新暦75年9月。

 強大なロストロギア“ゆりかご”を目覚めさせた広域次元犯罪者“ジェイル・スカリエッティ”は、その恐るべき力を持って時空管理局へと宣戦布告。

 しかし、管理局は甚大な被害を受けるも、辛うじてスカリエッティとその尖兵とも言える戦闘機人たちを捕縛する。

 戦いが終焉を迎えようとするなか、いまだ“ゆりかご”内部で戦い続ける者たちが居た。

 巨大戦艦“ゆりかご”を動かす巨大動力炉。

 最後の戦場となったその空間で、白と蒼の流星がぶつかり合う。

 白き流星は“夜天の王”八神はやて。

 蒼き流星は“機械闘士”フェクダ。

「ウチは許さない…!」

 唇を噛みしめ、はやては騎士杖“シュベルトクロイツ”を構えて魔力を集中。

 対して鋼鉄の仮面でその素顔を覆い隠した蒼い流星も咆吼。

『魔女がぁ!』

 フェクダの大型ショルダーアーマーが展開し、内部に搭載された“結晶体レーザー発振器”がその姿を表し、光りの粒子が集中。

 六課隊舎を半消滅させた“ライトニング・イレーザー”をチャージ。

 胸部中央に搭載された“オリジナル・リンカードライブ”と両肩背面に搭載された二基の“疑似リンカードライブ”が出力を爆発的に上げる。

 そして両者同時に光りの奔流を撃ち放つ。

 閃光と爆音が動力炉内に溢れ、その全てが収まったとき。

 雌雄は決した。

 壁に巨大なクレーターを穿ち、壁にめり込んだ闘士は一瞬の無音のあと、壁からはがれ落ちて頭から床に激突する。

 すでに幾つもの砲撃を受けてボロボロになった蒼き機械闘士を睨み据えるはやての前で、なんとか立ち上がったフェクダはボロボロになった兜を脱ぎ捨て、真紅の血を床にぶちまけた。

 素顔を晒し、口から血反吐を吐くフェクダへとはやてはシュベルトクロイツを向けて、怒りの言葉を放つ。

「…アンタはウチの大事なモノを傷つけた! 六課のみんなを、ザフィーラを、ヴィータを……そしてシャマルも!」

 息を吸い、はやては最後の怒りを解き放つ。

「ウチは絶対に……“イルド”、アンタを許さない!」

 灼熱のマグマのように怒りに燃えさかる夜天の王の瞳を真正面から受けた蒼き機械闘士“イルド”は怒りと悲しみ、そして深い絶望に囚われた瞳ではやてを睨み据えた。




◆Three Arrow of Gold −Another Story−◆

 ▼第一章:My name is PHECDA−リニアレール戦−▼




 時は遡り、新暦75年5月。

 幾つもの空間モニターが浮かぶ広大な研究室。

 そこで白衣をまとった男ジェイル・スカリエッティは楽しげに微笑を浮かべ、一つの空間モニターを見つめる。

「……ふむ、レリックが見つかったのかね」

 空間モニターに映し出された映像は、山岳地帯を走るリニアレールである。

 場所を確認しながらスカリエッティは、後ろに控えている秘書然とした女性ウーノに言葉をかける。

「今日はV型も使おう」

「わかりました。すぐに出撃準備をします」

 一礼し静かに答えたウーノは空間パネルを慣れた手つきで操作。

 数秒後、ガジェット軍団の出撃完了を空間モニターが知らせる。

 あとはただ、無事にレリックが回収されることを待つだけ。

 結果が出るまで時間をもてあます気のないスカリエッティは新たな空間モニターを開き、研究を再開する。

 その時、研究室のドアが開き、赤毛の少女が現れた。

「ドクター、レリックが見つかったって?」

「ん、ノーヴェかい? 耳が早いね」

 赤毛の少女の問いに微笑を浮かべてスカリエッティはそう答えると、ノーヴェは不機嫌そうに言葉を返す。

「たまにはアタシも出たい」

「ノーヴェ、まだ調整はすんでいないでしょう?」

「そうだけど、たまには出たい」

 長女ウーノの穏やかな声にも不満げに返すノーヴェの様子に、スカリエッティは楽しげに微笑を浮かべてその様子を観察する。

 かたや冷静に物事を進めるタイプ。

 もう一方は感情に任せて突き進むタイプ。

 最後はウーノに軍配があがるだろう姉妹対決(?)に、スカリエッティはそれまでの経過を楽しもうと椅子に腰掛ける。

 しかし。

 第三者の介入によってウーノとノーヴェは言葉を止めることとなった。

「ドクター、ウーノさん。お茶の用意が出来ました」

 ティーポットとティーカップをのせたトレーを右手に持って現れた青年の姿に、ノーヴェの顔に“やな奴が来た”と浮かぶ。

 だが、そんなノーヴェの嫌そうな顔を気にもせずに、真紅の瞳を持つ青年は微かな笑みを浮かべて挨拶。

「ノーヴェさんもいらっしゃいましたか」

「いちゃ悪いのかよ?」

 不機嫌を隠しもせずにノーヴェは青年を睨むが、青年は怯みもせずに手にしていたトレーをテーブルにおいてマイペースにお茶を用意する。

「てーか、相変わらず変な格好しやがって」

「うは、言うほど変でしょうか?」

 ノーヴェが言うとおり、青年は確かに不思議な格好をしていた。

 第97管理外世界“地球”と呼ばれる惑星の島国に伝わる“和服”をアレンジしたような奇妙な服を青年は着ているのである。

「お二人のお茶を淹れましたら、すぐにノーヴェさんの分も用意しますのでお待ちください」

「いらねぇよ」

 ノーヴェの不機嫌な言葉すら楽しげに受けた青年は慣れた手つきで紅茶を淹れると、部屋にリンゴの香りが満ちる。

 その芳醇な香りにスカリエッティは満足そうに頷く。

「相変わらずイルド君は淹れるのが美味いね、この香りだけでも十分すぎるよ」

「良い香りですね。今日はアップルティーですか」

「お褒めいただき恐悦至極」

 スカリエッティとウーノ、二人からの賛辞を素直に受けた青年イルドは山岳地帯を走るリニアの映像に楽しそうに笑う。

「先ほどの出動はコレですか……あぁ、なるほど。だからノーヴェさんがここにいたんですね?」

「そういうことだよ」

 何やら察したイルドにスカリエッティは頷くが、たいしてノーヴェはさらに不機嫌そうにイルドを睨む。

「何がなるほどだよ、てめぇ?」

「いえ。おそらくレリック回収にたまには自分も出撃したいとドクターにねじ込みにきたんでしょう?」

「んな!?」

「はい、そのとおりです」

「ウーノ姉!」

 あっさり肯定したウーノに何とも言えない微妙な顔で睨むノーヴェの姿に、おもわずイルドは苦笑。

 ついでイルドは苦笑しつつノーヴェに提案。

「そんなに外に出たいなら、セインさんたちと一緒に街へ出掛ければ良かったじゃないですか?」

「アタシは暴れたいんだ!」

「いえ、その前にいま何と?」

 ノーヴェが詰め寄るよりも速くイルドに詰め寄ったウーノが、氷のように冷たい瞳で先ほどの言葉を問いただす。

 するとイルドはのけぞりつつ、苦笑しながらもウーノの問いに答えた。

「いえ、先ほどセインさんとウェンディさんが私服で出て行かれるのを」

「なんで止めてくれなかったんですか」

「いやはやあの二人は弾丸特急ですから呼び止める暇なんかありませんよ」

 瞳だけでなく声すらも冷たくさせたウーノとほほを引きつらせるイルドに、ノーヴェは変わらず不機嫌そうに、たいしてスカリエッティは楽しみながらその様子を見守る。

「だからといって」

「いえ、だからトーレさんとチンクさんに言っておきましたので」

「あら、それならいいです」

「うは、そんなあっさりでいいんですか?」

 本当にあっさりと引き下がったウーノが空間モニターでトーレたちを探すと、確かに私服姿の妹たちを引きずるトーレとチンクの姿が見つかった。

 しかし、安堵する暇もなく、別のモニターが緊急警告音を告げる。

 警告を告げるモニターへと一同が目を向けると、それはあのレリックを積んでいるリニアであった。

「……機動六課が出動したようです」

「ふむ、それは大変だ。向こうにレリックを奪われるかもしれないね」

「だったら…!」

 言葉とは裏腹に楽しげに微笑するスカリエッティに、ノーヴェが金色の瞳にかすかな希望を浮かべる。

 しかし、告げられた言葉はノーヴェをさらに不機嫌にさせた。

「今回もイルド君に任せようか」

「わかりました、ドクター。それではすぐに支度を整えます」

 礼儀正しく一礼し、笑みを浮かべたイルドの右目の輝きが“ルビー”から“サファイア”へと変化した。



 ◆◆◆◆◆◆



 機動六課、ロングアーチは緊張に包まれていた。

 理由は簡単。

 これが“初出動”だからである。

 変化し続ける戦況にはやてが逐一指示を飛ばす。

「いったい何機おるんや…」

 はやてが呟いたその時。

 モニターに新たな光点が出現した。

「ガジェットU型……と新型です!」

「数は!」

「新型は一機です! でも三倍のスピードでリニアに猛追して!」

 驚きを含んだシャリオの声と新たな映像に、一同は思わず目を見張る。

「……なに、あのガジェット?」

「…エイみたいですね?」

 ルキノの呟きにシャマルが答えたように、新たに姿を現したガジェットは確かに海洋生物“エイ”のような形状をしていた。



 ◆◆◆◆◆◆



「増援!?」

「なのは、リニアの後ろ!」

 フェイトの声に、ガジェットU型を撃墜していたなのはがその方角を見ると、確かに新型ガジェットがリニアに猛追しようとしていた。

「戻るよフェイトちゃん!」

「うん、なのは!」

 しかし、リニアへと急行しようとしたなのはたちが増援で現れたU型に阻まれるなか、エイ型ガジェットは搭載された機銃をリニアへと向け、発砲。

 最後尾から先頭の車輌までなでるように発砲したエイ型ガジェットは、先頭車輌の上部にとりついた。

 そして、エイ型ガジェットの腹部から白い“何か”がリニアへと飛び降りた。



 ◆◆◆◆◆◆



 連続した衝撃と轟音がリニア内部に響き渡り、それが鳴り終わった瞬間リニアの照明が落ちる。

 その突然の異変に、すでにレリックを確保していたスバルとティアナは警戒し、周囲の気配を探る。

「暗くて何も見えないよ〜」

「うっさい、注意しろ!」

 暗闇に目を慣らし、静かに耳を澄ます。

 するとリニア上部、すなわち屋根のうえを何かが走っているような奇妙に軽い足音がティアナの耳に届いた。

「スバル、聞こえた?」

「うん…上から何かが近づいてる」

 いまだ暗闇に目は慣れていないが、音を頼りにして二人はそれぞれのデバイスを構えて迎撃準備。

 どうやらその足音はティアナたちの後ろ、先頭車輌の方から聞こえてくる。

 徐々に迫り来る硬質の足音に二人が油断無く構えるなか、その足音がふいに止んだ。

「………音が止んだ?」

「……スバル、気をつけなさいよ」

 訝しむスバルに、ティアナはクロスミラージュを天井へと向けて睨み据える。

 直後。

 大気を振るわす奇妙な音が響き、リニアの合金製の屋根を突き破って“刃物”が突き立てられた。

 ついで突き立てられたソレは大きく円を描いて屋根を容易くくり抜く。

「ティア危ない!」

 スバルが叫ぶよりも速くティアナは落ちてきた天井を避けて、くり抜かれた天井へとクロスミラージュを構える。

 すると。

 そのくり抜かれた部分から勢いよく白い“カゲ”が車輌内へと飛び込んできた。

「動かないで! 管理局よ!」

 軽やかに着地した白いカゲへと狙いを定めたティアナが警告し、スバルもいつでも対処できるようにリボルバーナックルを構える。

 しかし、白いカゲは動かず沈黙。

 ティアナは引き金に伸ばした指から力を抜くことなく、白いカゲを調べる。


 全身を隠すは純白のライダースーツ。

 胸・肩・腕・足の各所に装備された蒼いプロテクター。

 腰に納められたダガー。

 左腕には三眼の竜が施された奇妙な腕輪。

 素顔を隠すフルフェイスマスクの、おそらく瞳があるはずの部分は漆黒のバイザーで覆われ、額部分は何やら紅い光りが明滅を繰り返している。

 だが、それよりも目をひくほど特徴的なものは、胸中央で白く輝く不思議な光りであった。


 その奇妙ないでたちのカゲに、ティアナは頭の片隅で“忍者”じゃないのかと考えるが、発した言葉は別のモノであった。

「私たちは管理局員です、両手を頭の後ろにまわしてゆっくりと立ち上がって名前を名乗りなさい!」

 得体の知れない存在に内心で怖れを抱くが、ティアナは局員としての責任でもってそれを押さえつける。

 そんなティアナの言葉に忍者は静かに立ち上がり、くぐもった声をマスクから発した。

『Who am I?』

 インテリジェントデバイスが用いる言語で答えた忍者は両手を楽しげに広げて見せながら、低音の機械音声を車内に響かせた。

『It’s a good question!』

 機械音声に“楽”の感情をのせた忍者は握りしめた右の拳を胸の前にかざして、ティアナ達に名乗った。

『My name is PHECDA』

「……まいね…何?」

 聞き返してきたスバルへと顔を向けた忍者はベルトのバックルへと手をやり、そこにある赤いボタンを押す。

 するとベルトの両端に取り付けられた“スピーカー”から音楽が流れ始めた。

『The music today is “Double−Action”!』

 叫んだ忍者は勢いよく身体を回転させた勢いで、スバルが手にするケースを指さす。

『Return it to me!』

「え、これ!?」

「スバル!」

 言葉が理解できなくとも忍者がケースを狙っている事を理解したティアナが、狼狽えるスバルを叱咤した瞬間。

『The case is mine! Let’s dancing!』

 白き忍者は真紅に光る瞳をスバルへと向け、襲いかかった。



 ◆◆◆◆◆◆



「エイ型の反応消えました!」

「スターズ03・04、敵と交戦!」

「モニター、映像出ます!」

 シャリオたちの声が響き渡るなか、モニターに映し出された“存在”にはやてが、そしてシャマルの瞳が大きく見開かれ、急激に血の気がひいていく。

 そして、呟かれる一つの名前。

「……まさか…プロテクト、デバイス…?」



 ◆◆◆◆◆◆



「なんでアイツはよくてアタシは駄目なんだよ!」

 スカリエッティのアジトでは出撃できなかったノーヴェが荒れていた。

「むかつく!」

 怒りのはけ口にされたゴミ箱が蹴られて宙を舞い、やかましい音を立てて床に転がるが、その音すらもノーヴェの怒りを助長させた。

 再びゴミ箱を蹴り上げる赤毛の妹に、眼帯の少女チンクは静かな声でその行為を注意する。

「ノーヴェ、あまりわがままを言うな」

「だってチンク姉!」

 なおも不満を隠しもせずにノーヴェは何かを言おうとするが、小さな姉は言葉を続ける。

「ドクターはまだ調整を終えてないお前のことを心配しているんだ。もちろん、イルドもお前を心配している」

「あ? あの笑い顔がそんなことするかよ」

「ふふふ…確かにイルドはいつも笑っているな」

 ノーヴェの率直なイルド評にチンクは微かに笑みを浮かべるも、少しだけ真面目な顔をしてこう呟いた。

「それに六課とイルドには浅からぬ因縁があるからな…」

 呟き、チンクはかつての出来事を思い出す。

「………イルドが来てからもう三年になるのか」



 ◆◆◆◆◆◆



『Sonic dagger,the start−up!』

 突如現れ、スバル達からレリックケースを奪った白き忍者は、右手で構えた“ソニックダガー”を起動させる。

 高周波振動によって車輌内の空気が振るわされ、奇妙な大音量が巻き起こる。

 スバルとティアナが耳を押さえて悲鳴を上げるがその振動音によって悲鳴はかき消される。

 そして、忍者はそんな二人を無視してその“ソニックダガー”を壁へと突き立てて円を描く。

 その高周波振動によって切れ味が倍増されたダガーは、まるでバターを切るかのようにリニアの壁を容易く斬り落とした。

『Accesses』

 停止させたダガーを忍者は収納。

 大気を振るわせていた耳障りな振動が止むが、今度は忍者によって切り裂かれた穴から入ってきた風が車輌内部を暴れ回る。

 暴音から暴風にスバル達が身動き取れないなか、忍者の額部分のライトが激しく明滅。

 その明滅が終わった瞬間。


 リニアに衝撃が走り、速度が上がった。


「な、なに!?」

『後部車輌を切り離し、加速させました』

 ティアナの問いに、聞き慣れたミッドの言葉で忍者は答えた。

「は…話せたの!?」

『当然ですよ』

「いや、それよりも加速させたって…!?」

 忍者が喋ったことに対するスバルの驚きも無視して叫んだティアナの問いに、彼は笑みを含んだ声で返した。

『このまま加速すると十分後にはリニアは脱線しますね。カーブがあるので』

「あんたも死ぬでしょう!」

『いえいえ、僕はここで途中下車しますよ。それと、運転席のブレーキを使えばすぐに止まりますのであとはよろしくお願いします』

「逃がさない!」

 クロスミラージュを向けて叫ぶティアナとは正反対に、忍者は奇妙な腕輪をつけた左腕をかざす。

『逃がしていただきます』

 平然とした口調で忍者が答えた瞬間。

 左腕に装着された腕輪が紅く輝き、忍者とティアナ達のあいだに炎の壁を創る。

 その炎の向こうで一礼した忍者はレリックケースを片手に本当に飛び降りた。

『さようならぁぁぁぁぁぁぁ』

 忍者の間の抜けた声が尾を引くようにして流れて消える。

 その奇妙な光景を呆然とした表情で見送った二人は、すぐに我を取り戻した。

「ど、どうしようティア!?」

「落ち着いてスバル! はやく運転席に行くわよ!」

「う、うん!」

 ティアナに促されて、スバルは走り始めた。



 ◆◆◆◆◆◆



「……レリックケース及び敵の反応、消えました…」

「リニア、無事停止完了」

「人的被害無し…」

 任務失敗と新たな敵の出現にロングアーチは深い静寂に包まれていた。

「……みんなに帰還命令を」

「…は、はい! 帰還命令!」

 ふいに告げられたはやての指示に、一瞬の間をおいて副官であるグリフィスが復唱。

 静かに動き出した司令部のなか、はやては現れた“忍者”の姿を思い出しながら、これからの予定を考える。

 まず最初にするべきことを決めたはやては、隣にいるシャマルへと一言。

「必要なのは情報やな……なぁ、シャマル?」

「はい。あれが本当にそうなのか、確かめましょう」

 はやての言葉に、力強く確かな声でシャマルは応えた。



 ◆◆◆◆◆◆



「ただいま戻りましたドクター! レリック無事確保しました!」

 ラボへと帰還したイルドは右手に持ったケースを楽しげに掲げて見せると、スカリエッティもいつもの歪んだ微笑でイルドを迎えた。

「やぁ、帰りが遅かったんで心配したよ」

「申し訳ありません。ちょっとクラナガンに寄ってお土産を買っていたので」

「寄り道は感心しませんね」

 ウーノの咎めるような声に苦笑しながらイルドは左手に持っていた箱をウーノに手渡す。

「これは?」

「ケーキです。ホールで二つ」

 軽い口調で返されたウーノが、綺麗に整った眉を“疑問”の形に歪ませる。

「多くありませんか?」

「大丈夫でしょう。たぶんセインさんとウェンディさんがたくさん食べるでしょうし」

「はははは、確かにそうだね」

 イルドの言葉にスカリエッティが納得したように笑い、ウーノは呆れたように肩をすくめてみせる。

「それではお茶の用意をします」

「ん、頼むよウーノ」

 一礼し部屋を出て行こうとするウーノをイルドは呼び止めた。

「すみませんがノーヴェさんの分は少し大きめにお願いできますか?」

 出撃前のことを気にしていたのだろうイルドの言葉に、ウーノは微笑を浮かべてこう返した。

「わかりました、イルドさんの分を少なめにしておきますね」

「うは、そうなりますか」

 わざとらしく空を仰いでみせるイルドの様子に、スカリエッティとウーノは微笑を浮かべた。





◆NEXT STAGE◆


「……そう、きっと間違いよ」
 シャマルは銀のペンダントを握りしめて願う。

「ふむ、三年ぶりかな八神はやて女史?」
 第十三技術部をよく知る人物タードックは、不機嫌さを隠しもせずにはやてを迎える。

「お久しぶりです、先生」
 イルド、帰還。



 次回・第二章:歓迎されない客、歓迎される客





◆◆◆説明補足・第一章:カスタムガジェット◆◆◆

 海洋生物“エイ”を模したイルド専用ガジェット。
 スカリエッティから譲り受けた“U型”を大幅改修した機体で、すでにその原形をとどめていない。そのため初遭遇した六課は新型ガジェットと間違えていた。
 おもにイルドの輸送及び回収、目的地への高速移動を念頭に改修されたカスタム機で、頻繁に現れる機体。
 従来のガジェットと違い、これは“有人式”で上部ハッチを開くと現れるコックピットにイルドが乗り込む。
 白と青のツートンカラー。
 装備は機銃の他に、レーザー砲と一対の伸縮式クローが搭載されている。





◆◆◆後書き◆◆◆


 えー、KKです。
 よくあるパラレルストーリーです。当然『TAG』とは別物です。
 前回の『TAG』みたいなノリとは違う……うん多分違うはず…です…よ?
 まぁ、また変な雰囲気の作品ですがお付き合いいただけると嬉しいです。


 イルド、何故かスカ陣営にまわる。あと作中でノーヴェに突っ込まれてますが服装が変です。
 装着後の外見イメージは『仮面ライダーTHE FIRST』みたいなものです。服のうえに装甲を付けた簡素な強化服。


 あ、英文には突っ込まないで! 勢いだけでやってるんで!
 誤字脱字はないと思いますよ……多分。

 え? エンス? 咲希? さぁ?

 “NEXT STAGE”の部分は次回の台詞だけで謎ですが、まぁ次回予告みたいなものです。


 最後に。
 展示してくださった管理人リョウ様とお読みくださった方々、本当にありがとうございます。
 








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