新暦71年、秋。

 地上部隊隊舎の屋上から夕日と市街を眺めていたイルドは、シャマルの言葉に確認の声を挙げた。

「じゃあニッポンには本当に“サムライ”はいないんですか?」

「本当です、咲希さんの言うとおりですよ」

 朗らかなシャマルの笑みに、陸士服のうえに白衣を着たイルドは心底残念そうにため息をつく。

 そんな少年の様子に、再びシャマルは笑み。

「イルド君は本当に日本が好きなんですね」

「え? えぇ、そうですね。義兄さんもそうですけど、違う世界の歴史や文化が好きなんですよ。今はとくにニッポンが知りたいです」

 照れながらイルドが再び残念そうに「サムライ見たかったなー…」と呟くと、シャマルは口元に手を当てて笑った。

 そのシャマルの微笑みに、思わずほほを染めたイルドは金髪の女性から目を逸らして市街を見つめた。

 そしてまだ見たことのない“ニッポン”の風景を想像。

「シャマルさんの故郷でもあるんですよね…」

 ついで。

「このプロジェクトが終わったら、みんなで行きたいなぁ」

 真紅の瞳の少年の言葉に、シャマルは微笑んで応えた。

「きっとイルド君も好きになりますよ」

 互いに笑顔。

 そんな穏やかな日が、かつて存在した。




◆Three Arrow of Gold −Another Story−◆

 ▼第三章:初めての管理外世界 −イルド隠密行−▼




 −新暦75年−

 本来ならラボでの“家政夫”として家事に勤しんでいるはずの青年イルドは、とある管理外世界を訪れていた。

 海を眺めるイルドの服装は珍しいことに普段の和風アレンジの私服ではなく、黒のスラックスに白いシャツ。その上に春物のジャケットを着ている。

 地味なファッションではあるが、それがイルドにはよく似合っていた。

「広いなぁ…」

 呟いたイルドが眼前の海から視線を移動させると、緑萌ゆる山々が遠くに見える。

 ここは管理外世界“地球”の極東、日本。

 そして。

「ここが“海鳴”ですか……」

 呟き、三年前に金髪の女性と交わした言葉を思い出す。

「……こんな形で来るとは思わなかったなぁ」

 かつて憧れていた女性や友人が住んでいた故郷に、ひとり訪れてしまったことに“悔やみ”のような感情が宿る。

 しかし、喧しい声がイルドのそんな思いを簡単に打ち砕いた。

「イル兄ぃー、何やってんスかー? 早く行くッスよー!」

「遅ぇと置いてくぞ!」

 元気よく両手を振るウェンディと、腕を組んで苛立ちの声を挙げるノーヴェがそこにいた。

 ともにいつものナンバーズスーツではなく、ジーンズにシャツなどの普通の服に身を包んでいる。

 そんな赤毛のコンビ、ウェンディとノーヴェに促されたイルドは苦笑しつつ、トランクケースを両手にし、海鳴の地をしっかりと踏みしめて歩き出した。



 ◆◆◆◆◆◆



「密輸団が見つかった?」

 時は遡り、朝食の後片付けを終えたイルドはそうスカリエッティに問い返すと、彼はいつものように何かを含んだ微笑を浮かべて頷いた。

「私が造ったガジェットの残骸を使って下劣な兵器にした低俗な一団だよ」

「確かに技術者からしたら、勝手に仕様変更されるのは腹が立ちますね」

「君もそう思うだろう?」

 同意を得られたスカリエッティが満足そうに頷くと、鍵盤型コントロールパネルを操作したウーノが空間映像を浮かび上がらせる。

 そこに映し出されたのは、自然豊かな街。

「管理外世界“地球”にある小国“日本”の地方都市“海鳴”です」

「…ここが海鳴ですか」

 感慨深く呟き、イルドはその映像を見つめて、右手を口元に当てて思考。

 −ロストロギアが関係した事件が二件起きた街−

 −P・T事件−

 −闇の書事件−

 −AAAクラスの魔導師が集結した街−

 −かつて憧れた女性の故郷−

 雑念が入り、イルドはそこで思考を中断。

 口元に当てていた右手を晒して質問。

「出張…ということですか?」

 問うと、スカリエッティは楽しげに微笑し、ウーノは言葉で応えずにパネルを操作。

 新たに開かれた空間映像には数名の人物データが映し出された。

「彼らが悪用している悪い人たちだ」

 スカリエッティが愉快に言い、対してイルドはとくに感想を持つ必要もない平凡な悪党の経歴に、見る必要もないというふうに肩をすくめた。

「わかりました、すぐに出る準備をします」

「健闘を祈るよ」

 いっこうに変わらないスカリエッティの微笑を受けたイルドは一礼して応えると、そこに二人の少女が姿を現した。

「いつもイル兄だけずるいッスー!」

「……つまんねぇ」

 不満を隠しもしないウェンディとノーヴェの登場にスカリエッティは苦笑し、ウーノは無言で肩をすくめた。

 そしてイルドは。

「じゃ僕すぐに出るんで後よろしくお願いします」

 右手を『シュタッ!』という音が聞こえそうな勢いで挙げたイルドは、踵を返して足早に部屋を出ようとした。

 だが。

「イル兄、置いて行っちゃイヤッスーーー!」

「バゴァ!」

 両足にしがみついてきたウェンディによって、イルドは見事に床に激突。

 さらに。

「…だせぇ」

 頭上からかけられたノーヴェのトドメの声に心のなかで泣きつつ、イルドはスカリエッティに助けを求めた。

「ドクター?」

「ふむ、どうしたものかね?」

 苦笑しながらスカリエッティが出した答えは。

「まぁ、たまにはいいんじゃないかね?」

「イィヤッホゥーーーーーッス!」

 再び頭を床に激突させて沈黙するイルドと、両手を挙げてはしゃぐウェンディはそのままのテンションでノーヴェに抱きつく。

「は、放せウェンディ!」

「んーノーヴェもあたしと喜びを分かち合うッスよーー!」

 力一杯抱きしめてくるウェンディをノーヴェが何とか引き離したと同時に、突っ伏していたイルドも立ち上がり、挙手。

「はい、ドクター」

「何かね、イルド君?」

「いいんですか?」

 再度問われてスカリエッティは一度天井を見上げてから返答。

「二人とも戦闘行為は禁止だよ」

「「えぇーー!」」

「二人とも当たり前でしょう」

 赤毛コンビが丁寧に声を揃えて返すと、ウーノが当然続く。

「まだ貴女たちの装備は調整中なんですから、面ど……危ないことは全部イルドさんに任せなさい」

「ウーノさん、いま“面倒”と言おうとして言い直しませんでした?」

「なんです、イルドさん」

「何でもありません」

 冷血としか表現できない瞳に射貫かれたイルドは即答して沈黙。

 そんなイルドの反応に苦笑しつつ、スカリエッティは外出に当たっての条件を娘たちに提示していた。

「まぁそういうわけでイルド君に仕事を任せて二人は楽しく観光してきなさい。くれぐれも問題を起こしてはいけないからね。もし約束を破ったら…」

 一拍の間を置いて。

「その時は二人の嫌いなピーマンとニンジン尽くしの食事になるから期待しておいてくれたまえ。もちろん向こうではイルド君の言うことを聞くんだよ?」

「ニンジンはイヤッス〜!」

「……くそ!」

 スカリエッティの言葉に二人は顔を見合わせたあと、最初にウェンディが叫び、ノーヴェは舌打ちしてイルドを睨みつけた。

 その視線の先では。

「ではイルドさん、お土産はこのお店のケーキを頼みます」

「実はウーノさん、僕のことただの使いパシリだと思ってません?」



 ◆◆◆◆◆◆



 時を戻して、海鳴市。

 ホテルのチェックインまで時間があるので、イルドたちは市街の観光をしていた。

 学校。

「うひょー、子どもがいっぱいいるッス! ノーヴェも見るッスよ!」

「んなもん見て何が面白いんだよ?」

 商店街。

「良いにおいがするッス〜。イル兄ぃ〜食べるッスよぉ〜」

「まだお昼前です。我慢してください」

 臨海公園。

「海ッスよ、海! ボード持ってくれば良かったス! それとも泳ぐッスか!?」

「まだ寒いのに無茶言わないでください」

「ウェンディ少し黙れ」

 とくに行く先を決めずにフラフラと観光しているあいだ、初めての管理外世界と言うことでウェンディは終始はしゃぎまわり、ふだん仏頂面なノーヴェも今日は落ち着きがなかった。

 さすがにそれをノーヴェに指摘すると怒られるだろうからイルドは黙っていたが、姉妹たちの喜ぶ姿に内心で彼も喜んだ。

「うっわぁーーー、凄いおっきな家ッスねー! 門もでかいけど庭も広いッス! あ、ノーヴェにイル兄、あそこに猫ちゃんがいっぱいいるッス!」

「うっはぁ、見事な猫屋敷ですね。ここの人は猫好きなんですかね? 僕も好きですけ…ん?」

 そこでイルドは、騒いでいるウェンディの横でノーヴェが沈黙していることに気づいた。

 見るとノーヴェはほほをうっすらと赤く染めてひなたぼっこをしている子猫たちを食い入るように見つめていた。

「ノーヴェさん、どうしました?」

「……あ、ち、違うぞ別に子猫が可愛いだなんて思っていないからな!」

 イルドの声に我に返ったノーヴェが慌てて叫ぶが、後の祭り。

 ノーヴェからウェンディへと視線を変えると、彼女は楽しそうに瞳をしならせて口の端をつり上げる。

「ふ〜ん、ノーヴェは猫にゃンが好きなんスね〜?」

「ば、ウェンディぶっ飛ばすぞ!」

「いやぁ〜ん、痛いのはあたしの趣味じゃないッス〜」

 逃げるウェンディと追いかけるノーヴェ。

 姉妹のじゃれあいと、仲良く昼寝する子猫たちを見比べてイルドは思わず感想を呟く。

「やれやれ、どっちが猫なんだかわからないですね。これじゃあ?」

 肩をすくめ、イルドは先を行く妹たちを追い始めた。

 そして三人が商店街に戻ってからしばらくして。

「………迷いましたね」

 商店街の歩行者天国。

 そのど真ん中で、イルドたちは途方に暮れていた。

「ウェンディがメモ落とすから」

「うぅ〜…ごめんッス」

「まぁまぁ大丈夫、何とかなりますよ」

 ノーヴェに睨まれたウェンディが首をすくめて謝るが、イルドはそれを右手を軽く振って慰める。

 するとウェンディが笑顔で抱きついてきた。

「ん〜やっぱイル兄は優しいッス〜!」

「ちょ、ちょっとキツイですウェンディさん! あ、ノーヴェさんも何で距離を取っているんですか!? あいたーー!?」

「お前らと一緒にされたくない」

 戦闘機人の力で抱きしめられたイルドが悲鳴を上げると、ウェンディは直ぐさま離れて明るく笑った。

「いや〜、思わず力入っちゃったッスよ〜」

「勘弁してくださいよ、僕は貧弱なんですから」

「は、よく言うぜ。いつも訓練じゃアタシたちに勝つクセに」

 謙遜(?)するイルドに向けてノーヴェは悪態をつくが、彼は気にもとめずに苦笑しようとした。

 その瞬間、強烈な悪寒がイルドを襲った。

「どうしたッスか?」

「どうしたんだよ?」

 勢いよく振り返ったイルドは訝しむ声を無視して、二人を護るようにして周囲を警戒しようとして、動きが止まった。

「あ……貴女は…?」

 驚きで目が丸くなっていることを自覚しながら、イルドは思わず問いかける。

「え、えぇと…何か困ってるみたいだからどうしたのかな〜って…」

 イルドが振り返った先にいたのは、眼鏡をかけた三つ編みの女性。

 突然イルドが振り返ったことに驚いたらしく、笑顔を浮かべたほほが引きつっている。

「……すみません、驚かしてしまったようで」

 先ほど感じた悪寒が消え去ったことに安堵しながらイルドが詫びると、その女性も気を取り直したらしく笑顔で返す。

「ん〜こっちこそ驚かしちゃったみたいだからおあいこだよね」

「そう言っていただけると僕もいくぶん助かります」

 女性に対して失礼がないよう出来るだけ気を払いながらイルドは頭を下げる。

 その丁寧な対応に気をよくしたのか、女性はさらに明るく笑った。

「もう気にしなくて良いよ〜。それで何か困っているようだったけど道に迷った?」

「ははは、その通りです。出来れば教えて頂けると嬉しいのですが」

「うん、いいよ。どこに行きたいの?」

 右手を胸に当て朗らかに笑うイルドに苦笑しながら女性は快諾。

 再びイルドは頭を軽く下げてからこう答えた。

「……“翠屋”というお店に行きたいのですが」



 ◆◆◆◆◆◆



 来る客の心を落ち着かせる雰囲気の喫茶店“翠屋”。

 そのカウンター席で幾つものケーキを平らげるノーヴェとウェンディ、そして紅茶を飲みつつ談笑するイルドの姿があった。

 その談笑の相手とは。

「ははは、まさか美由希が迷子の客を連れてくるとは思わなかったよ」

 先ほど自己紹介を終えた店長“高町士郎”は楽しげに笑い、隣にいるパティシェである妻“桃子”も微笑。

「はははは、何とも恥ずかしい話しです」

「私もまさかうちのお客さんだとは思わないしねー」

 互いに顔を見合わせたイルドと美由希は苦笑。

「それでここへは観光かい?」

「何というか仕事半分観光半分と言ったところです」

「あら、お仕事ってどんな?」

 桃子の問いに思わずケーキを食べる手を止めたウェンディとノーヴェの瞳が、保護者代理へと向かう。

 すると二人の保護者代理はこともあろうにあっさりと答えた。

「えーとですね、失せモノ探しみたいな仕事です」

「探偵かい?」

「うわ、なんかそれ格好いいね」

「んー、なんか違う気もしますがそんなものと思ってください」

 会う人の気持ちを暖かくさせるような高町家の人々の微笑みに、イルドは右手で髪をかき上げて照れ隠しの笑み。

 ついで紅茶を一口飲んでから、羨望の眼差しで店内を見回して美由紀たちへと穏やかな声で言った。

「でもいいですよねー、家族揃ってお店をやるのって」

「そうね、大変なこともあるけどそれ以上に得られるモノもあるから」

 穏やかな桃子の微笑みにイルドの心のなかに幼いころの夢が甦るが、美由希の声がイルドを現実へと引き戻した。

「ところでさっきから気になっていたんだけど…」

「何でしょう、美由希さん?」

 そこで美由希は、イルド・ノーヴェ・ウェンディの顔を順に見やってから先ほどから抱いていた疑問を尋ねた。

「兄妹なの?」

 その質問に即座に。

「兄です」

「恋人ッス!」

「他人だ!」

 それぞれが同時に答えたイルドたちは一瞬の間を置いて、顔を見合わせる。

「「「あれ?」」」

 直後。

 三人の様子に高町家の人々は、盛大に笑い声を上げた。

「ははは、兄で恋人で他人とは忙しいな」

 肩を揺らして士郎は笑い。

「ふふふ…面白い子たちね」

 口元に手を当てて桃子は上品に笑い。

「あははは、うんイルド君たちホント面白いよ」

 普段接することのない暖かな笑い声にノーヴェとウェンディはほほを赤く染めて、イルドはそんな二人の様子に微笑を浮かべた。



 ◆◆◆◆◆◆



 翠屋での穏やかなひとときを終え、今夜泊まるホテルへと到着したイルドたちであったが、そこでささやかな問題が起きた。

「なんでお前と同じ部屋なんだよ!」

 ロイヤルスイートと呼ばれる部屋の居間、ソファーでくつろぐイルドのまえで仁王立ちしたノーヴェの怒声が響く。

 しかし、イルドはとくに気にもとめずにホテル案内をパラパラとめくって楽しげに感想をもらす。

「いや、凄いですね。レストランがいっぱいありますよ。へー、大浴場の他にプールもあるんですね」

 海鳴でも五指に入る一流ホテルと言うだけあって、イルドたちがいるスイートも立派という他なかった。居間にホームバー、広いバスルームに寝室は二つという豪華な部屋だった。

 心のなかでイルドは「ドクターは親バカなんですかねぇー?」と疑問に思いつつ、ホテル案内をテーブルへと戻した。

「プールあるなら泳ぎたいッス! あ、イル兄、ノーヴェなに飲むッスか?」

「ウェンディさん、ビールは駄目ですよ。それと僕はリンゴジュースで。ノーヴェさんは?」

 ホームバーの冷蔵庫から当然のようにビールを取り出したウェンディに向けて、イルドは注意しながら注文しつつノーヴェに問うと、赤毛の少女は金色の瞳を吊り上げて怒っていた。

「無視するな!」

「ちゃんと聞いていますからそんなに怒らないでくださいよ、ノーヴェさん。可愛い顔が台無しですよ?」

「ば……てめぇバカにしてんのか!」

 顔を一気に紅く染め上げて怒鳴るノーヴェに、イルドは内心で苦笑しつつ出来るだけ真面目な顔で先ほどの質問に返した。

「同じ部屋なのは仕方ありません。ここでの僕たちは表向き“兄妹”なんですから家族が別室にするのもおかしな話でしょう?」

「う……」

 イルドの正論にノーヴェは思わず呻いて沈黙。

 するとウェンディがさらにイルドの援護。

「良いじゃないッスか別に。多い方が楽しいッス」

 その言葉にノーヴェはついに観念し、両手を腰に当てたウェンディは満足そうにイルドに笑顔を向け、イルドも苦笑しながら頷いた。

 ついでジュースを注いだ三つのグラスを持ってきたウェンディは、それをテーブルに置いて、イルドの隣に腰を下ろした。

「はい、リンゴジュースッス」

「ありがとうございます」

「ん、サンキュ」

 先ほど怒鳴った喉を潤すためにノーヴェがグラスに口をつけた瞬間。

「んじゃ、夜は三人“いっしょ”に寝るンすね」

「ブッ!」

 ウェンディの爆弾発言にノーヴェは飲んでいたジュースを勢いよく噴き出し、哀れにもイルドはその被害者となった。

「ノーヴェ汚いッス!」

「バカが変なこと言うからだろ!」

「………えーと僕は着替えてきますね」

 喧々囂々とやかましい口喧嘩を始めた妹たちを居間に残してイルドは顔を洗い、濡れた服を着替えて戻るまで、二人はそれを続けていた。

 しょうしょう呆れながらも微笑ましい光景に微笑して、イルドは再びソファーへと腰を下ろすとウェンディが笑顔で笑いかけてきた。

「イル兄もそう思うッスよね?」

「何をです?」

 ウェンディが「兄妹なら一緒に寝ても問題無いッス!」と主張するのだが、対してノーヴェも「んなこと出来るか!」と感情だけで反論。

 同性ならば何の問題もないのだが、残念(?)なことにイルドは男性すなわち“異性”であった。

 正直な話しどちらでも構わないのだが、男性であるイルドがさすがに全面的かつ積極的にウェンディの意見に賛成するわけにもいかないので、ここはノーヴェの側につくことにした。

「ノーヴェさんとウェンディさんはそちらのツインベッドの寝室をお使いください。僕はこちらのシングルを使いますので」

 イルドの言葉に、ウェンディは残念そうに「一緒が良かったッス」と、ノーヴェは「まぁしょうがねぇか」と、それぞれが呟くことでこのささやかな議題は終わりを告げた。

 そしてイルドたちは夕食までの自由行動に入った。まぁ、あくまでホテル内のみという条件付きであったのだが、赤毛コンビは素直にそれに頷いて返した。

「…………広いなぁ」

 目的もなくホテル内を歩き回っていたイルドは大浴場へと行ってみようと思いたち、用意をするために部屋へと踵を返した。

 そして部屋に入ると、ノーヴェとウェンディが一足先に戻っていたのだが。

「お、イル兄似合うッスか〜?」

「……な、てめぇ見るな!」

 グラビアアイドルのような悩殺ポーズを取ってみせるウェンディと、真っ赤な顔をしてバスタオルで身体を隠すノーヴェがそこにいた。

 互いに、水着姿である。

 内心で「これじゃウェンディさん本当にアホの子ですよね」と正直に思いつつもイルドは感想を答えた。

「……はぁ、お似合いですよ?」

 自分でも間の抜けた返事をしているなと思いつつもそう返した直後、視界が黒い闇に沈み、妙に柔らかい衝撃がイルドを襲った。

 仰け反り見ると、ノーヴェが投げつけたクッションが宙を舞っていった。



 ◆◆◆◆◆◆



 夕食を終えたイルドはホテルに二人を残して海鳴の港、倉庫街へとやって来ていた。

 時刻も十時を過ぎるとさすがに人の気配もなく、妙に肌寒い。

『……確か二八番倉庫のはず…』

 倉庫の屋根のうえ。プロテクトデバイスに身を包み、片膝をついて倉庫のゲートに書かれた番号を確認するイルドの姿がそこにあった。

 今夜のイルドは“隠密用”の漆黒のライダースーツのうえに蒼いプロテクターを装着した姿である。

 隠密任務のため、通常は胸部プロテクター中央で光り輝く“疑似リンカードライブ”は第三次保護層によって堅く閉じられ、その輝きを遮断されている。

 右の義眼を“望遠モード”に切り替えて探索。

『……あそこですね』

 屋根の上で姿勢を低くして身を隠したイルドの視線の先には“28”と書かれた倉庫と、見張りと思しき黒服の男たちがいた。

 黒服の人数は四人で、それぞれがデバイスを所有しているところから全員“魔導師”と判断。

『…絵に描いたような格好ですね、あれで忍んでいるつもりですか?』

 一昔前のTVアニメにでも出てきそうなお決まりの格好の黒服たちに、思わずイルドはそう感想をもらしたが、すぐに気持ちを切り替えた。

 自身がいる倉庫の屋根と目的地の屋根の距離を確認し、脚に力を入れる。

 跳躍。

 音もなく二八番倉庫の屋根へと降り立ったイルドは“忍び”の如く、音もたてずに屋根の上を歩く。

 監視する黒服たちの頭上から彼らを監視するイルドは死角に入るタイミングを計る。

 ………3

 ……2

 …1

 一人の黒服が死角に入った瞬間、その背後に軽やかに降り立ったイルドは悲鳴を上げる暇さえ与えずに首の骨をへし折り、蝙蝠が空を飛ぶようにしてその身体ごと再び屋根へと舞い戻る。

 ついでその作業を三回繰り返して彼らを物言わぬ“物体”にしたイルドは、窓から倉庫内部へと侵入した。

 薄暗い明かりのなか、倉庫内に数名の男たちがいる。

 フルフェイスマスクに備え付けた集音機能を起動させて、彼らの声を聞く。

 会話の内容はわかりやすいほどの、悪役お決まりの会話であった。

『……“悪党”が“悪党”を“始末”するというのもおかしな話ですが』

 呟いたイルドは義眼を“索敵モード”に切り替えて探索。

 コンテナ内部に“劣化型ガジェットT”を発見。

 数は五機。

 つぎはぎの外観を見てイルドは得心。

『……なんと不細工な…ドクターが怒るわけです』

 そう呟いたイルドは彼らが中央へと集まった瞬間を狙い、勢いよく飛び降りた。

 相手を動揺させるために一際派手な音をたてて着地すると、イルドの思惑どうり密輸団は奇妙な来訪者の出現に一様に呆気にとられたが、リーダー格の男の声にすぐに我に返った。

 しかし部下を叱咤するリーダーの声は驚きを微かに含んでおり、部下の驚きを鎮めることは出来なかった。

「なんだ貴様は!」

 悪党らしいお決まりの台詞に、仮面のしたで苦笑したイルドは低音の機械音声で答えた。

『I’m PHECDA』

 倉庫内に良く響く声で答えたイルド=“フェクダ”は、さらにこう付け加えた。

『You are guilty.The judgment is a death penalty』

 彼らに“死刑宣告”したフェクダはまず背後にいた男の腹部にソニックダガーを勢いよく突き立てた。

 衝撃に身体を揺らした男の口から血が溢れ、引き抜くと同時にその頭に回し蹴りを放つ。

 身体強化を目的に造られた特殊スーツと、その衝撃から身体を護るために特殊金属“ビーメタル”で造られた鋼鉄のブーツの蹴りは、男の首をたやすくへし折った。

 ついで跳躍したフェクダは、空中で回転しながらベルトのバックルにある赤いスイッチを押し込み、ミュージックスタート。

 着地と同時に別の男の胸中央に拳を打ち込み、叫ぶ。

『The song today is “ウルトラマンマックス”!』

 場違いなヒーローソングが倉庫に響くなか、フェクダは先ほど拳を打ち込んだ男の首に自らの脚をかけて振り子のように全身に勢いをつけた。

『Ha!』

 掛け声とともに放たれた“フランケンシュタイナー”が、男の頭部をコンクリートの床に叩きつけて冥府へと旅立たせる。

 さらにフェクダは曲に乗って動きを加速。

 デバイスを構えた魔導師に跳び蹴りを食らわして着地したフェクダはすぐさま振り返り、ロストロギア“火竜の腕輪”を装着した左腕を突き出して紅蓮の炎を放って、後方にいた魔導師の顔面を焼き上げた。

 劫火の舌に舐められた男が悲鳴を上げ、顔を両手で押さえて転がりまわるなか、フェクダは槍型デバイスを構えて襲いかかってきたもう一人の魔導師の手を蹴り上げる。

 ついで構えた拳を腹部に打ち込む。

 さらにフェクダは崩れ落ちる魔導師の背、心臓の部分を狙い、ソニックダガーを勢いよく突き刺す。

 絶命した魔導師からダガーを引き抜くと同時に、杖型デバイスをライフルのように構えた魔導師を補足。

 デバイスを構えた魔導師へと全身を向けて、深く息を吸い込み、力を漲らせるように両腕を開いたフェクダはその鋼鉄の胸を張る。

《Chest plate Open−up》

 バックルから機械音声が告げられると同時に、胸部中央の第三次保護層が開かれ、“疑似リンカードライブ”の白い輝きが解放される。

 ついでフェクダはコマンド。

『AMF Start−up』

《Complete》

 再びバックルから放たれた機械音声と同時に“疑似リンカードライブ”が放つ白い輝きが真紅の光りへと変貌。

 その光りの変貌と同時に杖型デバイスからマシンガンの如く魔力弾が連続で発射。

 しかし、その光りの弾丸はAMFによって護られたフェクダに触れることなく宙で霧散した。

 驚愕に目を見開く魔導師へ向けてフェクダはさきほど殺した魔導師が使っていた槍型デバイスを右手に構え、投げ放つ。

『Jackpot』

 投げ放たれた槍が魔導師の胸を貫き、その勢いのまま壁に突き刺さり、目を見開いたまま絶命。

 そして。

『Be quiet』

 フェクダは先ほどの顔を灼かれて悲鳴を上げ続ける男の首を折って“お静かに”と注意。

 その男を最後にして、密輸団はリーダー一人を残して、動かぬ骸となった。

『It executes the last death punishment』

 死刑執行を告げられたリーダーは、フェクダに怖れながらも拳銃を構えて最後の手段に出た。

 それは。

「が…ガジェット起動!」

 リーダーの叫びと同時にコンテナを内側から破壊して現れた五機の“劣化型ガジェットT”が、フェクダを即座に取り囲む。

 機体に装備されたレーザーサイトの紅い光点がフェクダの身体を照らし、射撃体勢を取る。

 だがフェクダは動揺した様子を微塵も見せずに、人差し指を立てた右手を静かに掲げた。

 そのしぐさに観念したのかと思ったリーダーは勝利を確信して、ガジェットに命令。

「撃て!」

 合図と同時に劣化型ガジェットTは“互い”にレーザーを撃ち込み自爆。

 倉庫内に炎が広がり、思いもしない誤作動にリーダーが呆然とするなか、マスクの額部分を紅く明滅させたフェクダが低音の機械音声で事実を告げる。

『遠隔操作して共倒れしていただきました』

 紅く燃える炎を背にゆっくりとした足取りで近づくフェクダの声に、リーダーは条件反射だけで手にしていた拳銃を発砲。

 しかし、放たれた弾丸はフェクダのプロテクターに火花を散らして弾かれた。

 全ての障害を楽々と退けて悠然と歩くフェクダの姿を、リーダーは“死神”のようだと錯覚して、膝からくずおれる。

 否、現実に死神となって密輸団の前に現れたフェクダは、紅蓮の炎を纏った左の手のひらをリーダーの眼前に構えて、裁判官のように静かに、そして厳かに告げた。

『火葬にして差し上げましょう』

 その言葉が、リーダーが聞いた最期の言葉であった。



 ◆◆◆◆◆◆



 翌朝。

 昨夜ホテルに遅く帰ってきたイルドがシングルベッドで眠っているときにそれは起きた。

「イル兄起きるッスよ〜!」

「かはぁ!?」

「お、目を覚ました」

 勢いよく寝室の扉を開けて入ってきたウェンディが、勢いよくダイブ。

 見事にプレスされたイルドが悲鳴を上げて目を覚ます。

 ついで文字通り飛び起きたイルドは頭を振って眠気を払ってから、赤毛の妹たちに朝の挨拶。

「お早うございますノーヴェさん、ウェンディさん」

「うーっス、お早うッス!」

「…おはよう」

 陽気に笑うウェンディと、いつも通り不機嫌そうなノーヴェに迎えられてイルドは笑顔。

 着替えと洗顔を済ましたイルドがテレビを付けると、ニュースレポーターが火災現場を報道していた。

『……昨夜、倉庫街で起きた火災はいまだ鎮火の兆しを見せず……』

「今回は派手にやったッスね」

「証拠を残すわけにもいきませんからね」

 報道を眺めながらイルドはそう答えて気持ちを切り替えるために手を打った。

「では朝食を終えたら帰り支度をしますよ」

「えぇー」

「はい、ウェンディさん文句を言わない。あとノーヴェさんも残念そうな顔しないでください」

 朝食を終えたあとテキパキと指示しながら、とくに問題を起こすこともなく三人はホテルを出て行った。

 そして。

 イルドはひとり、海鳴の臨海公園で海を眺めていた。

 ノーヴェたちには昨日のうちに注文しておいたケーキを翠屋に取りに行ってもらっている。

 二人が戻ってくるあいだイルドは手すりに寄りかかって、ただ海を眺め続けていた。

「……はぁ」

 叶わぬ願いを思い出してため息をつく。

 三年前にいた愛すべき人々を思い浮かべるも、すでに彼らは存在しない。

 その事実にイルドは再びため息。

「……一緒に来たかったなぁ」

 直後。

「誰とだよ?」

「うっはぁ、お二人とも早かったですね!」

 ふいにかけられた声に驚き振り返ると、ケーキがおさめられた箱を手にしたノーヴェとウェンディがそこにいた。

 イルドの様子に怪訝の色を浮かべるノーヴェに続いて、ウェンディが瞳をしならせて笑う。

「イル兄、いったい誰となら良かったんスか? にぃ〜ぐりぐり、言うッスよぉ? アタシならいつでも大歓迎ッスよ〜?」

 肘でイルドをつつきながら笑うウェンディに、イルドも微かに笑い、ひらいた右手を静かに挙げる。

 ついで挙げたその手をウェンディの頭に乗せて、乱暴に撫でた。

「あぁ〜イル兄やめるッス、髪が乱れるッス!」

「ははは、僕をからかおうとするからですよ」

 笑い、撫でるのを止めたイルドはノーヴェへと視線を向けて、今度は彼女の髪を優しく撫でた。

「て、てめぇ止めろって!」

「暴れちゃ駄目ですよノーヴェさん。ケーキが崩れたらウーノさんに怒られますよ」

「卑怯だぞ!」

 そこでイルドは撫でる手を止めて、笑顔。

「今度はみんなで来たいですよね。ウーノさんにトーレさん、クアットロさんにチンクさんにセインさん、ルーさんにアギトさん、これから目覚める娘たち……もちろん、ドクターとゼストさんのみんなで。きっと楽しいでしょうね」

 イルドの笑顔に思わず、ノーヴェとウェンディは照れたように顔を見合わせて。

「その時はお前が荷物持ちな」

「イル兄、頑張るッス!」

「ははは、全員分はさすがに勘弁してくださいよ?」

 青空のした、三人は笑いあった。



 ◆◆◆◆◆◆



 イルドたちが海鳴を離れた日から数日後、ロストロギア発見の報せを受け派遣された機動六課は無事に封印作業を終えて任務完了。

 その帰路につく前、シャマルとはやては高町美由希から思いがけないことを聞いた。

「そういえば先日、面白い子たちがお店に来たんだよ」

「へぇ、お姉ちゃん聞いても良い?」

 妹であるなのはに問われた美由希はにこやかに笑い、その日を思い出す。

「んとね、ケーキをいっぱい食べる子たちと、その…お兄ちゃんで良いのかな? 礼儀正しくてけっこう可愛い子だったよ? ケーキもホールで二つも注文していったんだから、すごいよね」

 そこで句切り、美由希は左の人差し指をほほに当ててから言った。

「確か名前は…イルド君…て言ってたよ」

 直後。

「美由希さんそれは本当ですか!」

「う…うん、そうだけどシャマルさんの知り合い?」

 普段見せないような驚きに満ちたシャマルに問われ、美由希はその勢いに引きながら何度も頷く。

 そして、そんなシャマルの狼狽えように驚きつつなのはとフェイトがはやてへと視線を向けると、親友の顔は今まで見たこともないほどに青ざめていた。





 ◆NEXT STAGE◆


「本当に…イルド君なんですか?」

 真紅の色がぶちまけられたホテル・アグスタの一室でシャマルは立ち尽くし。



「なんでや! なんでイルド君がこないなことするんや!?」

 紅く染まったかつての友人へとはやては叫び。



「ほらさぁ僕はさぁ響くんですよ今も夢に見るんですよ奪われたんですよ知らないでしょう潰れたんですよ怖いんですよ眩しいんですよ味方殺しが疼くんですよ三年前が僕が右目が僕が今も夢に見るんですよぉ!」

 顔に真紅の化粧を施したイルドは右目を虹色に輝かせて嗤った。



 次回・第四章:再会、血染めのホテル・アグスタ −アグスタ潜入戦−





◆◆◆説明補足・第三章:フェクダ・シェルメット◆◆◆

 イルドが制作した“疑似リンカードライブ”搭載型プロテクトデバイス“フェクダ”のフルフェイスヘルメットの名称。
 各プロテクター同様“ビーメタル”と呼ばれる特殊金属を使用している。この金属の特徴は“軽くて堅い”というものであり、衛星などの装甲に使用されている。
 索敵センサーに集音機能、ジャミング機能にボイスチェンジなどの各種機能が搭載されている。
 また水中や有毒ガスなどの特殊空間においても常に安定した酸素供給を行い、最大四時間の活動が行える。
 このシェルメットの最大の特徴は他のコンピュータへの“ハッキング能力”であり、いかなるシステムへの介入及び書き換えが可能。第一章でのリニア戦や本章の劣化型ガジェットでその性能をいかんなく発揮している。





◆◆◆ イルドとイルドの後書き座談会 −ロケ地・翠屋−◆◆◆



良ルド(TAG版)
「はい皆さんこんにちわ! 僕イルドです!」

悪ルド(TAG−AS版)
「はい皆さんこんばんわ! 僕イルドです! 二人合わせて!」

− 二人、声を揃えて手を打ち −

「「イルイルズ!」」

− 空間通信が開き、ウーノが無表情かつ無感情に一言 −


「楽しいですか?」


− 空間通信、即座に消えて −

「「最悪ー!」」

− 二人、声を揃えたうえでその場に頭を抱えて崩れ落ちる −

悪ルド
「………えー最悪の出だしで見事滑り落ちた“イルイルズ”ですが」

良ルド
「……今回も後書き座談会はじめたいと思います」

− 二人ともテーブルに座り直して −

悪ルド
「今回は海鳴市にある喫茶店“翠屋”からお送りさせていただきます」

良ルド
「あ、紅茶お願いします。別次元の僕も同じ物でいいですよね?」

悪ルド
「ありがとうございます、別次元の僕」

− 二人、台本を読み −

良ルド
「いやはやいきなりの海鳴訪問どうでした?」

悪ルド
「いいところですねー、海もあって山もあって猫もいっぱいいるお屋敷まであってほんと良い街です」

− 良ルド、朗らかに −

良ルド
「ははは、別次元の僕が海上隔離施設に島送りされてる状況を知っておいて楽しそうに笑顔で語らないでくださいコンチクショウ。あと、ご当地料理の話しまでしたらどこの旅番組ですかこれ?」

悪ルド
「それはしょうがないです。僕はそちらと違って自由気ままな次元犯罪者ですから、管理局のルールに従う必要はありません。あとコンチクショウとか言わない」

良ルド
「うわ、いいなぁ。僕もそんな台詞言ってみたいですよ」

悪ルド
「はいはい、脱線しそうだから戻しますよー。んー今回は僕のデバイスの描写が幾つかされてますよね」

良ルド
「AMFまで搭載してるとは凄いと言わざるを得ませんね」

悪ルド
「んーでも小型化に成功したと言っても性能は最悪ですから。正直な話し、まともな武装局員の魔力弾だったら撃ち抜かれる事もありますよ? 実際今までにも何回か食らってます」

良ルド
「それはAMF装置の問題ですか、それとも出力の問題ですか?」

悪ルド
「両方ですが、最大の問題は疑似ドライブの限界ですね」

良ルド
「ふむふむ…色々と興味深い話が聞けそうですがまた脱線しそうですし、ここらで切り上げましてお次は……お二人の水着姿は如何でしたか?」

悪ルド
「聞きますかそれを……いえ、お似合いでしたよ?」

良ルド
「疑問系で返さないでください。で、どちらにグッと来ましたか?」

悪ルド
「ノーヴェさんですね」

良ルド
「即答ですか!?」

悪ルド
「当然でしょう!」

− それはもう嬉しそうに悪ルド −

悪ルド
「そりゃ僕も男ですよ! ウェンディさんみたいに“バッ”と見せていただけるのも嬉しいですがね、タオルで隠してもときたま“チラッ!”と見える素肌とかあの恥じらい顔とかが良いんですよ!」

良ルド
「あーそれわかります! ホントわかります! 前に“いけないシャマル先生”って雰囲気のピンナップありましたよね?」

悪ルド
「注射器構えて机に乗っかってるあれですね……あーなるほど、やったんですね? やってしまったんですね? 流石は別次元の僕ですね!」

− 凄い良い笑顔の良ルド、何度も頷いて −

良ルド
「えーやりましたよ、やりましたとも、やりますよ当然! シャマル先生のタイツとかスカートのなかとか僕思わず覗き込みましたよ! えー、無駄だとわかっていますが思わず本能的に覗きました! チラリズム最高!」

悪ルド
「いや、ホント思えば無駄なエネルギーですが、その気持ちわかります! さすが僕だけあって思考が同じです! ビバチラリズム!」

− 両手を挙げてわかり合えた二人、ガシッと握手。その瞬間、空間通信が −

シャマル
「楽しそうですね」

− 空間通信が消え、頭を抱えて良ルド −

良ルド
「終わった……返事貰えないまま終わった……!」

悪ルド
「ご愁傷様です」

良ルド
「はい、手を合わせて合掌しないでください。あと何でそんなに平然としてますか別次元の僕? 憧れの人でしょうに」

悪ルド
「だってこの“AS”シリーズだと僕は嫌われて当然の事をこれからいっぱいするんですから、今さら言われてもー」

良ルド
「あーそういえばそうですよねー。んではもう“だらけモード”に入りつつあるので最後のお知らせをば」

− 台本を読み上げ −

悪ルド
「えー、拍手を送ってくださる方々にお願いします。拍手はすべて管理人リョウ様が手作業で振り分けてくださってます。ですので拍手を送る際は

 お手数ですが“作者名”もしくは“作品名”などをご記入くださるとリョウ様のご負担が減るのでお願いします。

 あ、別次元の僕? やっぱりこのあとに“宛先はこちらへ!”とかいうテロップ入れたほう良いですか?」

良ルド
「テロップは必要ありませんよ、ていうか何処に入れますか別次元の僕………。
 まぁこの“リリカル”とは思えないこの作品に送る人はいないと思うのですが、他の投稿作家の方々へ送る際はほんとうに皆様のご協力お願いします」

悪ルド
「てーかいま思ったんですけどね、別次元の僕? 読む人が少なそうなこの作品で呼びかけて意味あるんですか?」

良ルド
「別次元の僕マジキッツーーー! や、これはあれですよあれ? 僕らが出来るささやかなお礼みたいなもんですよ!」

悪ルド
「まぁ、この作品は例えるとあれですからね……メインパーソナリティー曰く『リスナーが三人しかいない』という某ネットラジオ“さよな●●望放●”みたいに、ささやかな作品ですからねー」

− 良ルド、仕切り直すように手を何度も強く叩いて −

良ルド
「はいはいはい! 危険なネタと自虐ネタに走りそうなのでもうヤメマショー! それでは、今回はここでお別れです。担当は僕イルドと」

悪ルド
「僕イルドの二人でお送りしましたー」



− 終了 −









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