機動六課フォワード陣がナンバーズと激戦を繰り広げた廃棄都市。
 そこで機動六課とともに戦った三人の局員が、人知れず最後の戦いを終わらせようとしていた。
 動力炉にレリックを搭載した巨大なドローンが、その動力炉を暴走させ全てを塵とするために地上本部を目指す。
 それを阻止するために青年たちがその身を盾として、迫り来る鋼鉄の巨躯へと立ち向かう。。
 ガジェットの残骸のなかに立ち、三人は巨大ドローンを真正面から見据える。

「我ら三人、心偽ることなく、この道を行く!」
 蒼き“仁”のプロテクターをまとった隻眼の青年イルドが決意を力に変えて叫び、その脚が黄金の輝きを放ちはじめる。

「我ら臆すれば道は消える! しかし、踏み出せば道は成る!」
 紅き“勇”のプロテクターをまとった隻腕の青年咲希が言葉を紡ぐと、その身体が黄金の輝きを放つ。

「我らが願うはただ一つ! 全ては!!」
 白き“智”のプロテクターをまとった義足の青年エンスが誓いの言葉を叫びを放つと、その両腕が黄金の輝きに包まれる。

『人々の笑顔のために!』

 最後にまばゆい閃光が三人を包み込んだ瞬間、三人の声が重なり合う。


◆Three Arrow of Gold◆
 第一章『常山蛇勢!』


 ホテル・アグスタでの一件から始まったティアナの騒動から数日後。
 機動六課を束ねる長、八神はやてはモニターに映るフォワード陣の訓練を見守っていた。
「んー、ほんま動きがよくなったわー。これが雨降って地固まるっていうんかなー」
 あの一件以来、フォワード陣の団結力がさらに強くなった感があり、はやては子どもを見守る母親のような気分であった。
 とくにティアナは憑き物が落ちたかのように動きがよくなった。
「なんちゅーか、柔らかくなった感じやね」
 そう感想をもらしたとき、グリフィス補佐官からの通信が入った。
『本日予定が入っている第十三技術部の方が到着しました』
「あ、もうそんな時間か。すぐ行くからお茶出しといて」
『わかりました』
 通信が切れ、はやては深くため息をついた。
「めんどくさいわー」
 しかし、面倒くさいなどといって職務放棄するわけにもいかず、はやてはもう一度ため息をついてから隊長室を出て行った。



「初めまして、八神部隊長。私、地上本部第十三技術部主任を務めさせていただいてるエンス・サイと申しますー。以後、お見知りおきをー」
「は、はぁ…こちらこそよろしくお願いします」
 来賓室ではやてを迎えたのはエンスと名乗る白衣を着た青年であった。彼ははやてが姿を現した瞬間、いきなりソファーから立ち上がったかと思うと、彼女の両手をつかみ熱烈な挨拶をしてきのだ。
「おおっと、これは失礼ー。嬉しさのあまり、いきなり貴方の手を掴んでしまった。お許しください」
 素早く手を放したエンスは、苦笑しながらソファーを指した。
「立ち話もなんですから、どうぞソファーに腰掛けてゆっくりとお話ししましょうか。おっと、いやいや、これまた失礼しました。ここは貴方の城でしたね。またとんだ無礼をしてしまった」
「は、はぁ…」
 よく喋る人だと心のなかで嘆息しながら、はやてはソファーへと目をやった。そこで、はやてはエンスとは別の、もう一人の客人が敬礼していることに気がついた。
 真面目な局員という表現がよく似合う青年で、燃えるような深紅の両眼が印象的である。
「自分は地上本部第十三技術部所属のイルド・シー一等陸士であります!」
 ふざけたエンスと真面目なイルド。じつに対照的な二人である。
 イルドの挨拶を横目で眺めながら、お茶を一口飲んだエンスが口を開く。
「いやいや、本日は無理を言ってお忙しいところ時間を割いていただいて申し訳ありません。そちらもお忙しいでしょうから本題に入らせてもらってよろしいですか?」
「はい、本日のご用件は軽い説明と見学…と聞いておりますが?」
 はやての言葉に、エンスは頷きながら続ける。
「その通りです。まぁ、説明と言っても今回の出向に関しては説明する必要もないのですが、上からの指示ですからね。いやはや、宮仕えは大変で…うぐ…!」
 突然、足を押さえて痛みをこらえるエンスに、イルドが平然と注意する。
「エンス主任、失礼ですよ」
 どうやら、エンスの足をイルドが踏みつけたらしい。
「…い、イルド…義兄さんに非道いんじゃないか?」
「エンス主任の部下として申し上げますが、私語は慎んでください」
「わ、わかりましたよぉ…」
「八神部隊長、お見苦しいところをお見せしました。お許しください」
 頭を下げるイルドに、はやては軽く微笑を浮かべながら手を振る。さすがに初対面の相手に、いつもの関西弁をひかえるよう気をつけながらであったが。
「気にせんで…いや、許すも何も怒っていないから…」
 そうはやてが言った瞬間、エンスがうさんくさいとしか云いようのない爽やかな笑顔になる。
「ほら見ろイルド。八神部隊長は寛容な女性だ、この程度のこと無礼にも思わな…わかったよ、イルド。睨まないでくれ。頼む、義兄さんをそんな目で見ないでくれ。いやホントわかったよ。先ほどは失礼しました、八神部隊長」
 イルドの射貫くような視線から逃げるように両手で顔を隠しながら、エンスははやてに謝る。
「…それで出向内容は試作デバイスの試験運用…となっておりますが?」
 はやての問いに、エンスはにこやかに説明を始めた。
「まぁ、実際たいしたものではないんですがねー」
 エンスの説明を要約する。

・魔力増幅装置を搭載したプロテクター型のデバイスである。
・装着者の魔力によってプロテクターの硬度と運動能力が変化する。
・魔力を持たぬ者であっても、バッテリーを使用すれば装着可能。
・ただし、装着者にはそれ相応の身体能力及び格闘スキルが望まれる。
・屋内での試験が終了し、本格的な実戦データを望む。

 簡単に説明するとこうなる。
 説明を一通り聞き終えたはやては、気になったことが一つあったので問い返してみた。
「…試験するといっても、そのデバイスを誰が使って試験するんですか? さすがにうちの隊員でやるには」
「それには心配いりません。私の義弟イルドが責任もってやってくれますよー」
 エンスの説明によるとイルド一等陸士ともう一人の陸士がテストを行うということ。
「…? その一人は」
「ご心配なく、ちょっと手続きに時間がかかっているだけで私たちとは遅れて出向してきますよー」
 そこではやてはなにやら難しそうな顔で緑茶を見つめるイルドに気がついた。
「口に合わんかった?」
「そ、そんなことはありませんよ? ただちょっと…」
「…ちょっと…?」
 重苦しい空気が漂うなか、イルドは意を決して言った。

「八神部隊長は日本茶に“砂糖”と“ミルク”入れないんですね?」



 その後、内容の確認などを終えたはやては、エンスたちを連れて演習場に来ていた。
「いやはや、高町一等空尉にハラオウン執務官。初めてお目にかかりますが、お二人とも何ともお美しいー。あ、ナカジマ二等陸士にランスター二等陸士も実に可愛らしいですよー。ルシエ三等陸士も将来はきっと美しい女性になるでしょうねー。モンディアル三等陸士も、じーつーにー、いい目をしーてーいーるー…ドハァ!」
 自己紹介を終えた瞬間に、エンスの饒舌すぎる言葉に一同が唖然としているなか、イルドが無言で後ろから回し蹴りを食らわした。その一撃を食らったエンスは、漫画のように身体を回転させながら吹っ飛んでいき、地面に顔から着地する。
 それを確認せずにイルドが一同に敬礼する。
「自分は、イルド・シー一等陸士であります。みなさま、エンス主任の無礼をどうかお許しください」
 イルドへと向かい、慌てて敬礼するスバルたち。
 場を仕切り直すかのように手を打ち、はやてが説明を加える。
「…えー、この方たちが出向予定の技術部の方たちです。もう一人いるらしいのですが、そちらは遅れてくるとのことです。それで本日は…」
『部隊長、ガジェットが現れました!』
 突然のシャリオからの通信に、一同の表情が変わり緊張が走る。
「みんな、出動や!」
『了解!』



 今回の任務は発掘調査隊が発見したレリックの回収と、襲撃してきたガジェットの殲滅である。
 なのはとフェイトは、ガジェットドローンUの迎撃。
 フォワード陣は、調査隊の保護とガジェットの破壊。
「いやぁー、ほんと高町一等空尉とフェイト執務官の空中戦は華麗ですねー。眼福眼福。フォワード陣も、さぁーすぅーがぁー、と言わざるをえないですねー」
 ヴァイス陸曹操るヘリ“JF704”のなかで、エンスが実に楽しそうにモニターを眺めている。
 そんなエンスとは反対にイルドは申し訳なさそうにヴァイスに頭を下げていた。
「…申し訳ありません」
「いやいや、気にすんなって。なかなか面白そうな奴じゃねぇか」
 そう言ってヴァイスも愉快そうに笑う。だが、エンスの「アヒャーー?」などという頓狂な声と、レーダーに映る点の変化にヴァイスとイルドの表情が変わる。
「…増援?」
「しかも地上かよ!」
 緊張が走るなかエンスは携帯していた機械をいじりつつ、先ほどと変わらない気の抜けた声でヴァイスに言う。
「ヴァイス君ヴァイス君、八神部隊長につないでくれる?」
「あ? いいぜ」
 ついで空中にはやてのホログラムが浮かび上がる。
『用件は何ですか?』
「フォワード陣に増援したいので許可くださいな」
 単刀直入な言葉に、さすがにはやてもすぐには答えられなかった。
『…それは試作デバイスを使う…ということで?』
「もちろん。すでに準備は整っていますので、許可さえあれば今すぐテストできます」
 エンスの顔は笑っているが、その瞳は笑っていない。
「なに、悩むことはありません。テストの責任は私のものです。それに、私もイルドも早く試したくて仕方ないのですよ」
『…わかりました。協力お願いします』
「こちらこそどうも」
 ホログラムが消え、エンスの口の端がつり上がり、勢いよく立ち上がる。
「さぁ、イルド! 楽しい楽しいお祭りのお時間ですよー!」
「わかりました」
 取り出したベルト状のデバイスをイルドが腰に装着する。直後、バックル部分が光り輝き、起動を告げる。
『TYPE−γ.READY』
「プロテクトデバイス・タイプγ、実戦テストを開始します」
 ヘリの扉が開かれ、荒い風が吹き込み、イルドの髪を殴りつける。地上で行われている戦いへと意識を集中。ついで、水泳の飛び込み選手のようにイルドはヘリから飛び降りる。
 そして叫ぶ。
「…変身!」
『CHANGE SAPPHIRE』
 直後、イルドの身体が蒼い光りに包まれた。



「ちょっと何で増えるのよ!」
「そんなの知らないよ−!」
 ティアナの言葉にスバルが返しながら、ガジェットを破壊する。
「エリオ君、後ろ!」
「うん!」
 キャロの言葉に、後ろから迫ってきたガジェットTを破壊するエリオ。だが、その一瞬の隙を突いて、一体のガジェットVがキャロへとベルトアームを放つ。
「キャロ!」
 エリオが叫ぶと同時にキャロの前方に落下してきた何かが、襲い来るベルトアームへとその拳を繰り出した。
 直後。
 爆発が起こり、土煙が舞い上がる。
 ついで、その中からデバイス特有の機械音声が響き渡る。

『THE TRANSFORMATION COMPLETION』

 そして、土煙がはれ、一人の蒼き鋼鉄闘士がその姿を現す。

「……あれって?」

 脚には鋼鉄の蒼きブーツ。
 胸には鋼鉄の蒼きアーマー。
 腕には鋼鉄の蒼きガントレット。
 右肩に輝くは管理局のエムブレム。
 その左肩に書かれるは“仁”の一文字。

『リンカー・ドライブ正常起動。タイプγ、変身完了』

 フルフェイス仕様のヘルメットから機械音声のような青年の声が響くとともに、バックルが強く輝く。
 だが、なによりも特徴的なのが両腕に装備された一対の巨大な盾であった。その右の盾には『常山』、左の盾には『蛇勢』と達筆な字で書かれている。
『キャロ・ル・ルシエ三等陸士、怪我はありませんか?』
 突如現れた鋼鉄闘士の後ろ姿を呆然と見つめるキャロに向けて、マスク越しの声が響く。
「…は、はい!?」
『間に合って良かった。ならば援護を頼みます』
 頷き、ガジェットへと顔を向け、大きく振り上げた右足を地面に叩きつけ、両腕を大きく構える。
『時空管理局地上部隊第一三技術部所属、イルド・シー一等陸士! 機動六課に助太刀します!!』
 名乗り、ブーツに内蔵されたローラーが回転し、大地を削り土煙を上げる。
 加速。
 ローラーダッシュで間合いを詰め、一体のガジェットに拳を繰り出す。
 吹き飛ぶガジェットが、ほかの機体を巻き込み爆発する。
 ついで、エリオへと向かうガジェットを確認し、加速。
『モンディアル三等陸士、後ろへ跳んで!』
「は、はい!」
 ガジェットとエリオのあいだに割り込んだイルドが、両腕を合わせ一枚の巨大なシールドを造りあげる。
 そのシールドにガジェットが激突し火花を散らす。
『バックパックを踏み台に!』
「行きます!」
 その言葉にエリオは、イルドの背を蹴り跳躍。そして、ガジェットへとストラーダを振り下ろし、撃破。
 しかし、撃破を確認せずにイルドは今度はティアナへと向かい、加速。その最中にバックパックを展開し、タラップのようなものを形成させる。
『ランスター二等陸士! 私の背に掴まって!!』
「え、えぇ!?」
 驚きながらもティアナは指示通りタラップに掴まる。
『移動砲台を兼ねた壁になるので、ガジェットを撃ってください』
「わ、わかりました!」
 ローラーダッシュによる加速で攪乱しつつ、両手のシールドでガジェットのレーザー攻撃をはじく。その隙にティアナが魔力弾を打ち込み、撃破していく。そのティアナとイルドの高速移動砲台によってガジェットの大半が瞬く間に撃破され、残るは数機となった。
 そして、ティアナを下ろしたイルドは、ガジェットVに向かうスバルへと援護に向かう。
 マッハキャリバーで疾走するスバルと並走。
「すごいですね」
『いえ、皆さんの力ですよ』
 軽く言葉を交わしながら、スバルがガジェットVのアームを破壊し直ぐさま後退。ついで、イルドが両腕を合わせながらガジェットVとスバルのあいだに横滑りしながら割り込む。直後、ガジェットVの三門レーザーが同時発射されるが、巨大シールド“常山蛇勢”がレーザーからスバルを護る。
 そのイルドの後ろでは、スバルがディバインバスターをチャージ。
 レーザーを放ち続けるガジェットVの攻撃を盾で受けながら、背中からスバルの強大な魔力を感じる。
 離脱のタイミングを計り、イルドは他人事のように呟く。
『…タイミング間違えば後ろから撃たれるな』

 ………3

 ……2

 …1

「…一撃必倒!」
 その言葉にガジェットVから離れたイルドは一気に加速。だが、何かに足を取られ減速。慌てて足元を見ると。
『…触手!』
 急いでスバルへと目を向けるが、時すでに遅し。
「ディバイン…バスタぁーーーーー!!」
『あ…』
 スバル渾身の一撃がガジェットVに直撃し、爆発。その爆風から身を守るためにイルドは慌てながら両腕を合わせシールドガードするが、その身体を爆風が包み込む。
「あ…」
「……スバル、あんた…」
 ティアナの声に、もの凄い勢いで血の気が引くのをスバルは感じた。
 嫌な空気が漂うなか、土煙の向こうからイルドの感心した声が響く。
『はー、すごいな…』
 土煙のなかから無事な姿を現した鋼鉄闘士イルドは、周囲を見やりながらそう言った。
 そのイルドの無事な姿に安堵したティアナたちが地面に座り込むと同時に、エンスのお気楽な通信が入った。

『はい、みんなお疲れーー!』



「えー、それではイルドには六課で身体検査を受けてもらいますよーー」
 六課への帰還途中、ヘリのなかでエンスは朗らかな声でそう言い、その言葉に新人たちが過剰反応する。
「まさか、スバルのバスターのせいですか!?」
 そのティアナの言葉にスバルがへこんだが、エンスは頭を横に振って否定した。
「ちぃがぁうよぉー。試作デバイス使ったあとは、いつも検査しているんだよぉー。身体にどんな負荷がかかっているかも調べないといけないからねー。半端な試作品を誰でも使える正規品にするにはー、多大な労力と努力が必要ー」
 間延びした口調でエンスは答え、フェイトが訊ねる。
「防御に特化したデバイスと聞きましたが、どれぐらいの防御力があるんですか?」
「そうだねー、ナカジマ二等陸士のさっきの技…ディバインなんとかーなら数字のうえでは余裕だよー。高町一等空尉のスターなんたらでテストしてみたいなー」
 笑いながらエンスは「だから、スバルちゃんには耐久テストの時ばかすか撃ってくれてもエンスさんは構わないよー」などとスバルに向かってのたまい、イルドがエンスを睨んだ。
 何ともいえない表情でほほをかくスバルの横に座っていたなのはが挙手をする。
「試験運用期間はどのぐらいなんですか?」
「そうだねー。とりあえず、最低でも今年度いっぱいはかかるんじゃないかなー。だから、しばらくの間よろしくねー」
 何気ないエンスの言葉に、エリオが「そんなにかかるんだ」と呟き、キャロも驚いたような顔をしている。
 そんな感じで話しているうちにヘリは六課隊舎へと到着した。
 ヘリポートでエンスたちを迎えたのははやてとシャーリー、そして、シャマルであった。はやてたちに向かって手を振りながらエンスが降り、ついでなのはたちが続き、最後にイルドが降りてきたのだったが、そこでささやかな異変が起きた。
「それではシャマルさん、イルドの検査お願いしますねー」
「はい、お願いされました。それで、イルド一等陸士は?」
 エンスのうさんくさい笑顔ににこやかにそう返したシャマルは、イルドへとその瞳を向けた。
 シャマルとイルドの目があった瞬間。
 一歩下がったイルドの全身がこわばった。
「…あ…う…」
 言葉を出せず硬直したイルドに全員の視線が集まり、場が静まる。
 そして、一拍の間を置いてシャマルが両手を打った。
「あー、思い出したー、あなたA47ビル火災のときのー」
 そのシャマルの言葉に、イルドが勢いよく敬礼する。
「は、ハイ! イルド・シー一等陸士であります!! 覚えていてもらい光え…じゃなくて、あのときはご迷惑をおかけしてしまい、本当にもうしわけありませんでした!」
「なに言ってるんです。あのとき貴方のほうが大変だったでしょうに。あのときの怪我は大丈夫ですか?」
「は、ハイ! シャマル医務官の適切な治療のおかげで無事にいまも局員をやっております!」
「ふふ…おだてても何も出ませんよ?」
 シャマルが浮かべた微笑に、イルドのほほが一気に紅く染まったのを、その場にいた全員が確認した。



 機動六課でイルドが紅く染まっていた頃、ジェイル・スカリエッティはモニターに流れる今日のデータを眺めながら大笑いしていた。
「くくく……はぁーーーはっはっはぁーーーー! 面白い、面白いじゃあないかぁ!」
 モニターに映っているモノ。
 それはエンスが造りあげた試作デバイス『タイプ・γ』の戦闘データであった。
 蒼き鋼鉄闘士の勇姿を眺めながら、スカリエッティは笑う。
「まるで地球の…そう確か日本と呼ばれる国で作られている子供向けヒーロー番組の主人公みたいじゃないか」
「ドクター、お気に召したのですか?」
 ウーノの静かな声にスカリエッティは楽しげに頷く。
「あぁ、実に面白い。何というか対抗意識のようなものを感じるよ」
 そう言ってスカリエッティは指を鳴らし、ホログラムデータを浮かべる。
「向こうが変身ヒーローもどきを作ったのなら、こちらも怪人もどきで対抗するというのが礼儀というものじゃあないか」
「…怪人もどき…とは私たちのことですか?」
 幾分、不機嫌そうな声でウーノが問いかけるが、それを気にせずスカリエッティは両手をせわしなく動かしながら答える。
「まさか、冗談にもならないよ。君たちみたいな上等な戦闘機人じゃなくても、アレ如きどうとでもなるよ」
 そう返し、スカリエッティはガジェットの予備パーツのデータを調べ始めた。



 NEXT STAGE
 『一刀両断!』 



●おまけ第一章●

 イルドがフォワード陣とともにガジェットと戦っていた頃。

「やれーー! いけーー! かっこいいぞ−! 僕らのタイプ・ガンマー! ガジェット軍団をぶちこわせぇーーー!」

 ヘリのなかでエンスがはしゃいでいた。



◆あとがき◆

 はじめましてKKといいます。
 みなさんのSS作品に感化され、つたない文章ですが書いてみました。
 お付き合いいただけると嬉しい限りです。

 今回の話すなわち「バイクに乗らない仮面ライダー登場」となります。
 大丈夫。平成ライダーは乗らないこと多いから。

 技術部という変な部署の変な人たちが主役ですが、よろしくお願いします。








作者さんへの感想、指摘等ありましたらメ−ル投稿小説感想板
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