新暦71年。

 地上部隊隊舎の医務室。

「頑張るのは良いけど怪我には気をつけないと」

「すみません……」

 右足を挫いたイルドはシャマルの手当てと注意を受けていた。

「これじゃ、暫くの間は技師官の仕事に専念ね」

「えぇー、ちょっとどうにかなりませんか?」

「なりません。暫くの間テスターは咲希さんに任せないと駄目です」

 釘を刺されたイルドは残念そうにうなだれ、そのしぐさにシャマルは穏やかに微笑んだ。




◆Three Arrow of Gold −Another Story−◆

 ▼第六章:呉越同舟の人々 −鍾乳洞脱出行−▼




 −新暦75年−

『…センサーが動かない? 壊れたのか、それとも何らかの磁場が働いているのか……?』

 見上げればつらら状に下がる幾つもの鍾乳石に、視線を下ろせば地面には立派な石筍が林立する鍾乳洞のなか。

 蒼きプロテクトデバイスを纏ったフェクダは、地面に置いたレリックケースに座りながらシェルメットのナビゲート機能を使って位置確認を行う。

 ついでメトロへと通信を送るが砂嵐のような耳障りな雑音だけで、通信を諦めたフェクダは操作をやめて後ろにいる一団へと声をかけた。

『そちらはどうですか?』

 ふいにかけられた声にスバルとエリオがそれぞれのデバイスを構え、その二人の後ろで何やらしていたティアナとキャロがフェクダの問いに答えた。

「駄目ね」

「そちらも駄目なんですか?」

 キャロに問い返されたフェクダは肩をすくめて、右の手のひらを晒してみせる。

『推測だけで結論を言うのは気が進みませんが、そちらも通信が出来ないと言うことはどうやらこの洞窟自体がなんらかの磁場を放って妨害しているんでしょう』

 結論付けたフェクダが立ち上がると、スバルとエリオがいつでも攻撃できるようにデバイスを構えた。

 二人の動きにイルドは仮面の下で笑い、周囲を観察。

 長い年月をかけて大自然が造りあげた見事な鍾乳洞のなかは、何故かほんのりと明るかった。おそらくは発光性の微生物か何かの理由があるのだろう。

 そんなことを思考の片隅で考えながら、直面した現実的な問題の解決策を考える。

 否。

 すでに策はあるのだが、向こうがどう応じるかが問題であった。

 仮面の下で意を決したイルドはゆっくりと両手を挙げて、告げた。

『ここはひとまず休戦といきませんか?』

 その突然の申し出に対してスバルが何かを言おうとしたが、一歩前に出てパートナーを制したティアナが答える。

「どういうこと?」

『何も難しくない簡単な話です。いま僕らが置かれた状況……すなわちこの洞窟から抜け出るために、その間は協力できないかと言うことですよ』

「……ちょっと待っていなさい」

 背を向け円陣を組んで会議を始めたティアナたちを見やって、イルドは肩をすくめた。

「どうします? 僕はハッキリ言って信用出来ません」

「私もエリオと同じ意見。人殺しの言うことなんか信用できないよ」

「でも、私たちだけで出れるでしょうか?」

 エリオ・スバル・キャロの意見を聞き、ティアナは提案。

「とりあえず協力しましょう、そのほうが帰れる確率は高いからね。で、私とあいつが先導するから、三人はあいつが変な行動をしないよう後ろから見張ってて。まぁ、あいつがケースを持っているから変な事しても四人で袋だたきに出来るから大丈夫だと思うけど」

「袋だたきって…ティアナさん……」

 思いもせずに暴力的な言葉が出てきたことに、キャロは一筋の冷や汗を流した。

 ティアナたちは気づかなかったが、その一連の会話はシェルメットの集音機能によってイルドの耳に全て届けられていた。

 一同の会話を盗み聞きしていたイルドは妥当な判断と内心で頷きつつ、もしもの場合の対策を考える。

 今この状況で戦闘となった場合、一対四と数の面でいうと圧倒的にイルドは不利である。しかもケースを確保した状態での戦闘となるといささか自信がない。

 正直な話し、技術畑出身のイルドは戦闘が不得意であり、今までの任務でも出来うる限り不要な戦闘は極力避けてきた。

 今回の任務にしてもケースを回収したらすぐ“撤退”する予定であったが、フォワード陣の予想外に迅速な追撃を振り切れなかったのである。

 もしフォワード陣が短絡的に“戦い”を選んだ場合、真っ先に“誰”を標的にするかを考え始めたイルドのその心配は杞憂に終わった。何故なら妥協案に対してスバルたちの同意を得られたティアナが、返答を待つイルドへと了承の意を伝えたからだ。

『有り難いことです。旅は道連れ世は情けと言いますから、出るまでのあいだ仲良くしましょう』

「そうしたいわね」

 仮面の下で安堵しつつ平然とした声でイルドが右手を差し出し、代表してティアナが握手を交わす。

 ついでイルドは無事に脱出するための“保険”としてレリックケースをスバルへと差し出した。

『これを貴女に。休戦協定の証しと思ってください』

「え? てぃ、ティアどうする?」

 思わずスバルはティアナに助けを求めると、パートナーは“受け取れ”と目で合図。

 警戒しつつスバルはケースを受け取り、その様子にイルドは声を殺して笑い、ティアナへと視線を戻して問う。

『では進むとしてどちらへ向かいます? それと僕が先導するつもりですが、それで宜しいですか?』

 微かな笑みを含んだ低音の機械音声で告げられた言葉に、盗聴されたことに気がついたティアナは内心で歯噛みしつつ、平静を装って答えた。

「えぇ。あとそのヘルメットを脱いでくれると、こっちとしてはより安心できるんだけど?」

『わかりました。貴女たちのささやかな安心と信頼を得るために言うとおりにしましょう』

 そう言ってイルドはシェルメットを脱いで、素顔を晒した。



 ◆◆◆◆◆◆



「イルド君の信号が消えた?」

 いつもどおりラボで研究に没頭していたスカリエッティは、ウーノからの連絡に眉をひそめて問い返す。

「何が起きたのかね?」

「どうやらレリック回収時に起きた戦闘の余波で陥没が起きたようです」

 空間通信の向こう、ウーノはいつも通りの冷静さで答え、マップを表示する。

 盛大に崩れた大地を見やり、スカリエッティは顎に手をやって。

「これは少々絶望的な状況と言えるんじゃないかな。信号は全く無いのかね?」

「いえ、ときたま反応があるのですがとても微弱ですぐに消えました。あと、反応のたびに位置が違うことから生存はしているみたいです」

 椅子に腰を下ろしたスカリエッティは、その肘掛けに腕を乗せて思考。

「周囲の状況は?」

「出撃したガジェットは機動六課によって全機破壊されましたが、六課は帰還せずにその周辺空域にいます。それとメトロも何処かに隠れて様子を窺っているようです」

「ほう、ということはレリックは取られていない……と言うことかな?」

 スカリエッティの言葉にウーノは頷き、補足。

「通信を傍受したところ、数名の局員がその陥没に巻き込まれたようで、その捜索も行っていると思われます」

 ウーノはそこで一拍の間を置いて質問。

「ドクター、如何いたしましょう?」

「そうだね…」

 椅子の背もたれに身を預けたスカリエッティは天井を見上げてから、静かに答えた。

「とりあえず彼からの連絡があり次第、ガジェットを迎えに出せるよう準備だけしといてくれたまえ」

「わかりました。クアットロに伝えておきます」

 空間通信の向こうでウーノは一礼した。



 ◆◆◆◆◆◆



「フリード大丈夫かな……」

「大丈夫だよ、きっとフェイトさんたちと一緒にいるよ」

 陥没に巻き込まれなかったフリードを案じるキャロをエリオは優しく励ましの言葉をかける。

「滑りやすいから気をつけてください」

「は、はい」

 水に濡れた通路を先導して歩くイルドが後方のティアナたちに注意を促すと、キャロだけがそれに返事を返した。心のなかで「信用されてないなぁ」とイルドは苦笑。

 歩き始めてかれこれ一時間ぐらいが経過したときに、エリオがイルドへと質問した。

「ところで、道はわかっているんですか?」

「ははは、流石にわかりませんよ」

 笑い声とともに告げられた言葉に、思わずティアナたちの足が止まり、スバルが焦りを含んだ声で返した。

「じゃあ何でさっきから迷い無く道を選んでるの!?」

 指摘したとおり、先を歩くイルドは分かれ道があってもすぐに道を決めていたのだ。ほぼ即断と言ってもいい素早さに、スバルは何かしらの目処があるモノと楽観的に思っていた。

 スバルに問われ笑顔を浮かべたイルドは水脈を指さすと、キャロがその意味を理解した。

「水の流れ…ですか?」

「はい、水が流れていく方向を行けば出口が見つかるはずです。ま、あくまで気休めみたいなモノですが。他に質問はありませんか? 無いなら先を急ぎましょう」

 促され、再び歩き始めた一行はしばらくして広場に到着した。

 キャッチボールでも出来そうな空間を見渡し、イルドはティアナへ休憩を提案すると彼女も同じ事を言おうとしていたらしく、すぐに合意を得られた。

 座りやすそうな石を見つけ、そこに腰を下ろしたイルドはシェルメットを起動するが先ほどと変わらず何も反応がない。

 通信機の周波数を調整しながらイルドは現状の分析と、脱出できた場合の取るべき行動を考える。

 今日の任務はいつも通りの“レリック回収”が目的であった。しかし今現在そのケースはフォワード陣のもとにある。

 今は休戦協定を取り繕ってはいるが、それはあくまで脱出するまでの話しであり、この洞窟を出た瞬間“犯罪者”と“局員”の関係に別れるのは当然である。

 もし無事に脱出することが出来た場合、ケースを奪取してしかる後にメトロと合流して逃走する必要がある。

 また、脱出できたとしても必ずしも“無事”とは限らない。予測不能の事態によって何らかの怪我を負った場合、レリックは諦めなければならないだろう。

 問題はその自分が怪我をした場合だ。

 戦闘に支障をきたす怪我を負っていた場合、一対四の戦いを仕掛けられてはイルドの選択肢は“逃亡”以外になく、メトロとの合流が不可欠である。そのメトロとの合流するまでの時間をイルドは稼がなければならない。

 そこまで考えたイルドは我に返り、自嘲気味に呟いた。

「……不安になりすぎているんでしょうかね?」

 考える時間はまだあると自分に言い聞かせたイルドは、ついで時間を確認してベルトの右側に取り付けていた小型ケースを外し、ティアナへと呼びかける。

「ティアナさん、これどうぞ」

「なに……て何これ?」

 投げ渡されたケースを開けると、スティックタイプのチョコレートが数個その中に入っていた。

 訝しむティアナにイルドは微笑。

「もうお昼ですからね。みなさんで分けてください。あぁ、それと貴重な食料ですから少しずつ食べてくださいね?」

「あ、うん、ありがとう…て、ちょっと、あんたの分は?」

「お気になさらず」

 ティアナに背を向けたイルドはシェルメットを開き、内部に異常がないか確認をしようとしたところ。

 いきなり肩を叩かれた。

 振り向くとキャロがいた。

「何でしょうか?」

 片膝をついて目線を合わせると、キャロはいきなりイルドの右手を掴んだ。

「こっちに来てください」

「は?」

 間抜けな声を挙げたイルドの手をキャロは強く引っ張り、ティアナたちのもとへと強制連行。

 そして。

「はい、これ」

「は?」

 渡されたチョコを受け取り、再度イルドは間抜けな声をあげると、ティアナは顔を背けて言った。

「さっき、あんた“みんな”で分けろって言ったでしょ? だから“みんな”で分けることにしたのよ。それと気遣ってくれてありがとう」

「はぁ…どうもありがとうございます?」

 何か釈然としないままイルドが礼を言うと、まずキャロが最初に頭を下げた。

「えっと、こちらこそありがとうございます!」

 続いてエリオも頭を下げて一礼。

「ありがとうございます」

 そして最後にスバルが、複雑な表情で頭を下げた。

「どうもありがと」

 敵同士のなかで奇妙な空気が流れ、見事に調子を崩されたイルドはただ「はぁ…?」と気の抜けた声を返すことしかできなかった。



 ◆◆◆◆◆◆



『御大将は何処にいらっしゃるのか…』

 陥没が起きた森林地帯のはるか上空、ステルスモードに移行したカスタムガジェットU“メトロ”は白雲のなかでひとり(?)己の主の反応を探していた。

 センサーには管理局の魔導師の反応しか無く、少しでも高度を落とせば発見されてこちらが撃墜されそうな危険空域である。

 身動きが取れない状況に身を置いたメトロは、ただひたすらにイルドの信号を待ち続ける。

『小生がふがいないばかりにこんなことに…』

 時代がかった物言いでメトロは猛省していた。



 ◆◆◆◆◆◆



「ティア、大丈夫?」

「う。うん、たぶん大じょ……っ!」

 出口を求め歩いていたイルドたちに問題が起きていた。

 足を滑らせたティアナが挫いたのだ。

「診せてください」

「ちょ…!」

「お静かに」

 慌てるティアナの声を無視して、イルドはベルトの左側に携帯していた救急キットから道具を取り出して手際よく応急処置を施す。

 よどみない一連の動作に思わずスバル達は感嘆の息をついた。

「……はい。これでいいでしょう」

「あ、ありがと」

「どうも。ところで歩けそうですか?」

 問われて立ち上がろうとしたティアナは鈍い痛みに眉をしかめる。

 直後、イルドが取った行動とは。

「失礼します」

「あ、あんた、ちょっと下ろしなさいよ!」

 両腕でティアナを抱き上げた。

 それは俗に言う“お姫様だっこ”である。

 慣れないことをされたティアナが顔を真っ赤にして暴れるが、それをイルドはやんわり注意。

「痛みが収まるまでの間、我慢してください。それとも暴れて今度は僕といっしょに怪我しますか?」

 そこまで言われて流石にティアナも押し黙り、イルドはにっこりと微笑む。

「ご理解とご協力感謝します。ではスバルさんとエリオさん、代わりに先導をお願いできますか?」

 礼儀正しく頼んだはずだったが、何故か思いっきりスバルに睨まれたことに疑問しながらイルドは先行するエリオたちのあとをついていく。

 出来るだけティアナに負担がかからないように気をつけながら歩くイルドに、エリオが心配そうに訊ねた。

「大丈夫ですか?」

「ははははは、大丈夫ですよ。このブーツはどんな足場でも滑らないように、そして動きやすいように造ってますからね」

 イルドが朗らかに笑った直後。

「何で笑えるんですか!」

 スバルの叫びが鍾乳洞内に響き渡り、エコーが続く。

 その音響にキャロの身体が大きく揺れたことにも気づかずに、さらにスバルは続けた。

「シャマル先生と部隊長の友だちだったんでしょう! なら何で犯罪者になってるんです! 何であんなことをするんです! シャマル先生も部隊長もすっごい泣いていたんですよ! なのに、何で笑っていられるんですか!」

「スバルさん…」

「スバル、こんな時に言わなくても…てアンタ?」

 イルドを非難するスバルを諫めようとエリオとティアナが口を開くが、それをイルドが遮った。

 イルドはティアナを静かに下ろして、スバルへと向き直る。ついで懐かしい思い出を噛みしめるようにイルドは瞳を閉じ、右手を胸に当て。

「貴女の言うように確かに僕たちは友だちでした。そして、今でも友だちだと思っていますよ」

「じゃあ、何で!」

 瞳を閉じて穏やかな声音で答えたイルドは、そこで瞳を開き、声のトーンをおとしてスバルへと問う。

「スバル・ナカジマ陸士、貴女が今するべき事は何です? 私情に流されて僕を糾弾することですか? それとも今ここで僕を逮捕することですか? 重ねて問おう、いま貴女がすべきこととは何であるのか! 答えなさい、スバル・ナカジマ陸士!」

「……ぅ!」

 一際強い口調で返されたスバルは言葉を返せずに拳を強く握りしめて、イルドを強く睨みつける。

 しかし、イルドもそれを真正面から受けて立つ。

「貴女も管理局員ならば、いま何を優先すべきかを考えなさい。いま貴女はレリックを確保している。ならば次に優先すべきは、ここから脱出してみんなとともに無事に帰還することに専念するべきでしょう?」

 正論という武器を手にしたイルドは再びティアナを抱き上げて、押し黙ったスバルの横を抜けて先を行く。

 その際にスバルを見もせずにイルドは告げた。

「出たら休戦協定は終わりです。それまでは仲良くしましょう」



 ◆◆◆◆◆◆



『……反応発見!』

 微弱な反応を察知したメトロは、管理局に気づかれないよう気をつけながら飛翔。

 しかし、その反応は数秒で消え、メトロは再び停止し途方に暮れた。

『大将ぉーー! いったい何処におられるのですかぁーーー!』



 ◆◆◆◆◆◆



「こんな時でなければ観光にしゃれ込みたいんですがね」

 イルドたち一行は広大な通路に出た。

 今までも鍾乳石はいくつもあったが、ひときわ立派な鍾乳石がいくつもつり下がっており、思わずイルドたちは感嘆の息をついた。

「すごい……」

「綺麗……」

 エリオとキャロが瞳を輝かせ、先ほどまで機嫌の悪かったスバルもその光景に心を奪われている。

 カメラでもあればなと思ったイルドであったが、ティアナの声に我に返った。

「ちょっと?」

「……あ、何でしょう?」

「いいわよ、下ろして。だいぶ楽になったから」

 促されて下ろすと、ティアナは顔を背けて礼を言った。

「ありがとう」

「お気になさらず、いまは休戦中ですから」

「あそ…なら出たら捕まえるから」

「どうぞ御自由に。ただし大人しく捕まる気はありませんよ? それと帰ったらすぐに検査を受けてくださいよ」

 二人は軽口の応酬を終え、一行は軽い小休止をしてから再び歩き始めた。

 そして、小さな通路に入って数分が経ったとき、その異変は起きた。

「いま揺れたよね?」

「何かが崩れたような感じです」

 スバルの問いにエリオが答え、いま来た方向すなわち後ろへと耳を澄ませていたキャロが自問するように呟いた。

「水の音……?」

「………まさか!?」

 慌ててイルドはシェルメットを装着し、集音機能を動かし調査。

 結果。

『水が来る! 皆さん下がって!』

 叫び、ティアナたちを下がらせたイルドは壁を睨みつけて左腕を構える。

 皆が訝しむなか、イルドは左腕に身につけたロストロギア“火竜の腕輪”を発動。勢いよく放たれた超高温の巨大な火炎が鍾乳洞の壁を溶かして、新たな通路を造る。

 そしてどこかに抜けた感覚を得たイルドは火炎放射をやめて叫んだ。

『子どもたちから先に!』

 高めの段差で焼き開かれた通路にキャロ・エリオ・ティアナの順に入り、スバルが続こうとしたその瞬間。

 イルドは、スバルを、ティアナたちめがけて投げ飛ばした。

「な……!」

 背中に三人の悲鳴を聞くなか、スバルの眼にはスローモーションのようにその光景が映った。

 大量の水流が先ほどまでスバルがいた場所、すなわち今イルドがいる場所を飲み込んだのだ。

 悲鳴を上げる一瞬も与えずにイルドへと襲いかかった水流がそのままの勢いで押し流して、その姿を流れのなかへと飲み込んだ。



 ◆◆◆◆◆◆



「もぉ〜何でこう言う日に限って誰もいないのかしら〜」

『このニトロ思いますが、日頃の行いが悪いクアットロ様に御運がないだけと判断いたす所存』

「メトロもですけど何でニトロもそんな喋りなのかしら。イルドちゃんのセンスを疑っちゃうわ〜」

『むむ! ニトロのみなら気にも留めませぬが、我が“御館様”と“兄姉上”を愚弄するならばこのニトロ、クアットロ様といえど容赦しませぬぞ!』

 スカリエッティのラボ。その一室、空間上に展開したホログラムパネルを操作するクアットロはガジェットT型に搭載された管制人格“ニトロ”に愚痴っていた。

 ちなみにニトロの言う“御館様”とはイルドのことで、“兄姉上”とはメトロのことを指す。

「ほんと、貧乏くじ〜。私も出掛ければ良かったわ〜」

 いま現在ラボを留守にしている、もしくは出れない姉妹たちの予定をクアットロは思い出す。

 トーレは何かの取引に出ており、セインとウェンディは市街へ遊びに繰り出していて不在。

 チンクはディエチとノーヴェの訓練に付き合い、ウーノはドクターの研究の手伝いをしていて忙しいため、消去法としてクアットロがイルド捜索の任に当たっていたのだ。

「しょうがないからイルドちゃんをからかって遊ぼうかしら〜」

『ご冗談はさておきクアットロ様、兄姉上から通信です』

「つないで〜」

 クアットロが告げると“SOUND−ONLY”と表示された空間映像が開き、瞳に笑みを浮かべたクアットロはメトロへと問いかける。

「メトロちゃん、反応はあったかしら〜?」

『いまだ御大将の信号は不確かなもので一向にその所在を突き止めることは困難でございます。そちらのほうで御大将を見つけることは出来ませなんだか?』

「ちょぉ〜〜〜と難しいわね〜」

 ホログラムマップと転送された映像を交互に見比べつつ、クアットロは先ほどから抱いていた疑問を解消するために質問。

「ところでメトロに聞きたいことがあるんだけど〜?」

『小生にお答えできることならば』

 パネルを操作しながらいつもの調子で返したクアットロはメトロへと問いかける。

「ん〜たいしたことじゃないから安心して〜」

『はぁ……?』

 音声通信の向こうで訝しむメトロへとクアットロは瞳を輝かせ。

「私にも“災害”のこと詳しく教えてくれないかしら〜?」

 直後。

『小生、任務に戻りまする。しからば』

「え? え?」

 通信が途切れ、傍らに控えていたニトロも。

『機密保持プログラム作動。管制人格をガジェットボディからメインボディに移行後、一時機能停止します』

「ニトロも!?」

 管制人格ニトロが搭載されたガジェットTのセンサーから輝きが失われ、鎮座。

 何も言わなくなったニトロの仮初めのボディを暫くの間つついたりして反応を伺っていたが、諦めたクアットロは眼鏡の位置を直して。

「……ウーノ姉様は知っているのかしらね?」



 ◆◆◆◆◆◆



「参りましたね……」

 下流へと押し流されたイルドは周囲を見回してイルドは呟き、その場に座り込んだ。

 場所は広大な地底湖で、コンサートでも出来そうなほどの空間である。

 青白く光る美しい水面と林立する鍾乳石という幻想的とも感動的とも言える光景であったが、漂流中(?)の身とあってはそう楽観的に楽しめる状況ではなかった。

 湖を背にしたイルドは周囲を見回して現状確認。

 水面から突き出る幾つもの鍾乳石があるばかりで、イルドの周囲にはどこかへ通じていそうな通路は一つも見あたらない。

 嘆息し、イルドは目の前の壁の、そのはるか上方を見上げて。

「登りますか…」

 諦めがついたイルドはさきほど自分が水とともに流れ落とされた穴を目指して登ることを決めた。

 シェルメットをかぶり、起動。

 距離およそ20mと計測したイルドは腰の後ろに収めていたソニックダガーの出力を抑えめにして起動。

 刃と大気を振るわすダガーを壁に突き立てたイルドは、足場と掴めそうな出っ張りを探しながら恐る恐る登る。

 ゆっくりと左手を伸ばし。

 慎重に足場を踏み。

 確実にダガーを突き立ててイルドは登る。

 いま装備しているフェクダスーツがいくら滑らないように造ったからと言って、安心は出来ない。

 こんなことになるのならソニックダガーをもう一本装備しておくべきだったとイルドは反省。

 そこで雑念が入ったのが悪かった。

 イルドの掴んだ鍾乳石が、崩れた。

『うぇ……?』

 呆けた声を挙げたイルドの身体が岸壁から離れて、浮遊。

 そして落下、地面に激突。

 さらにその地面も砕け、イルドはさらに落下。

『まさかの二段落ち……!』

 妙な驚きをするイルドがその陥没した先へと目を向けると、そこは暗黒。

 流石に血の気が失せたイルドは、枝の様に横へと伸びていた鍾乳石へと慌てて手を伸ばす。

 ヒット!

 なんとか鍾乳石にしがみつくことに成功したイルドは安堵の息をついて下を見下ろし、ついで上を見上げる。

 すると先ほどの石が転がり落ちていった。

 息を潜め、耳を澄まして十数秒。

『………音が聞こえないってどれだけですか?』

 想像も出来ない深さに呟いた瞬間、イルドの耳にひびが入る音が聞こえた。

 考えたくもない。

 恐る恐る自分がしがみついている鍾乳石の根本を見て、イルドは確認しなければ良かったと後悔。

 砕ける音が聞こえ、一瞬の浮遊感。

 直後。

 蒼い疾風がイルドの身体をさらった。

 ついで届く声。

「危機一髪…ですね!」

 イルドの左手を掴んでウィングロードを駈けるその姿は。

『……スバル……さん?』

 呆然と呟くイルドに向けて軽く笑って見せたスバルは上を見上げてウィングロードを走り、ティアナたちのもとへとイルドを連れ帰った。

「間に合って良かったです…!」

「安心しました…!」

 安堵するエリオとキャロに迎えられたイルドは困惑しながらティアナへと顔を向けると、彼女はそっぽを向いて。

「…助けられてばっかりじゃフェアじゃないでしょ?」

 その言葉に対してイルドは一同へと頭を下げて感謝。

「皆さん、ありがとうございます」

 頭を下げたイルドに一同は一瞬呆気にとられたが、すぐに笑みを浮かべ。

「さぁ、早くここを出ましょう!」

 そして合流してから一時間ほどが過ぎ、ついに鍾乳洞の出口を見つけた一行を迎えたのは、樹木のない草地であった。

「外です……!」

「良かった…!」

 鍾乳洞を抜けた一同の喜びを代表するかのようにキャロが言って、スバルも笑う。

「陽の光りがこんなに気持ちいいなんて知りませんでした…!」

「私も知らなかった…」

 エリオの言葉を眩しい太陽の光りを右手で遮りながらティアナは同意。

 脱出の喜びを噛みしめたその直後、フォワードたちの表情に緊張が走った。

 その理由は一つ。大空へと左腕をかざしたイルドが“火竜の腕輪”を発動し、盛大な炎の柱を立てたからだ。

「何のつもりですか!?」

 デバイスを構えたエリオの問いに、シェルメットを装着したイルドはいつもの低音の機械音声で答えた。

『言ったはずですよ、休戦は洞窟を出るまでだと。ケースを渡して貰います』

 シェルメットの索敵に、イルドたちのもとへと二つの光点が迫っている。一つはメトロで、残る一つはおそらく六課の誰かだろうとイルドは判断。

 時間はあまり無い。

 ソニック・ダガーはさきほど洞窟内に落としてしまったので、仕方なくイルドは不得意な無手での格闘戦を行うことに決めた。

 腰を落として拳を構えたイルドに、レリックケースをキャロに渡したスバルがリボルバーナックルを構え、ティアナも油断なくクロスミラージュの照準をつける。

 臨戦態勢を取ったフォワード陣を視界におさめたイルドは“誰”が速いのだろうかと思い、仮面の下で笑った。

 直後。

 周辺空域でフォワードたちの魔力反応をサーチしていたなのはが異変に気づき、急ぎ駆けつけた。

 そして、フォワードたち対峙するイルドの姿を確認したなのははレイジングハートを構え、即座に。

「ショートバスタァーー!」

 放たれた魔力光を感じながら、イルドはフォワード陣へと踏みだし加速。

 背後で起きた魔力爆発を無視して、一瞬にしてスバルとティアナを抜いたイルドはケースを護るキャロへと迫る。

 右手を伸ばした瞬間。

「させない!」

 エリオがその間に割って入り、ストラーダの刃先を向ける。

 対してイルドは刃先を紙一重の差で避けて、エリオの胸元へと右の手のひらを押し当てた。

 ついで。

『Stun shock!』

「………ぅぁっ!?」

 義手に内蔵されたスタンガンが発動。エリオの身体に電流が奔り、一瞬にして無力化する。

 力が抜け、膝から崩れ落ちようとしたエリオの身体を受け止めたイルドは、その小さな身体を盾にするように、右腕で締め上げるようにして抱え上げた。

『……ケースを渡して貰いましょうか?』

 エリオを人質にしたイルドは、失敗しても良い交渉を開始。

 “時間”を計りつつ、視界の端でレイジングハートを構えているなのはへと忠告。

『エース・オブ・エースに言っておきます。下手なことをすれば、僕はこの少年もろとも“自爆”しますよ?』

 イルド自身“自爆”する気はさらさら無いが、多少の牽制にはなる。

 ついでイルドは油断無くデバイスを構えるなのはたちを前にして、唇の端をつり上げて笑った。

『おさらば!』

 叫び、天高く跳躍。

 直後。

 太陽の光りを背にして舞い降りたメトロが放った照明弾がなのはたちの視界を遮り、その瞬間を突いてイルドとエリオを回収したメトロは空の彼方へと飛び去った。



 ◆◆◆◆◆◆



 ラボの厨房ではセインとディエチがおやつの支度をしていた。

「イル兄から連絡はまだ無いのかな?」

「そうみたいだね。あ、セインそこのシナモンシュガーの瓶ちょうだい」

「ほい」

 可愛らしいフェレットがプリントされたエプロンをまとったディエチはオーブンからマドレーヌを取り出して、軽くシナモンシュガーをかける。

 その向こうではモグラがプリントされたエプロン姿のセインが、チンクお手製のジャムを冷蔵庫から取り出していた。

「今日はジャムティーにするの?」

「ん、甘いの好きだからね。ところでさ、イル兄が遅くなりそうだから、今日は私たちで夕ご飯作る?」

「そうだね。たまにはイルドに楽をさせてあげようか」

 イルドの驚く顔を想像した二人は顔を見合わせて笑いあった。



 ◆◆◆◆◆◆



 白雲を突き抜け、空を征くカスタムガジェットU“メトロ”のコックピットのなか、シートに身体を預けたイルドは悩んでいた。

 理由は一つ。

 気を失ったままのエリオの処遇である。

「……まずいですよね」

『何がまずいのでしょうか、御大将? その方もいずれはこちらへ保護するつもりだったのでしょうに?』

「ん、そうなんだけど……ん〜?」

 自分のうえで気を失ったままのエリオの寝顔を見つめながら、イルドはため息をついた。

 メトロの言ったようにいずれは“保護”する予定ではあったが、あくまでそれはまだ当分“先”の話しである。

 正直、これは誤算とも言える結果であった。

「……考えていたなかでも最悪な結果ですけどね〜。レリックが手に入らなかった場合の、保険的な選択肢だったのに」

 愚痴りながらもイルドは冷静に考える。

 このままエリオをラボに連れ帰ったとしても、おそらくは逃亡を図るだろう。

 そしてもし、逃亡されてラボが管理局に見つけられては意味がない。

 これからの予定を変更することに決めたイルドは再びため息。

「……しょうがない」

『あーら、何がしょうがないのかしらー……ってちょっと!?』

 通信モニターにクアットロが映し出されるが、すぐさまイルドは映像を遮断して音声のみに切り替えた。

「音声のみで失礼しますクアットロさん、予定を変更して僕たちはこのまま“別荘”へと向かいます。到着後すぐに報告しますのでお待ちください。通信終わります」

『ちょっと早!』

 一方的に通信を終えたイルドは、クアットロの慌てた声に微かな笑みを浮かべる。

『よろしいのですか御大将?』

「リスクを考えたらしょうがありません」

『はぁ……それとクアットロ様は何やら“災害”に強い興味を持っておられるようですが?』

「ははは、クアットロさんらしい」

 イルドは小声で笑いながら、いまだ眠り続けているエリオの髪を優しく撫でて。

「メトロ、あまり気にすることはないよ。どうせ詳しいことを知っているのはドクターと僕らだけです。あと、たぶんクアットロさんは自分の知らないところで策が行われていることが気に入らないんでしょう」

 ついで小さな声でイルドは「まだまだ子ども…なんですかね?」と呟き、瞳を閉じて深く息を吐く。

「では音楽をお願いします」

『ではスリープモードで“真赤な誓い”を』

「それは寝るときに聴く音楽じゃありません…“いくつもの愛をかさねて”…をお願いします」

 スピーカーから静かに流れ始めた歌を聴きながら、イルドはエリオを優しく抱きしめた。



 ◆◆◆◆◆◆



「ん、わかった。詳しい話しは帰ってきてから聞くわ」

 エリオがさらわれたという報告を聞き終えたはやては通信を切り、組んだ両手に額を当てて深い息を吐いた。

 ついで視線を落としたまま、シャマルへと。

「イルド君がエリオをさらったって…」

「…はい」

「ウチ、どうすればええんやろな?」

 しかし、シャマルは無言。

「……ごめん、ウチよりもシャマルのほうが付き合い長いのにな」

「気にしなくて良いですよ、はやてちゃん。はやてちゃんが主になる前にも似たようなことはありましたし……だから」

 悲しい笑顔で言ったシャマルは、前から抱いていたささやかな決意をはやてに告げた。

「私がイルド君を捕まえます」



 ◆◆◆◆◆◆



「失礼しちゃいますわー!」

「あら、どうしたのクアットロ?」

「聞いてくださいウーノ姉様ー!」

 スカリエッティが使用している研究室に入ってきたクアットロが不満げに先ほどのやり取りを伝えると、ウーノとスカリエッティは互いに微笑してから感想を述べた。

「イルドさんらしいですね」

「そうだね。まぁ、クアットロも心配していたんだから怒るのもしょうがないが」

「ドクター、私は別に心配なんかしてません! イルドちゃんがいなくなったら家政夫もいなくなるから困るだけですわ〜」

 クアットロの言葉に、スカリエッティとウーノは顔を見合わせて苦笑。その二人のしぐさにクアットロはますます不機嫌になる。

「何か異論があるんでしょうか〜?」

「ふふふ…別に何もないよ」

「ウーノ姉様もなにか言いたそうですけど〜?」

「私も何もないわよ」

 意味ありげに二人が笑い、クアットロがさらに何か言おうとした瞬間。

「ドクター、いま帰りました」

「あぁ、お帰りトーレ。問題なかったかい?」

「はい」

 いつものナンバーズスーツではなく、普通のジャケットに身を包んだトーレは手にしていたケースを作業台に置き、それを開く。

 そのケースのなかにはアメジストのような紫色に怪しく光る鉱石が収められていた。

 サイズはだいたい拳二個分ぐらいの大きさである。

「何の鉱石ですか?」

 初めて見る鉱石の正体をウーノに問われたスカリエッティは楽しげに微笑して答える。

「イルド君の頼みでね。彼の故郷…第88管理世界“ミドガルド”でしか取れない貴重な鉱石だよ。名前は“ダリアル鉱”とか言ったかな」

「へぇ〜いったい何に使うんですか〜?」

 興味深そうに鉱石を観察するクアットロの問いに、トーレとウーノはスカリエッティへと視線を戻すが、彼女たちの創造主は肩をすくめてみせた。

「私も詳しくは知らないよ」

 ついでスカリエッティが空間パネルを操作すると床の一部が開き、一つの冷凍ケースが迫り上がってきた。

 くもっていて中身が判別できないが一本の“棒”のようなものと、三本の小型カプセルが収められているようである。

 白い冷気をまとい漂わすそのケースへと近づき、その中身を確認したウーノたちの表情が“険”へと変わり、その変化をスカリエッティは楽しげに観察しながら答えた。

「このダリアル鉱とその冷凍ケースの中身…今さら何に使うのかは知らないが、イルド君はその“自分の身体”が必要らしいよ?」

 冷凍ケースのなかで氷漬けにされたモノ。

 それはイルドのかつての“右腕”だった。





 ◆NEXT STAGE◆


「たぶんシャマルさんたちから話は聞いていると思いますが改めて自己紹介を。元管理局員で、現犯罪者のイルド・シーです。よろしくお願いしますね?」

「……機動六課ライトニング所属、エリオ・モンディアルです」

 微笑するイルドと、明らかな敵意を見せるエリオは互いに言葉を交わし。



「イルド、肉くれ肉!」

「アギトさん、少しは草も食べてくださいよ?」

「野菜だよ草とか言うなよ! それより肉だよ肉!」

 アギトとイルドの騒がしいやり取りが夕食を賑やかに彩り。



「エリオさん、今さら聞く必要もないでしょう? だってドクターは、君の“父親”のような人でしょう?」

 その瞬間、イルドはエリオに押し倒された。



 次回・第七章:奇妙な共同生活は始まり





◆◆◆説明補足・第六章:火竜の腕輪◆◆◆

 新暦74年の第69管理世界で発見された神殿と思しき古代遺跡に祀られていたロストロギア。
 三眼の竜の装飾が施された銀色の腕輪で、現地の守護神として崇められていたとのこと。
 当時、管理局はその遺跡調査と保護目的で次元部隊を派遣していた。だが、イルドは疑似リンカードライブの“実戦テスト”と称して派遣部隊を強襲、その戦利品としてこのロストロギアを強奪して消え去った。
 その名の通り炎を自在に操り、跡形もなく燃やし尽くすことも可能。最高温度はおそらく三千度は超えるのではないかと推測している。
 装着者の魔力や体力・精神力などを炎へと変換するため、使いすぎると危険。
 イルドはつねに“左手首”に装着している。これは義手に装着するよりも“生身”のほうがその力を発揮できるためである。





◆◆◆ イルドとイルドの後書き座談会 −ロケ地・第四陸士訓練校−◆◆◆


眼帯付けた良ルド(TAG版)
「はい皆さんこんにちわ! 僕イルドです!」

義眼の悪ルド(TAG−AS版)
「はい皆さんこんばんわ! 僕イルドです!」

良ルド
「いきなりですが……グロ禁止ーー!」

− 叫び、悪ルドのほほをひっぱたたく良ルド −

悪ルド
「あいたーーー!」

良ルド
「何考えてんですか別次元の僕!」

悪ルド
「そりゃこっちの言葉ですよ別次元の僕! 文句あるなら天に叫べですよ! あと、殴ったね! 僕は僕に殴られたこと無いのに!」

良ルド
「やかましいですよ! 別次元の僕は僕がグロとかホラーが苦手なの知ってるでしょうが! 別次元の僕は僕のことを忘れましたか! あと自分に殴られるなんて器用な事したのは多分、別次元の僕ぐらいですよ!」

悪ルド
「テンション高いな〜今日の別次元の僕…なんか美味いモノでも食いました?」

良ルド
「別に何も。まぁいいです、さぁ今回の話しについて何か」

悪ルド
「別にないですね〜。強いてあげるなら地味にメトロの弟妹“ニトロ登場”ですかね?」

良ルド
「あぁ〜あれですね。てーか何で一文字違いです? 読んでる人が間違うような気がしますが?」

悪ルド
「ん〜、あれですよ。ぽしゃった話しが幾つかあったでしょう? このアナザーシリーズはあそこから拾ってるみたいですよ」

良ルド
「あれですか。どの話し選んでも“僕だけ”何故か確実に不幸になる話しですね?」

悪ルド
「正直な話し、このアナザーは良かった方じゃありません? ぽしゃったのは大体こんな扱いばかりですし」


 ●イルド、化け物になる。
 ●イルド、全身骨折で死にかかる。
 ●イルド、無人世界に幽閉・隔離される。
 ●イルド、シャマルに豪快かつ盛大に振られる。

− 二人、頭を抱えて −

「「ろくなのがねぇ〜です!」」

良ルド
「とくに最初の“化け物”になるって酷いですよね。確かロストロギアのせいで化け物になった僕を六課の人たちが追いかけ回すって、どこの“ハ●ク”ですか? てーか最後の考えた作者ぁ張っ倒すぞ!(←すごいドスのきいた声)」

悪ルド
「しかも恐ろしいことにその“ハル●”っぽいのが最有力候補だったんですよ? まじ恐ろしいですね。ちなみに“ホーディカ”とか“BWリターンズ”とか何とかいうメモが」

良ルド
「理解した。やらなくて正解。そんな日本じゃマイナーなネタを誰が知っているんですそれ? 僕はどっちも好きですが大好きですが! すごい重要なことなので二回言いました」

悪ルド
「知らんがな」

良ルド
「なんと投げやりな。まぁいいです。でもこの“アナザー”ではほんとシャマルさんとはやてさん以外の六課メンバーは“空気”ですよね〜」

悪ルド
「ん、それはしょうがないでしょう。原作で目立っていた人たちを活躍させるより、目立ってない人たちを活躍させたほうがいいでしょう? おもに“はやてさん”とか“はやてさん”とか“はやてさん”とか“はやてさん”とか。とても凄い重要なことなので四回言いました。試験に出ます」

良ルド
「どんだけ強調して連呼しますか別次元の僕! いやそれよりもそんなことを言ったら!」

− 空間モニターが開き、そこにはにっこりと笑顔を浮かべたはやてが −

二人
「「ちび狸キタァーーーーーーー!?」」

はやて
『ん、来たで。なんやイルド君、本編と後書きのほうでも好き勝手やっててほんま楽しそうで何よりや。あとで六課に“出頭”な』

良ルド
「……もしかして僕もですか?」

はやて
『イルド君なんやから当然やろ?』

良ルド
「え、言ったの別次元の僕ですけど?」

はやて
『だからイルド君やろ? ちなみに出頭せぇへんかったら、シグナムとヴィータ向かわすんでよろしくな。ついでに言うけどもう“向かっとる”から』

− はやて、言いたいことだけ言って通信を終える −

良ルド
「……僕なにも言ってないのに。てーかあのはやてさん、どっちの世界のはやてさんですか。僕泣いちゃう!」

悪ルド
「ははははは、おめでとうございます。てーか、たぶんアナザーはやてさんではないかと思いますが自信はありません。あと気持ち悪いんでメソメソと泣かないでください」

良ルド
「なんと他人事かつ酷い言葉を。まぁいいです、ではいつもの恒例のを一発」

悪ルド
「え、また僕やるんですか? たまには別次元の僕がやってくださいよ」

良ルド
「しょうがないですね、うす。拍手を送ってくださる方々にお願いします。拍手はすべて管理人リョウ様が手作業で振り分けてくださってます。ですので拍手を送る際は

 お手数ですが“作者名”もしくは“作品名”などをご記入くださるとリョウ様のご負担が減るのでお願いします」

− 二人、声を揃えて −

「「よろしくお願いします」」

良ルド
「えーではいつも通りぼく良ルドと」

悪ルド
「ぼく悪ルドがお送りしました〜。じゃ、ただ待つのじゃ芸がないんで」

良ルド
「うす、そうですね。では迎撃用意をば」

− 頷きあった悪ルドと良ルドは何処からともなくカメラを取り出して −

良ルド
「……あ、ピンクの人と赤い幼女が飛んで来た。じゃ僕はピンクのポニーさんで」

悪ルド
「…んでは僕は真っ赤な幼女で………カメラ用ぉ意!」

− 飛行中のシグナムとヴィータをファインダーに収める二人 −

悪ルド
「スカートの中身! 拝! 観!」

良ルド
「拝! 謁! シャッタァチャァンス!」

ヴィータ
「チャンスじゃねぇぇえぇぇぇぇぇぇぇっぇ!」

− 直後、爆発とともに悪ルドと良ルドは仲良く大の字で、勢いよく吹っ飛んだ −



− 終了 −









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