人用には作られていない兵器と驚異的な能力の子供達とでは、相性が悪すぎる。

 撃つ術の見つからない状況で、リンディは思考をやめない。

 どうすればこの状況を打破できるのか。

 諦める事など、この二隻に載る局員の為に、自分の子供達の為にも出来ない。

「何か案はありますか、ハラオウン艦長」

 フィグノスもまた、何も思いつけないでいるのだろう。

 だからといって尋ねられても、リンディとしては答えようがなかった。

「とりあえずは、戦闘局員を配置しましょう」
『賛成だな』

 リンディの、正にとりあえずの発言に、突然モニターに映ったアーレンベルトも同意する。

 というより、同意するしかなかった。

『今の様子からすると、馬鹿正直に突っ込んで繰るようには思えない。ならば、少しでも向こうに圧迫感を与えて攻撃を遅らせる』

 だが、果たして局員の配置が圧迫感になるのだろうか。

 甚だ疑問ではあるが、誰もそれを口に出来ない。

 信じたいのだ。

 こんな状況であっても、局員の力というものを。

「私も出ましょう」

 そこで、フィグノスが名乗り出る。

『では、私も……』
「それはいけません、中将」

 私も出る、と言おうとしたアーレンベルトを、フィグノスが制する。

「中将はこの状況では局員達の管理局と言う組織の象徴、支えなのです。ならば、その立場を鑑みて、指揮者という立場でいてもらいたい」

 ならば、とリンディが口を開こうとして、

「ハラオウン艦長もです」

 それを先に封じられた。

『……私は、まだまだ未熟だな』

 そこまで配慮の回らなかったアーレンベルトが、自虐的な笑みを浮かた。

『やはり、貴方のようにはいきませんか』
「これから学べば良いのですよ」

 その威厳ある顔立ちで柔らかく笑んで、フィグノスはブリッジの出口に歩き出す。

「私は、それを微力ながらも支えましょう」
『……礼を言う』





「リィンフォースの完成率はどうだ?」
「あと一時間もあれば、多分完成する。今のところ落ち着いてるし、問題は見られないな」

 恭平の問いに答え、士郎が手元のパネルを指で打つ。

「自我の崩壊も能力の劣化もなく、完璧な精度って言っていい」
「なるほど」

 満足したように頷く恭平に、志貴が口を開いた。

「で、どうするんだ?」
「本来ならば、奴が攻める、その瞬間を狙う筈だったのだがな」

 責める瞬間に、守りには隙が生じるのが常だ。

 “アッシュ”の場合で言うのであれば、それは管理局の本局を攻める時。

 恭平としては、そこを十全の戦力でついていきたかったのだが、

「でも、それを待っていたら、」
「分かっている」

 そう。その機を待つという選択は、早々にとれるものではなかった。

「そんな悠長なことをしていれば、今度こそ我々は殺される。もちろん、あの管理局員達もな」

 いくら酔狂と言っても、“アッシュ”は復讐のためならば、本気を出さない恭平達を殺してくるだろう。

 次元震の包囲が解かれる、その瞬間までには“アッシュ”が全力で攻め込んで来るのは明白だった。

「よしんば我々だけでも逃げられたところで、なのは達を失ったことではやては戦闘もまともに出来なくなるだろう」

 そうなれば結局、恭平達の戦力は三人だけになってしまう。

「それでは不安要素が多く生まれてしまう」

 そしてこの少人数で、一人でも欠ければそれは、大きな損害になる。

「戦力は向こうに隙があるよりも、こちらが充実している方がいい」

 相手が五の力の時に不安を抱えたまま挑むより、相手が十でも全力で挑む。

 それを、恭平は望んでいた。

「じゃあ、どうするんだ」

 士郎が問う。

「……リィンフォースの完成後、簡単な確認を済ませた後、」

 恭平は、少しの沈黙の後に方針を示す。

「我々は、管理局の二隻を守りにいく」

 それはつまり、事実上の強力と言う形になるのだろう。

「ということは、流石にいいんだよな?」
「ああ」

 そして、そこではやはり、それなりの苦境が待っているだろう。

 実際、管理局の戦力など当てにはならない。

 単に恭平達に守るべき足手まといが増えただけなのだ。

「とりあえず、必要ならばアレの使用は許可する」

 それに出し惜しみをするほど、恭平は愚かではない。

「ただし、士郎はあの禁術を、志貴は魔導式を殺せるということは絶対に隠しておけ」

 ただし、奥の、さらにその奥の手だけは隠すように指示する。

 こうなってしまえば、その手だけが恭平達の攻めの突破口になる。

「その上で戦闘も最低限に抑えることだ」

 出来る事ならば、戦闘自体が無い事が理想的なのだが、恐らくそれは不可能だろう。

「いいか、これは攻撃ではない」

 真剣な面持ちで、重く恭平が告げる。 

「守りなのだ」

 その言葉に、志貴ろ士郎が正反対の表情を浮かべた。

「守りは、あんまり得意じゃないんだがな」
「俺としては、望むところだ」

 片や困ったように、片や力強く。

「管理局側とは私が話をつける」

 まずは、管理局といろいろと話をつける必要があるだろう。

「安心しろ、はやて」

 そこで初めて、恭平ははやてに声をかけた。

 会議室の中、はやては、モニター越しにリィンフォースを見守り続けていた。

「ちゃんと、なのは達とまた一緒にいられるように配慮はする」

 その言葉に、その視線が揺らいだ。

「その分、ちゃんと働いてもらおうか」

 はやての視線を感じながら、恭平は小さく笑む。

「本当に、なのはちゃん達とまた、一緒にいられるんやな?」
「ああ」

 驚いたように尋ねるはやては、どこか嬉しそうにも見える。

 そんな嬉しそうにされては、上手くやらなければな。

 不思議と、恭平はどこからか力が溢れて繰るのを感じた。

「……一応、礼は言っとく」
「素直じゃないな」

 だが、はやてらしい。

 恭平は、さてどうやって管理局の連中を叩き伏せようかと、交渉の言葉を吟味しはじめた。

 残り時間は、三十六時間。





あとがき
あとがき……?
もう書くネタがありません。

というわけにもいかないので、何か搾り出します。


Oの一番達の能力について。
身体能力強化、自己領域は騎士の能力です。

今はこれ以上言えないんですが、よくよく一つ上の文章を読むと違和感を感じる方がいるかもしれません。
ヒントとしては、どうして能力をいちいち『騎士の能力』、などと表現するのか、ですかね。

うーん、このヒントだけで分かったら凄いな。

ウェザーズブレインの原作読んでいる人は分かるかも。

やっぱこの作品、原作しらないと理解できないんじゃないだろうか……(今更)

電撃文庫『ウェザーズ・ブレイン』買ってね!
と宣伝しつつ失礼します。





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