日常とはつまらないものだな


とある友人が言った


いつも同じことを繰り返してると、そのうち頭がおかしくなっちまう


とある先輩が言った


こんな世界でも、何時もと違う世界を見れるはずだ


そして...俺が言った




魔法少女リリカルなのは×オリジナル  The story ofthe different viewpoint 01 非日常




「ふぅ。今日もバイトご苦労様っと!」


優人が通う高校のご近所、某有名ハンバーガーショップからのバイト帰り

既に日は暮れ、というより20時を回っている

辺りに人影や人気はなく、車一台すら見えない

まるでこの世に1人残された気がしたが、優人は1人でいるのが好きだった

スポーツスタジアム前のだだっ広い通りを自転車で帰ろうとしている時

ETERNAL BLAZEの歌詞を口ずさみながら信号が青に変わるのを待っていた時だった

「!?」

突然の違和感に背筋を走る悪寒に身震いした


優人は異常さに気付き自転車を路肩に停めた


「なんだよ...今の...」


通学中に限らず、優人は外出時に悪寒を感じることが多い

そしてそれは危機察知能力なのではとあたりをつけていた

...悪寒の後は何かしら変なことが起こるからな


「...」


用心して辺りを見回す
気配を感じるなど出来ないので細心の注意をはらう

杞憂なら越したことはない

(でもそれで前に警察沙汰になりかけたしな)


数ヵ月前の事件を思い出す

あれはほんとに運が悪いとしか言いようがなかった


「おっ、あの光はなんだ?」

辺りを見回していた為に気付けた


星が見えない夜空に金色と桜色に緑色の光の玉が舞っていた


優人はそれを見、30秒ほど固まり一言


「ここってリアルだよな?」
念のため頬もつねるが痛い

「なんだあれ?蛍にしては異質すぎ...ってカメラカメラ!」

携帯のカメラで目の前の光景を納めようとする


「ってあれ?圏外?んなバカな」


何時も3本のアンテナを立てている携帯が、圏外を示していた


取り敢えず事態の成り行きを見ようと上空を見上げる
「ん?何か落ちてくる.........って人!?」

男性らしき人物がこっちに向かって落ちて来ているのを見て慌てる

ドシャンと生々しい音がする

間一髪巻き添えになるのを回避した優人は、目を反らした

人の死体なんて喜んで見るもんじゃない


てかあれに巻き込まれなくて良かったと思う

絶対内蔵圧迫で死ねるよな

「せめて冥福を祈るよ。見ず知らずの旦那」

目をつむったままでそちらに振り返り、短い黙祷を捧げる


黙祷を終え、目を開いた瞬間、視界を埋め尽くしたのはさっきの緑色の光だった
「うわぁ!」


突然のことに冷静さを欠いてしまう

取り敢えず逃げようとするが足が鋤くんで動かない

というか腰が抜けて地面に座り込んでいる


ソレは男性の心臓部からゆっくり出てきて...優人の方に向かってくる

近づくにつれ、光が強くなり少しすると優人の視界は緑色に覆われた






「.............」


緑色の光が収まると、優人は何もなかったように立ち上がった

そして空を見上げた


しかし先程見えていた三色の光は既に無く、漆黒の夜空を広げるばかりだった


「動かないで下さい」

「!?」


声がしたと同時に金色と桜色の鎖の様なものが優人を縛った


両脇から何かで軽くつつかれる


左右を見ると金髪と茶髪の二人の女性が鎌と杖を突き出していた


固く冷たい金属質な感覚が服越しでも感じられた


「あなたは何者ですか?」

金属の女性が聞いてくる

「三十日優人だが」

自分の名前を答える

「ミトオカ...?」

「三十日と書く」

「その三十日さんは魔導師ですか?」

茶髪の女性が聞いてきた

「どうだろうな。俺にも分からない」

憮然とした態度

ここに優人を知るものが1人でも居れば気付いただろう
今の彼が本当の彼でないことに

「一つ二つ聞きたいんだが、構わないよな?」

疑問にすらなっていない
相手側の意思は無視と言うことだ

「どうぞ」

それでも金髪の女性は許可を出した

「あんたらのその制服、時空管理局だな?」

知るはずのないことを知っている

その事に危機感を抱いたのか二人の女性は後ろに下がった

だが

「その反応、少し遅かったな」

言ったその意味を理解するまえに、二人とも腹部に回し蹴りを叩き込まれていた
いつの間にかバインドを破壊して

そして優人は空へ飛び上がった

蒼色の光の残滓を残して




急に飛び上がった魔導師らしき青年を追って二人は飛び上がった


「フェイトちゃん、もしかして...」

腹部の一撃は深くなかったのが幸いだった
たいしたダメージもないので飛行魔法もなんなく使役できた

魔力場を貫いたとはいえ、そのせいで威力が軽減されたのだろう

「うん。なのは」

二人はお互いに考えていたことを同時に言った

「「あの人はロストロギアに寄生された」」


最悪だ

あのロストロギアは人を作為的に吸血鬼に変えてしまう代物だ

「吸血するまえに捕まえないと...」

なのはは停まり、レイジングハートを構えた

「ちょっと痛いけど我慢してね!」

レイジングハートを軸に環状魔方陣が展開される

カードリッジがロードされ、攻撃準備に入る

『Divine Buster Extension』

「シュートッ!」

桜色の奔流が夜空を翔ける

それが完全に優人に当たったと思った瞬間、

「消えた!?」

「そんな!」

フェイトが叫びなのはが驚く

転移魔法を使った気配は無かった筈だ

「ピンクか。初々しくて良いじゃないか」

真下から聞こえる声にぎょっとする

そしてそちらを見てさらに驚愕した

優人は大地と平行に宙に浮いているのだ

「空飛ぶんならスカートは気を付けな。下から丸見えだぜ」

その言葉の意味に気付いてスカートの裾を押さえるなのは

ただ、優人にはその隙が欲しかった

なのはとフェイトの注意が一瞬だけそれた隙をつき、優人はフェイトも反応できない速さでなのはの懐に飛び込んだ

「もらった!」

鋭く、急所を狙った回し蹴りが再びなのはの腹部に入る

「はぐぅっ!」

胃の内容物を吐き出しそうになるのを押さえる

だがその瞬間に優人の踵落としがきまっていた

「なのは!」

凄まじい落下の勢いのせいで飛行魔法を制御出来ずにマンションにつっこむなのは

地上が物凄い砂煙におわれて何も見えない

「そんな!魔力障壁を抜けてくるなんて!」

先程とは違う、完全な貫通に驚くフェイト

「よそ見してて良いのか?」
「!」

気付いた時には後ろに回られていた

「うおらっ!」

先程よりも確実に重い一撃をフェイトはなんとか受け止めた

「おお?なかなかやるな。だが...」

少し力を入れたつもりなのだろう

右足の一撃はバルディッシュを払いのけ、二段回し蹴りの二打目が首元に撃ち込まれた

「そうそう。ここまで来て何も情報がないのはあれだよなぁ」


不適な笑みをみせる優人にフェイトは戦慄を覚えた


「あなた、ただの魔導師じゃありませんね」


「今更だな。俺の存在が普通じゃないぐらい分かったたもんだと思ってたんだが」


「くっ」


なめた口を聞く優人に少しだけ苛立つ


「そうそう。お前たちが追ってるロストロギア、回収は不可能だぜ」


「え?」


この青年が破壊したとでも言うのか


「なぜなら、ロストロギア『カイザー』はこいつに溶け込んだからな」


「そんな!」


「俺の行動はおまえたちの言葉を取ると自殺なんだろうな。けど、そのおかげで新しい身体を、よりどこを見つけられた」


自分の身体をいとおしそうに撫でる優人に言い様のない恐怖を感じた


「男と言うのが気に入らないが、魔力値は先代よりでかい。俺が本気を出しても大丈夫だろうな」


ハッタリではないことは長年の勘で分かった
間違いなく強敵だと、五体が知らせている


先程の高速移動は転移ではない
肉体強化での強引な高速移動


「ふう。だけどこいつ、運動不足だな」

「は?」


言っている意味が分からずに目が点になるフェイト

「ったく、少しは運動しろ。だから少しと言えど腹に余計な脂肪がつくんだ。おまけになんだ、この筋力の無さは。単純な格闘戦では先代が勝つな」


だが、とつぶやいたとたん、そこに優人の姿はなかった


「っ!?」

フェイトは己の失策を悟った
時間稼ぎにもならなかった優人との会話はむしろ、優人が隙を作るために使われてしまった

「このくらいの子供ならまだやり直しはきくな」

背中に鋭い一撃を入れられ、その威力のせいで飛行魔法も行使出来ずにマンションに突っ込んだ


「まったく。新しい宿主も男とはな。本来の俺にはどうやったら戻れるんだ?」
自嘲気味につぶやいたとたん、悪寒が走った

「まさか!」


気付いた時には遅かった

振り向いた先には視界一杯を埋め尽くす桜色の光がーーーー






まるで、質の悪い夢から覚めるように目が覚めた


「よかった!無事みたい!」

何時か、何処かで見たことのある少女...もとい女性が心配そうに顔を覗き込んでいた

「君は...」

少し視界をずらすと、同じく心配そうに顔を覗き込んでいた女性がもう一人

こちらも見たことがある顔だった

「俺は...一体何を...?」

緑色の光に包まれた辺りまでは覚えているのだが...そのあとは眠ったように記憶が途切れている
しかも身体の節々が痛いし

「フェイトちゃん。やっぱり覚えてないみたい」

フェイトと言う名前を聞いてぴんときた

「なのはにフェイト...?」
そこには画面越しに何度も視てきた、女性になりかけている少女二人がいた

「なんで私たちの名前を?」
さほど驚いたわけでもなさそうだ
確認のつもりで聞いてきたのだろう

「...まあ、こっちの世界だと知る要素は色々とあるもので」

ふと気付いた


俺となのは、顔近くね?


言い詰まった理由に気付いたのか、なのはは頬を赤らめた

「あっ、ごめんね。コンクリート固いし直に寝かせられないから膝枕にしたんだけど...ダメだったかな?」

純真無垢な微笑みを向けられるとどうにも調子が狂う
「ダメって訳じゃないですけど...とりあえず立って良いか?それに...顔近いし...」

自分のしていたことに気付いたのだろう
先程よりも頬をより一段と赤らめた

半ば慌てて立ち上がり、服についた砂を払った

「それで、俺なんかやらかした?」

率直に聞く

「フェイトちゃん...」

なのはが辛そうにフェイトを見た
フェイトもまた、同じ表情をしている

「言わなきゃ解らないままだよ、なのは。しっかり聞いてください。あなたはロストロギアに寄生されました」

その衝撃はでかかった

「俺が...ロストロギアに、寄生された?」





それが俺、三十日優人の非日常の始まりだった


きっかけはあまりにも突発的で...偶然過ぎて

それが俺を壊していく



新しい世界に目を輝かせながら、その一方で膨れ上がる何かを抑え、俺は一歩を踏み出した



続く








あとがき



自分で書いてて訳の分からない展開になってることに頭を悩ませている蒼天の狩人です

果たしてこんな駄文を読んでくれる人が居るのかどうか不安真っ盛りです


アニメの方を全然視れていないので設定等はnanohaWikiで調べた程度でございます


本編ファンの皆様にへこへこと頭を下げつつ執筆しております



物語はとある青年が非日常に巻き込まれるところから始まります

実はStrikfrSが始まる半年ぐらい前です
季節的にどこら辺りか全く検討がつかないので、完全にはぐらかしております

もし分かる人がいれば教えてください


次回は主人公を取り巻く新しい環境を書きたいと思います


それではまた次回
読者が増えることを祈りつつ
蒼天の狩人でした

作者さんへの感想、指摘等ありましたらメ−ル投稿小説感想板

に下さると嬉しいです。